- 作成日 : 2024年6月7日
30代の平均貯金額はいくら?老後に備えていくらあれば安心?
30代の平均貯蓄額は、総世帯で約419万円、単身世帯で443万円となっていますが、貯蓄額には大きなばらつきがあるのが現状です。老後に備えるためには、30年間で5,400万円の貯蓄を目標に、毎月15万円程度の積立を行うことが目安だと言われています。この記事では、30代の平均貯蓄額や老後資金の目標額について説明するとともに、効果的な資産形成の方法についても紹介しています。つみたてNISAやiDeCoなどの制度を活用した投資は、30代から始めるのに適した方法の一つです。
目次
30代の平均貯蓄額
30代の方々はどれくらいの貯蓄をしているのでしょうか。ここでは、30代の平均貯蓄額について詳しく見ていきましょう。
「家計の金融行動に関する世論調査」によると、30代全体の平均貯蓄額は、金融資産を保有している場合で419万円、金融資産を保有していない世帯を含む場合で287万円となっています。しかし、この数値はあくまで平均であり、実際の貯蓄額は個々の生活状況や収入、支出などにより大きく異なります。
30代の平均貯蓄額は、金融資産の保有状況や世帯構成によって大きく異なることがわかります。金融資産を保有している30代は、全体的に高い貯蓄額を維持しており、特に単身世帯の貯蓄額が高い傾向にあります。一方、金融資産を保有していない30代の貯蓄額は低く、老後に向けた資産形成の必要性が高いと言えるでしょう。
【30代の金融資産保有世帯の場合】
世帯 | 平均貯蓄額 | 貯蓄額のうち定期性預貯金 |
---|---|---|
総世帯 | 419万円 | 158万円 |
2人以上世帯 | 408万円 | 127万円 |
単身 | 443万円 | 222万円 |
【30代の金融資産を保有していない世帯を含む場合】
世帯 | 平均貯蓄額 | 貯蓄額のうち定期性預貯金 |
---|---|---|
総世帯 | 287万円 | 108万円 |
2人以上世帯 | 286万円 | 89万円 |
単身 | 289万円 | 145万円 |
※ここでいう金融資産とは、預貯金(ゆうちょ銀行の貯金を含む)、金銭信託、積立型保険商品(生命保険・損害保険)、個人年金保険、債券、株式、投資信託(MRF、MMF、REITなどを含む)、財形貯蓄、その他の金融商品(金貯蓄口座、金融派生商品など)を指します。また、定期性預貯金とは、一定期間預けることで利息を得られる預金のことを指します。
年収別・30代の平均貯蓄額
30代の方々がどれくらいの貯蓄を持っているのか、年収別に見てみましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に、30代の年収別の貯金額について、2人以上の世帯と単身世帯とに分けて見ていきます。
以下の表は、30代の年収別の金融資産保有額の中央値を示しています。
年収 | 2人以上世帯 | 単身 |
---|---|---|
300万未満 | 1万円 | 14万円 |
300万~500万円未満 | 100万円 | 200万円 |
500~750万円未満 | 200万円 | 575万円 |
750~1,000万円未満 | 400万円 | 2,635万円 |
1,000~1,200万円未満 | 800万円 | 0万円 |
1,200万円以上 | 1,200万円 | 3,400万円 |
この表から、年収が高くなるほど平均貯蓄額も増加していることがわかります。これは、収入が多いほど貯蓄に回せる金額が増えるためと考えられます。
単身世帯と2人以上世帯を比較すると、年収300万円未満と1,000万円以上の区分を除いて、単身世帯の方が平均貯蓄額が高くなっています。これは、2人以上世帯の場合、生活費や子育て費用などの支出が多くなるためと推測されます。
年収300万円未満の区分では、2人以上世帯の平均貯蓄額が単身世帯を上回っています。低所得層では、2人以上世帯の方が生活費を分担できるため、貯蓄に回せる金額が増える可能性があります。
年収1,000万円以上の高所得層では、2人以上世帯の平均貯蓄額が単身世帯を大きく上回っています。高所得層の2人以上世帯は、共働きなどにより世帯全体の収入が高い傾向にあり、貯蓄に回せる金額も多くなると考えられます。
【中央値とは?平均値との違い】
中央値とは、すべての数を少ない順に並べたときにちょうど中央にくる数値を指します。平均値とは、すべての数を足して均等に分けた数値を指します。平均値は、一部の高額資産保有世帯によって大きく引き上げられる傾向があり、全体の実態を正確に反映しない場合があります。それに対して、中央値は外れ値の影響を受けにくく、そのため全体の実感により近い値となることが多いです。
30代の貯蓄額の割合
総務省の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、30代の総世帯における平均貯蓄額は次のような分布となっています。
30代の貯蓄額には大きなばらつきがあることがわかります。約31.1%の世帯が200万円未満の貯蓄しか持っていない一方で、約37.9%の世帯が500万円以上の貯蓄を持っており、貯蓄額の二極化が見られます。
30代は、結婚、出産、住宅購入などを迎える時期であり、これらが影響を与えていると考えられます。また、収入や職業、ライフスタイルの違いも貯蓄額の差につながっているでしょう。
金融資産保有額 | 総世帯 |
---|---|
100万円未満 | 18.7% |
100~200万円未満 | 12.4% |
200~300万円未満 | 10.8% |
300~400万円未満 | 8.3% |
400~500万円未満 | 6.2% |
500~700万円未満 | 9.0% |
700~1,000万円未満 | 6.6% |
1,000万円~1,500万円万円未満 | 9.6% |
1,500万円~2,000万円未満 | 2.9% |
2,000万円~3,000万円未満 | 4.0% |
3,000万円以上 | 5.8% |
無回答 | 5.8% |
参考:「家計の金融行動に関する世論調査(金融資産保有世帯)|金融広報中央委員会
30代で貯蓄額500万円以上の世帯の割合
30代で貯蓄額が500万円以上ある世帯の割合は、全体の37.9%になります。つまり、30代の約4割近くの世帯が500万円以上の貯蓄を持っていることがわかります。この割合は、30代全体の中では比較的高いといえるでしょう。
30代で貯蓄額1,000万円以上の世帯の割合
30代で貯蓄額が1,000万円以上ある世帯の割合は、全体の22.3%になります。30代の約5分の1の世帯が1,000万円以上の貯蓄を持っていることになります。これは、500万円以上の世帯の割合である37.9%と比べると、かなり少ないことがわかります。
30代で貯蓄額2,000万円以上の世帯の割合
さらに、貯蓄額が2,000万円以上の世帯の割合は約9.8%になります。かなり限られた世帯だけが2,000万円以上の貯蓄を持っていることがわかります。
30代で貯蓄額3,000万円以上の世帯の割合
貯蓄額が3,000万円以上の世帯の割合は、5.8%となっています。これは、30代全体の中ではかなり少数の世帯だといえます。しかし、3,000万円以上の貯蓄を持つ世帯は、一定数存在します。
30代は、老後に向けた資産形成を本格的に始める重要な時期です。早いうちから計画的に貯蓄を行い、収入や支出を見直しながら、無理のない範囲で貯蓄を増やしていくことが大切だといえるでしょう。
30代は老後に備えていくらあれば安心?
30代は、老後に向けた資産形成を本格的に始める重要な時期です。では、30代の間にいくらくらい貯蓄をしておけば、老後に安心して暮らせるのでしょうか。
老後に必要な資金は、個々の生活スタイルや健康状態、年金収入などにより大きく異なります。しかし、一般的な目安として、「老後資金は2,000万円必要」と言われてきました。これは、65歳からの老後生活(約30年間)で、年金収入だけでは足りない部分を補うための金額です。
しかし、最近ではこの金額が見直され、単身者で約3,000万円以上、夫婦で約5,000万円以上の金額が必要ともされています。これは、医療費や介護費用、住宅の改修費など、さまざまな出費が想定されるためです。
具体的にいくら貯蓄を積み立てればいいのでしょうか。これは、個人の生活スタイルや目標によって異なりますが、一つの目安として、以下のような考え方があります。
- 老後の生活費を月30万円と仮定し、その半分を年金でまかなえるとすると、残りの15万円を貯蓄で補う必要があります。
- 平均寿命を90歳、老後の生活期間を30年とすると、必要な貯蓄総額は15万円×12ヶ月×30年=5,400万円となります。
- 仮に30代からの30年間で5,400万円を貯めるとすると、年間180万円、月々15万円の貯蓄が必要になります。
もちろん、これはあくまでも一つの目安であり、実際には個人の状況に合わせて貯蓄計画を立てる必要があります。例えば、次のような点を考慮して、自分に合った貯蓄目標を設定しましょう。
30代におすすめの貯蓄・資産形成方法
30代は、老後に向けた資産形成を本格的に始める重要な時期です。ここでは、30代におすすめの貯蓄・資産形成方法をいくつか紹介します。
積立型定期預金
積立型定期預金は、毎月決まった日に積み立てを行い、目標額を目指す方法です。利息がつくため、ただ貯蓄するよりも資産が増えやすいです。
積立型定期預金の利率は、金融機関により異なりますが、一般的には普通預金よりも高い利率が設定されています。
新NISAのつみたて投資枠の活用
つみたてNISAは、長期的な資産形成を支援するための制度です。新NISAのつみたて投資枠は、2024年から開始された制度で、これまでのつみたてNISAを引き継いだものです。
この制度では、年間の投資枠が40万円から120万円に拡大され、非課税保有期間が5年から無期限に延長されました。投資可能期間も恒久化され、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになりました。さらに、売却分の非課税保有限度額(総枠)の再利用も可能となりました。
新NISAのつみたて投資枠を30代から始めると、40年以上の長期間にわたって資産を形成することができます。これは、長期的な投資により、市場の短期的な変動を吸収し、長期的な成長を享受することができるからです。
また、毎月一定の金額を投資することで、市場の変動リスクを軽減することもできます。ただし、金融商品はリスクも伴うため、十分な情報収集と理解を持って取り組むことが大切です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。掛金は所得控除の対象となり、税制優遇を受けられます。
また、運用収益は非課税で再投資されるため、長期的に資産を増やすことができます。
- 掛金:65歳まで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。ただし、60歳になるまで、原則として資産を引き出すことはできません。
月々の拠出金額は、拠出限度額の範囲内で、月額5,000円以上であり、1,000円単位で自由に設定できます。 - 加入資格:基本的に20歳以上65歳未満のすべての方が加入できます。ただし、一定の条件があります。
- 運用:iDeCoでは、運営管理機関が提供する運用商品の中から自由に選んで組み合わせて運用します。運用する際には、自身のリスク許容度や目標利回りなどの運用方針を定めた上で、運用商品を選択します。iDeCoにおいては、掛金や運用益、そして給付を受け取る際に、税制上の優遇措置が提供されています。
30代のうちからiDeCoに加入し、老後の資金を着実に準備しましょう。
定期的な貯蓄の習慣化
給与の一部を毎月自動的に貯蓄口座に振り込むなど、定期的な貯蓄を習慣化することが重要です。貯蓄を支出の一部と考え、毎月の家計管理に組み込むことで、無理なく貯蓄を続けられます。また、ボーナスなどの臨時収入も、できるだけ貯蓄に回すようにしましょう。
不動産投資の検討
30代で資金的に余裕がある場合は、不動産投資も選択肢の一つです。アパートやマンションなどの不動産を購入し、賃貸収入を得る方法です。賃貸物件を購入し、家賃収入を得ることで、長期的な資産形成が可能です。ただし、物件選びやローン管理など、専門知識が必要となるため、十分な学習と準備が必要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
お金の知識をさらに深めるなら
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