- 作成日 : 2024年5月10日
退職金のもらい方は3種類!それぞれメリットデメリットを解説
退職金のもらい方に迷っていませんか?この記事では、一括での受け取り方から年金形式での分割受取、さらには両方を組み合わせた受け取り方まで、選択肢ごとのメリット・デメリットを解説します。退職金を受け取るための具体的な手続き方法も案内しています。
目次
退職金の受け取り方は3種類
退職金を受け取る方法は、大きく分けて3つあります。それぞれの方法には特徴があり、自分のライフスタイルや将来の計画に合わせて最適な選択をすることが重要です。ここでは一時金として一括で受け取る方法、年金として分割で受け取る方法、そしてこれらを組み合わせて受け取る方法について詳しく解説します。
一時金として一括で受け取る
一時金として一括で受け取る方法は、退職金全額を一度に手にすることができるため、大きな支出が予想される場合や、事業を始めるなどの大きな資金が必要な場合に適しています。しかし、一括で受け取った退職金は退職所得として課税対象となるため、税金の計算方法を理解し、適切な計画を立てる必要があります。
年金として分割で受け取る
年金として分割で受け取る方法は、退職金を年金形式で少しずつ受け取る方法です。この方法を選択することで、退職後の生活費を安定して確保することが可能になります。また、年金形式で受け取ることにより、退職金全体の税負担を軽減することができる場合もあります。ただし、年金受給開始までの期間や分割期間に関する規定があるため、自分のライフプランに合った計画を立てることが重要です。
一時金+年金で組み合わせて受け取る
一時金と年金を組み合わせて受け取る方法は、一部を一時金で受け取り、残りを年金として受け取る方法です。この方法を利用することで、直近の大きな支出に対応しつつ、長期的な収入源を確保することができます。組み合わせる比率は自由に決めることができますが、一時金の額によっては税率が変動するため、受け取り方を慎重に検討する必要があります。
退職金を一時金として一括で受け取るメリット・デメリット
退職金を一時金として一括で受け取る選択は、短期的に大きな資金を受け取れる一方で、長期的な視点から見るとリスクも伴います。以下ではメリット・デメリットについて説明します。
メリット
大きな資金を確保できる
退職金を一時金として受け取ると、その全額をすぐに手に入れることができます。これは、大きな出費が予想される場合に特に有利です。例えば、新居の購入やリフォーム、子供の教育費用、医療費など、一度に大きな金額が必要な場合には、一時金として退職金を受け取ることで、その費用を賄うことができます。
自由に使えるお金が増える
退職金を一時金で受け取ると、そのお金を自由に使うことができます。例えば、新たなビジネスを始めるための資金や、自己のスキルアップ、趣味や旅行に使ったりすることができます。また、退職金を元手に株式や債券、不動産、投資信託など、多岐にわたる金融商品への投資を行うことができます。
退職金は一定額まで非課税
退職金は一定額まで非課税となります。したがって、一時金として受け取った場合、その一部は税金を払わずに済む可能性があります。ただし、非課税の限度額を超えた部分については、所得税と住民税が課税されます。そのため、税金の計算方法を理解し、適切な税金対策を行うことが重要です。
デメリット
一度に大きな金額を手に入れるリスク
退職金を一時金として受け取ると、その全額をすぐに手に入れることができます。しかし、その一方で、一度に大きな金額を手に入れることは、管理が難しくなる可能性があります。例えば、無計画な支出により、一時金がすぐになくなってしまう可能性があります。また、大きな金額を一度に手に入れると、税金の問題も発生します。一定額以上の退職金は課税対象となり、その税金を支払うためには、適切な税金対策が必要です。
将来の収入源がなくなるリスク
退職金を一時金で受け取ると、そのお金は一度に使えますが、その一方で、将来の生活費を確保するための安定した収入源がなくなります。特に、高齢になってからの医療費や介護費用など、予想外の出費が発生した場合、一時金をすでに使い果たしていたら、その費用を賄うことが難しくなります。そのため、退職金を一時金で受け取る場合は、将来の生活費をどのように確保するか、しっかりと計画することが重要です。
退職金を年金として分割で受け取るメリット・デメリット
退職金を年金形式で受け取る選択は、定期的な収入源としてのメリットがありますが、長期的な金利の変動といったデメリットも考慮する必要があります。
メリット
定期的な収入源が確保できる
退職後も安定した収入が続くことは、経済的な安心感をもたらします。例えば、毎月の生活費、医療費、趣味や旅行など、定期的な出費に対して、計画的に資金を割り当てることができます。年金として受け取ることで、突然の大きな支出がない限り、長期にわたって安定した生活が保証されます。
長寿リスクをカバーできる
年金として退職金を受け取ると、長生きするほど受け取る金額が増えます。これは、長寿リスク(生きている間にお金が尽きてしまうリスク)をカバーするための有効な手段です。特に、高齢になってからの医療費や介護費用など、予想外の出費が発生した場合、年金として受け取っていると、その費用を賄うことが可能です。
デメリット
一度に大きな金額を手に入れることができない
年金として退職金を受け取ると、一度に大きな金額を手に入れることはできません。これは、大きな出費が予想される場合に不利となります。例えば、新居の購入やリフォーム、子供の教育費用など、一度に大きな金額が必要な場合には、年金として受け取るとその費用を賄うことが難しくなります。また、一時金を受け取ると、そのお金を自由に使うことができますが、年金として受け取ると、その自由度は制限されます。
収入が固定されている
年金として退職金を受け取ると、収入が固定されてしまいます。これは、物価の上昇や生活費の増加など、将来的な経済状況の変化に対応するのが難しくなるというリスクを伴います。また、一時金を受け取ると、そのお金を自由に使うことができますが、年金として受け取ると、その自由度は制限されます。
税金の影響
年金受給時の税金は、公的年金等控除という控除枠を使えますが、退職所得控除に比べて控除枠は小さくなることが多いため、一時金で受け取った場合と比較して、長期的に見ると税金の総負担額が増加する可能性があります。また、年金受給中に税制が変更されるリスクもあり、将来的により高い税率が適用される可能性も考慮する必要があります。
退職金を一時金+年金として受け取るメリット・デメリット
退職金を一時金と年金の組み合わせで受け取る選択は、資金の柔軟な活用や、将来の生活費の確保ができるなどの魅力もありますが、資金管理の複雑化、一時金と年金のバランスなど、いくつかのデメリットも理解しておく必要があります。
メリット
資金の柔軟な活用ができる
退職金を一時金+年金として受け取ると、一部を一時金として受け取り、残りを年金として受け取ることができます。これにより、一度に大きな金額を手に入れることができ、それを大きな出費に使うことができます。例えば、新居の購入やリフォーム、子供の教育費用など、一度に大きな金額が必要な場合には、一時金として受け取るとその費用を賄うことができます。また、残りの部分を年金として受け取ることで、将来の生活費を安定的に確保することができます。
リスク分散することができる
一時金と年金、どちらの受け取り方にもそれぞれリスクがありますが、一部を一時金として、残りを年金として受け取ることで、そのリスクを分散することができます。例えば、一時金を受け取ると、将来の生活費を確保するための安定した収入源がなくなるリスクがありますが、一部を年金として受け取ることで、そのリスクを軽減することができます。
税制上のメリット
退職金には退職所得控除という控除があり、一定額まで非課税となります。また、年金に関する所得については公的年金等控除という控除を受けられます。したがって、一部を一時金として受け取り、残りを年金として受け取ると、2つの控除をどちらも使うことができます。ただし、控除枠を超えた部分については、所得税と住民税が課税されます。そのため、税金の計算方法を理解し、適切な税金対策を行うことが重要です。
デメリット
資金管理を複雑にする可能性
退職金を一時金+年金として受け取ると、その管理が複雑になります。一部を一時金として、残りを年金として受け取るため、それぞれの金額とその使い道を適切に管理する必要があります。例えば、一時金を受け取った場合、そのお金をどのように使うか、どのように管理するかを計画する必要があります。また、年金を受け取る場合、その金額をどのように使うか、どのように生活費に組み入れるかを計画する必要があります。
税金の計算が複雑に
税金の計算も複雑になります。一部を一時金として受け取ると、その部分は一定額まで非課税ですが、その限度額を超えた部分については税金が課税されます。一方、年金として受け取る部分については、控除枠を超える部分につき、受け取るたびに所得として課税されます。
一時金と年金のバランス
退職金を一時金+年金として受け取ると、一時金と年金のバランスをどのように取るかが重要な問題となります。一時金を多く取ると、その分、年金が少なくなります。逆に、年金を多く取ると、一時金が少なくなります。このバランスをどのように取るかは、個々の生活状況や将来の見通しによります。例えば、退職後すぐに大きな出費が予想される場合は、一時金を多く取ることを検討するかもしれません。一方、長期的な生活費を確保したい場合は、年金を多く取ることを検討するかもしれません。
退職金の額が大きい場合は税金の問題などが発生する場合がありますので、専門家と相談しながら進めることをおすすめします。また、退職金の受け取り方法によっては、税率が異なる場合がありますので、一時金での受け取りか、年金形式での受け取りか、あるいはその両方での受け取りを検討するときには、事前に適切な計画を立てることが不可欠です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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