• 更新日 : 2023年5月30日

VTとは?株価推移や配当利回り、おすすめの証券会社を解説

証券会社での投資で銘柄選びに迷うという方もいるでしょう。一つひとつの株価のチェックが面倒と感じるならば上場投資信託(ETF)がおすすめです。今回は世界の株式に投資できるETF「VT」をご紹介します。チャートの動きだけでなく、投資のメリット、そしてデメリットや注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

VTとは?配当利回りは?

VTは世界最大級の投資運用会社「バンガード」が運用する投資信託です。米国など全世界の先進国の株式、そして新興国の株式が投資対象になっています。なお、正式名称は「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」といい、上場投資信託(ETF)として米国の証券取引所に上場しているため、株式同様取引時間内に時価での売買も可能です。

投資信託は資産運用なので、「配当利回り」を気にする方も多いのではないでしょうか。2023年4月時点でのVTの直近配当利回りは年1.23%(税込)となっています。都市銀行の定期預金金利が年0.002%(税込)程度であることを考えると、かなりお得であるといえます。詳しい特徴を下の表で確認しておきましょう。

正式名称バンガード・トータル・ワールドストックETF
運用会社バンガード
上場取引所NYSE Arca
ベンチマーク指数FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
経費率0.07%
純資産額26,395.37百万米ドル(2023年3月31日現在)

VTの構成銘柄

VTは米国をはじめとした世界中の株式に投資し運用するETFです。どのような業種や銘柄を組み入れているかを確認してみましょう。

【セクター比率】※2023年3月31日現在

分野比率
テクノロジー21.6%
一般消費財14.0%
資本財13.9%
金融13.8%
ヘルスケア11.6%
生活必需品6.3%
エネルギー5.2%
素材4.4%
不動産3.2%
公共事業3.2%
電気通信2.8%

出典)バンガード 発表資料

【組入銘柄】※2023年3月31日現在

銘柄名比率
Apple社3.7%
マイクロソフト3.2%
アルファベット(グーグルの持ち株会社)1.7%
アマゾン・ドット・コム1.4%
エヌビディア1.0%
バークシャー・ハサウェイ0.8%
テスラ0.8%
メタ・プラットフォームズ0.7%
エクソン・モービル0.7%
ユナイテッドヘルスグループ0.7%

出典)バンガード 発表資料

ご覧の通り、現時点ではテクノロジー分野の銘柄が20%超を占めています。また、全世界の株式が投資対象にはなっていますが、現時点の構成銘柄はApple社やマイクロソフトなど、日本でも有名な米国企業の銘柄が上位にあります。これらの銘柄は発行株式数も多く、株価も安定的に推移しているのが特徴です。これから投資を始めても利益を得られる確率は高いといえます。

なお、VTは四半期ごとに銘柄のリバランスを行っています。上記にランキングされている銘柄は今後変わる可能性もありますので気をつけましょう。

VTの株価推移チャート

投資信託を購入する際は今までの値動きについても把握しておくことをおすすめします。以下はVTのチャートです。

引用元:TradingView

ここ1年はインフレなどの問題もあり、値下がり傾向にあった株式と同様、VTも値下がりしていました。しかし、VTの構成銘柄上位にある米国株は2023年以降徐々に回復するという予想も出ています。しかも、VTの5年分のチャートを見てみると順調に上昇していますので、今後についてはあまり後ろ向きに捉えなくても良いでしょう。

ちなみに、米国株全体は数十年間右肩上がりで推移しています。今からVTに投資しても期待は大きいといえるのではないでしょうか。

VTのメリット

今からVTに投資すると以下のようなメリットがあります。

  • 世界中の銘柄に投資できる
  • 手数料が低い
  • 今後の分配金に期待ができる

世界中の銘柄に投資できる

VTは世界中の株式を組み込んでいる投資信託です。購入することは世界の株式に投資するのと同じことになります。ご参考までにVTの地域別構成比率をご覧ください。(2023年3月31日時点)

国名比率
米国59.1%
日本6.3%
英国4.0%
中国3.5%
カナダ2.9%
フランス2.8%
スイス2.4%
オーストラリア2.1%
ドイツ2.1%
台湾1.9%

出典)バンガード 発表資料

米国株が最も多く、過半数を占めていますが、その他にも日本、英国、中国など欧米・アジアなどの株式も組み込まれています。もし、世界の個別株に投資したい場合、これだけの地域の銘柄の中から自分で探すのは非常に難しいのではないでしょうか。世界の個別銘柄を探すことができないという人にVT投資はおすすめです。

また、投資信託を通じて世界中の株式に投資することはリスクヘッジにもなります。例えば、日本の株式が下落しても、米国や英国の株価が上昇していれば、資産価値の下落を防ぐことが可能です。「リスクをなるべく避けたいが、いくつもの国の株式に投資するほどの資金がない」という方もVTを検討してみてはいかがでしょうか。

手数料が低い

投資信託を売買、保有する際は次の手数料がかかります。

手数料名特徴
販売時手数料投資信託を販売する金融機関に支払う
投資信託の種類や販売会社によっては無料の場合もある
信託報酬保有する投資信託から差し引かれる
年0.5%~2.0%程度
信託財産留保額投資信託の解約代金から差し引かれる
基準金額に対し0.3%程度
発生しない場合も多い

投資信託の種類によっては、年2.0%程度の信託報酬がかかるものもあります。投資信託の売却益が出ても、手数料が高いとそれだけ利益が減るため注意も必要です。

ちなみにVTは経費率が0.07%とかなり低めに設定されています。投資コストをそれほど気にすることなく投資できる点は大きなメリットといえるでしょう。

今後の分配金に期待ができる

VTの分配金は年4回支払われています。直近の配当利回りは1.23%(税込)とそれほど高いとはいえませんが、米国株やその他の国々の株価が上昇し、VTの価格も上昇すれば、分配金が増える可能性は高くなります。価格が上がり切れていない今のうちに購入しておくことも検討してみましょう。

VTのデメリットや注意点

VTには以下のデメリットもありますので、こちらも確認しておいてください。

  • リターンがあまりよくない国の銘柄も組み込まれる
  • 米国株が多い
  • 税金の申告に手間がかかる

リターンがあまりよくない国の銘柄も組み込まれる

VTは米国を中心とした世界中の銘柄を組み込んだ投資信託です。そのため、株価上昇がそれほど期待できない国の銘柄も入っているという特徴もあります。

例えば、ここ30年間の株価の動きを見てみると、米国株の場合、2008年のリーマンショックなどで大幅な下落があった年もありましたが、右肩上がりで株価が上昇しています。しかし、日本株はほぼ横ばいで推移しています。リターンが良い銘柄ばかりというわけではないという点を認識して投資しましょう。

米国株が多い

VTには現時点で59.1%もの米国株が組み込まれています。先述したように米国株は上昇し続けていますので、この組み入れ方は間違ってはいないといえるでしょう。しかし、米国の政治経済に問題が生じ、株価も急落してしまう可能性が全くないというわけではありません。

米国株が多いため、米国全体の株価が急落してしまった場合、VTもそれにつられて大幅に価格が下落してしまうということも考えられます。米国株が多く組み込まれていることはメリットである反面デメリットにつながる恐れもあるのです。

税金の申告に手間がかかる

投資信託の分配金には20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。日本株の投資信託であれば、分配金が出た時点で20.315%の源泉徴収があり、それを差し引いた金額が投資家の手に渡ります。

しかし、米国の投資信託の場合、米国の税率10%も源泉徴収されます。つまり、米国の税金10%を納めた上に、日本の税金20.315%が二重課税されることになるのです。

ただし、外国税額控除により米国の税金分を日本の税金から控除できます。そのためには確定申告が必要です。確定申告がどうしても面倒という方にはVT投資は向いていないといえるでしょう。

VT投資におすすめの証券会社

VT投資をする際におすすめしたい3つの証券会社をご紹介します。

SBI証券

ネット証券大手として有名な会社です。投資信託取扱い本数も2,600本以上と他の証券会社と比較しても非常に多いのが特徴です。投資初心者から上級者まで、どのような方でも利用しやすい証券会社といえるでしょう。

2022年4月1日からは、VTを含む米国ETF10銘柄の買付手数料が無料となっています。投資コストをなるべく節約したいという方におすすめの証券会社です。

野村證券

日本最大手の証券会社です。全国各地に店舗があり来店での相談もできます(要予約)。ネットでの売買が不安な方、相談しながら投資したい方に相応しい証券会社といえるでしょう。国内株だけでなく、外国株・ETFについての分析力が高い点もおすすめポイントです。

売買手数料は取引口座や取引方法によって以下の通り異なっています。

※外国株式(外国ETF)の手数料です

【店舗口座での取引】

売買金額手数料率
7万1,000円以下11.0%
7万1,000円超75万円以下7,810円
75万円超500万円以下1.0450%
500万円超1,000万円以下0.8250%+1万1,000円
1,000万円超5,000万円以下0.6160%+3万1,900円
5,000万円超1億円以下0.4180%+13万900円
1億円超0.1980%+35万9,000円

オンライン専用支店の場合
【オンラインサービスでの取引】

売買金額手数料率
~20万円2,389円
~30万円3,142円
~40万円4,274円
~50万円5,405円
~75万円5,866円
~100万円6,160円
~150万円8,045円
~200万円1万1,817円
~250万円1万5,420円
~300万円1万8,857円
~500万円2万2,125円
~1,000万円3万6,038円
~2,000万円7万400円
~3,000万円13万7,447円
~5,000万円18万8,570円
5,000万円超一律25万1,429円

【電話での取引】

売買金額手数料率
~20万円2,986円
~30万円3,929円
~40万円5,343円
~50万円6,757円
~75万円7,333円
~100万円7,700円
~150万円1万57円
~200万円1万4,771円
~250万円1万9,276円
~300万円2万3,571円
~500万円2万7,657円
~1,000万円4万5,048円
~2,000万円8万8,000円
~3,000万円17万1,810円
~5,000万円23万5,714円
5,000万円超一律31万4,286円

楽天証券

SBI証券同様、ネット証券大手の会社です。「楽天銀行」「楽天ポイント」とも連携しており、楽天グループのサービスをよく使う方であれば非常にお得に利用できる証券会社といえます。

米国ETFの買付手数料は無料となっているため、これから投資を始めたい方も要注目です。

他のETFとの比較

外国のETFにはVT以外にも「VTI」「VEU」「ACWI」などがあります。これらとVTの違いも確認しておきましょう。

VTIとの比較

VTIはVTと同じバンガードが出しているETFです。正式名称は「バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF」といいます。VTが米国株を含む全世界の株式を投資対象にしているのに対し、VTIは米国株のみを投資対象としたETFです。

「米国株のみに投資したい」「他国のリスクが気になる」という方はVTI、「世界の株式に投資したい」「米国株のみの場合のリスクが気になる」という方はVTを選択してください。

VEUとの比較

VEUは米国以外の全世界の株式に投資するETFです。主な組入銘柄にはスイスの「ネスレ」、香港の「テンセント・ホールディングス」、オランダの「ASMLホールディング」などがあります。

すでに米国株や米国株ETFを保有している方は分散投資のためにVEUを検討してもいいのではないでしょうか。

ACWIとの比較

ACWIはVT同様、米国株および世界全体の株式に投資するETFです。組入上位銘柄も「アップル」「マイクロソフト」「アマゾン・ドット・コム」など、VTと非常に似ています。

ただし、経費率を見てみると、VTが0.07%であるのに対し、ACWIは0.32%と高めです。投資コストのことを考えると、VTを選択した方がお得であるといえるでしょう。

世界の株式に投資したい人におすすめの「VT」

VTは世界の米国をはじめとした世界の株式に投資する上場投資信託です。2023年3月時点での組入銘柄はApple社やマイクロソフトなど、世界的に有名なテクノロジー企業が上位になっています。また、全世界が投資対象ではあるものの、50%超が米国株となっていることもあり、米国株の動向に左右される傾向があるともいえるでしょう。

米国株は長い間上昇を続けています。これから米国株にチャレンジしたい方、複数の国の株式に投資して値下がりリスクをなるべく抑えたいという方は、ぜひVTへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

VTとは?

米国株を中心とした全世界の株式に投資する上場投資信託(ETF)です。 詳しくはこちらをご覧ください。

VTにおすすめの証券会社は?

ネット証券であれば「SBI証券」「楽天証券」、店舗型の証券会社であれば「野村證券」がおすすめです。 詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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