• 更新日 : 2023年9月15日

譲渡性預金とは?メリット・デメリットの解説

個人や法人が利用できる預金の種類に、譲渡性預金といわれるものがあります。譲渡性預金とは、どのような特徴をもった預金なのでしょうか。普通預金との違いや、譲渡性預金のメリット・デメリットについて解説していきます。

譲渡性預金とは

譲渡性預金は、満期を迎えるまでに中途売買によって他者に譲渡できる定期預金のことをいいます。NCD(Negotiable Certificate of Deposit)または、CD(Certificate of Deposit)とも表記されることがある、預金の一つです。

通常、預金は他者に譲渡できないようになっていますが、譲渡性預金は無記名で預金証書が発行されるため譲渡が可能です。基本的に短期金融市場(1年以内に取引を終える短期資金をやり取りする市場、マネー・マーケットとも呼ばれる)で売買が行われます。

譲渡性預金と普通預金の違い

普通預金は、口座への預け入れや払い戻しが自由にできる預金です。家賃や公共料金の引き落とし、給与の振り込みなどに使われます。一般的に銀行口座といったら、普通預金のことを指します。

普通預金と譲渡性預金の違いについては、まず引き出しの自由度が異なります。譲渡性預金は定期預金の一つであり、譲渡はできるものの、基本的に満期日以前の解約ができません。普通預金は、期限などの制限がなく自由に引き出しができます。

また、詳細は後述しますが、預金保険の対象になるかどうかでも違いがあります。普通預金は預金保険の対象ですが、譲渡性預金は預金保険の対象になりません。

譲渡性預金のメリット

譲渡性預金の主なメリットを3つ取り上げます。

満期前に譲渡できる

譲渡性預金の大きな特徴は、満期が到来していなくても第三者に譲渡できることです。譲渡により、満期前に現金化できます。満期日をやや長めのスパンで設定した場合でも、必要に応じて現金化できるのがポイントです。

なお、現金化する場合は、市場の実勢金利で価格が決まります。市場での売買は、場合によっては元本を割り込むこともありますので注意しましょう。

預入期間を柔軟に設定できる

定期預金の場合、半年、1年、2年のようにあらかじめ決められた預入期間から指定して現金を預け入れることになります。

譲渡性預金は定期預金の一種ではありますが、預金者が預入期間を柔軟に設定できるのが特徴です。

設定できる預入期間は金融機関によって異なりますが、2週間以上2年以内、1週間以上2年以内、1日以上2年以内、などと定められていることが多く、対応している範囲内で自由に預入期間を指定できます。

短期の資金運用に向いている

譲渡性預金は定期預金の一つであるため、預金利息は普通預金よりも優遇されています。そのため、中長期的には口座から動かす可能性があるものの、直近では動かす可能性が低い資金の短期運用に便利です。

金融機関によっては1日から対応しているところもあるため、少しでも資金を活用したい人に向いています。

また、預金であることから、株式や社債などのリスク資産とは異なり、満期まで保有する限り元本を割る心配がありません。リスクをできるだけ避けて短期で運用したい場合にも便利な預金です。

譲渡性預金のデメリット

短期の運用などで便利な譲渡性預金ですがデメリットもあります。主なデメリットを3つみていきましょう。

預金保険の対象にならない

金融機関が破綻した場合に、その金融機関に預金をしている人の財産を保護する目的で、預金保険制度が設けられています。預金保険料は金融機関が負担するものですので、預金保険の対象になる預金をすると、預金者の負担なく、自動的に預金保険がかかる仕組みになっています。

預金保険制度により、当座預金や利息のない普通預金は、全額が保護の対象です。一般的な利息付きの普通預金、定期預金、定期積金などは、全部で元本1,000万円までが保護の対象になります(1,000万円超の部分は金融機関の財産状況に応じ支払われます)。

注意したい点は、譲渡性預金は預金保護の対象にならないことです。破綻した金融機関の財産状況によっては支払いが行われることもありますが、保護対象外となるため、預入先の金融機関が破綻すると一部カットされる可能性があります。

大口資金が対象

金融機関によって預入金額は異なりますが、1,000万円以上1円単位、2,000万円以上1円単位など、いずれも大口資産を対象としています。基本的に少額では譲渡性預金を利用できません。法人の利用が多いことなどが理由として考えられます。

一部譲渡はできない

譲渡性預金の一部譲渡はできません。譲渡する場合は利息を含めた元本を譲渡しなければならないため、元金の一部だけ、または元金だけの譲渡はできない点に注意しましょう。

そのため、譲渡性預金を譲渡した場合、利息を受け取る権利は譲渡を受けた個人や法人に移るため、譲渡した側は、譲渡時や満期時に利息の一部を受け取ることはできません。

譲渡性預金は譲渡可能な短期投資向けの預金

譲渡性預金は、通常は譲渡できない預金を他者に譲渡できるのが大きな特徴です。満期前でも、譲渡することで現金化でき、期日指定方式のため預金期間を自由に指定できるのもポイントです。

ただし、大口資金にしか対応していない点、預金保護制度の対象外になる点などのデメリットもあります。譲渡性預金の特徴を理解して、短期投資などでうまく活用していきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事