- 更新日 : 2023年8月18日
米国債とは?利回りや買い方、おすすめの証券会社を解説
株式はリスクがありそうで怖いため、もっと安全な投資がしたいという方に注目されているのが「債券投資」です。その中でも、米国債は利回りや信用度の高さから人気を集めています。今回は、債券投資に興味がある方のために米国債の推移チャート、そして、メリット・デメリット(注意点)を解説します。また、証券会社での買い方についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
米国債とは?利回りは?
米国債とは、米国財務省が発行する債券のことです。国が発行する債券は「国債」と呼ばれ、国が資金調達のために発行しています。
国債は償還日(満期)まで保有していれば、額面金額全額が戻るという特徴があります。また、保有している間も決まった利率の利息を受け取れます。つまり、米国債を持つということは米国にお金を貸した状態になるということです。
なお、株式も資金調達のために発行されるものですが、満期はなく、発行体に償還金や利息を支払う義務はありません。この点が国債を含む債券と株式の大きな違いといえるでしょう。
ちなみに、2023年7月25日現在、米国債(10年)の利回りは3.889%です。この利回りは日本国債(10年)の利回り0.460%を大きく上回っています。同じ国債でも日本に投資するより、米国に投資する方がお得ということがご理解いただけるのではないでしょうか。
米国債の推移チャート
米国債のこれまでの利回り推移についてチャートを確認してみましょう。
5年間のチャートを見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあったのか、大きく下落している時期もありますが、全体的には31.98%の上昇となっています。また、1年間のチャートでも上昇率は39.02%です。
時期によって、利回りが大きく上下しているところもありますが、日本国債よりも高めで推移しているのは事実と言えます。米国債の投資を検討する価値は大いにあると言ってもよいのではないでしょうか。
米国債のメリット
米国債に投資するメリットは以下の4つです。
- 利回りが高い
- 情報を取得しやすい
- 信用度が高い
- 流動性が高い
利回りが高い
先ほど、チャートでもご覧いただいた通り、米国債の利回りは高めで推移しています。特に利回り0.4%台で推移する日本国債と比較すると、その高さはよく理解できるのではないでしょうか。
このような点から、預貯金以外で安定している資金運用先を探している方にも、おすすめと言えます。
情報を取得しやすい
「利回りが高いのはいいが、動きがよく分からないものに投資するのは不安」という方もいるでしょう。
しかし、米国債の価格や利回りが動く原因となる米国内の政治・経済情勢は、日本でも多くのニュースになっています。大事な情報を見逃す可能性は低いため、何かあった場合でも対応しやすいと言えます。
信用度が高い
国債など、債券に投資するなら、利息の支払いや償還がきちんと行われる発行体なのかを確認するために「格付け」の確認が重要です。格付けが高いほど、発行体の信用度も高いと言えます。あまりに格付けが低い発行体には債務不履行などのリスクもあるので、注意が必要です。
格付投資情報センターが公表している各国の格付けを見てみましょう。
国名 | 格付け |
---|---|
アメリカ合衆国 | AAA |
英国 | AAA |
日本 | AA+ |
中華人民共和国 | AA- |
イタリア | BBB+ |
※2023年6月30日時点
米国は、英国と並び最上位の「AAA」の格付けを得ています。これは国が安定しており、償還も問題なく行われる可能性が非常に高い証明といえるでしょう。
流動性が高い
投資をする資金はあっても、いざという時に換金できないのは困るという方も多いのではないでしょうか。米国債は流動性が高く、証券会社を通じていつでも売買することができます。ただし時価での売却になる点は留意してください。
米国債のデメリットや注意点
米国債投資のデメリットや注意点もあります。以下の点を押さえておきましょう。
- 為替変動リスクがある
- 値下がりリスクがある
- 信用リスクはゼロではない
為替変動リスクがある
米国債は償還まで保有しておけば額面金額が戻ってきます。ただし、米ドル建てでの償還になるため、日本円にする際、為替の影響を受けてしまう点には気をつけてください。
例えば、同じ5,000米ドルでも、1米ドル=150円と120円の場合では受取額に以下の違いが生じます。
- 1米ドル=150円の場合5,000米ドル×150円=75万円
- 1米ドル=120円の場合5,000米ドル×120円=60万円
同じ5,000米ドルでも日本円にすると15万円もの違いになります。購入済みの米国債の償還時期は変更できません。償還時に円高で推移している場合、受取金額が想定よりも少なくなるリスクがある点も理解しておきましょう。
値下がりリスクがある
流動性が高く、希望するときに売却できるのが米国債のメリットです。しかし、償還前に売却する際は時価での取引となります。場合によっては購入時よりも低い価額になる場合もありますので、注意してください。
償還前の売却をなるべく避けたいのであれば、余裕資金で投資することを心がけましょう。
信用リスクはゼロではない
米国債は格付け「AAA」(格付投資情報センター 2023年6月30日現在)です。他国の国債よりもリスクはかなり低いですが、リスクゼロというわけではありません。米国に大きな問題が生じた場合、償還ができない、もしくは償還金額が減る恐れもあります。
米国債の買い方
米国債を購入したい場合、以下の3つの方法があります。
- 証券会社から直接購入する
- ETFを購入する
- 投資信託を購入する
証券会社から直接購入する
米国債は証券会社で購入することができます。国内の証券会社では既発債(すでに発売され、流通している債券)が購入可能です。購入時の手数料は証券会社ごとに異なりますので、購入を希望する際はいくつか比較することをおすすめします。なお、銀行や郵便局では取り扱っていません。
ETFを購入する
米国債はいつでも売買が可能ですが「価格がわかりにくいため、手を出しづらい」という方もいることでしょう。そのような方は上場投資信託「ETF」をチェックしてみてはいかがでしょうか。ETFは日本の証券取引所に上場しており、売買がしやすく、価格もネットや新聞などで公開されています。
償還時期が異なる米国債のETFも売買されています。証券取引所が開いている時間はリアルタイムで取引できるのも利点です。
投資信託を購入する
リアルタイムの取引にこだわらないのであれば、ETFではなく投資信託もおすすめです。投資信託は証券会社ごとに取扱商品が異なりますので、各社のホームページなどで確認してみましょう。ちなみに、投資信託は証券会社だけでなく、銀行や郵便局でも取り扱っています。
また、投資信託は売却もできますが、基準価額を確認できない状態で売却する「ブラインド方式」となります。
米国債におすすめの証券会社
米国債取引をする際におすすめの証券会社を3社ご紹介します。
SBI証券
ネット証券最大手のSBI証券では、米国債(既発債)を取り扱っています。利回りや償還日もホームページ上でわかりやすく紹介されていますので、購入時の参考になるでしょう。また、米国債だけではなく、米国債ETFや投資信託の取り扱いもあります。
楽天証券
楽天証券でも米国債(既発債)を取り扱っています。外貨決済もできますので、為替リスクを抑えることも可能です。
ホームページでは投資に関する勉強資料も多く公開されていますので、投資初心者でも使いやすい証券会社といえるでしょう。
マネックス証券
マネックス証券は米国株や米国債に力を入れている証券会社です。債券の売買方法についてもホームページで詳しく解説しているので、米国債に興味がある方はぜひご覧ください。
利回りや信用度の高さで注目される米国債
米国債は利回りや信用度の高さで注目される債券です。預貯金以外の投資先を探している方におすすめです。また、償還まで保有すると額面金額が戻るため、株式と比べて損失を出すリスクが非常に低いと言えます。
ただし、米国債は米ドル建てで発行されていますので、為替リスクが生じる可能性があります。もし、償還時に円高で推移していた場合、受取金額が目減りすることもあるため気をつけましょう。
米国債投資が不安であるならば、米国債のETFや投資信託という選択肢もあります。特にETFは日本の証券取引所に上場しているため、取引しやすいというメリットがある金融商品です。こちらも検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
お金の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
証拠金維持率とは?計算式や安全な目安を解説
FX取引や先物取引、オプション取引のように、レバレッジ(てこ)を効かせた投資をしている方が気にしておきたいのが「証拠金維持率」のことです。会社が指定する維持率を下回ると、証拠金を差し入れる必要がありますが、事前に目安を知っておくと、慌てずに…
詳しくみる投資信託のスポット購入とは?売買タイミングはどうする?
投資信託の購入を検討している方の中で、スポット投資と積立投資のどちらを選ぶか迷っている方もいるのではないでしょうか。まとまった資金がある場合は、スポット投資の効率的な運用に魅力を感じることでしょう。 本記事では、スポット購入のメリット・デメ…
詳しくみる新NISAとは?これまでとの違いや始め方、おすすめの証券会社を解説
2024年1月からスタートする新NISA。現在、NISAを利用している方も、そうでない方も、新NISAが気になっている方は多いのではないでしょうか。今回の記事は新NISAの概要やポイント、移管手続きの有無や始め方と一緒に、おすすめの証券会社…
詳しくみる債券価格とは?金利とどのような関係がある?
債券とは、国や地方公共団体、民間企業などが資金を調達するために発行する有価証券のことで、一般的に株式や投資信託と比較して安全性の高い商品として知られています。 また、債券の価格は金利に大きな影響を受けるものの、具体的にどう関係しているのか今…
詳しくみるBankers(バンカーズ)とは?メリットや注意点の解説
投資先を探しているが、値動きが激しいものは困るという方に注目されているのが「融資型クラウドファンディング」です。 今回は、融資型クラウドファンディングを運営する「バンカーズ」にスポットを当て、特徴やメリット・注意点(デメリット)をご紹介しま…
詳しくみるVHTとは?株価推移や配当利回り、おすすめの証券会社
ヘルスケア関連銘柄への投資を検討している人は、VHTについて知りたいのではないでしょうか。VHTは米国のヘルスケアセクターを投資対象としており、約400の株式銘柄へ投資できるETFです。 本記事ではVHTの株価推移やチャート、投資するメリッ…
詳しくみる