- 更新日 : 2023年7月28日
ローソク足とは?見方や形、チャート分析の基本
株式投資に関心のある方なら「ローソク足」という言葉に触れたことがあるのではないでしょうか。この記事ではローソク足の存在を知ってはいるものの、株式投資にどう活用したら良いかわからないという方に向けてローソク足の形やその見方、チャート分析やテクニカル分析にどう活用したら良いかをご説明します。また、ローソク足を株式投資に活用する際の注意点についてもご紹介します。
目次
ローソク足とは
「ローソク足」とは、株価の動きを視覚的に表したものであり、ローソクに似た形をしています。各銘柄の時間区切り(1時間、1日、1週間、3カ月など)ごとに作成されています。
詳細については、後段でご説明しますがローソク足を見ると、各銘柄の時間区切りごとの始値や終値、高値、安値を一目で把握できます。ローソク足の見方を知ると、今後の価格推移を予想する材料を手に入れられるため、多くの投資家に活用されています。
ローソク足の見方
ローソク足の概要についてご説明します。
「ヒゲ」と「実体」の2部分で成り立っている
ローソク足は、下図のように「ヒゲ」と「実体」の2つの部分で成り立っています。ローソク足は株価の動きで、形が変わります。
「実体」は、通常は上図のように四角形で表されます。実体の色によって、「陽線」と「陰線」に分けられます。陽線は白色や赤色で表され、陰線は黒色や青色で表されるのが一般的です。陽線と陰線のいずれにおいても、実体の長さによって、値動きの幅を読み取ることができます。始値と終値の価格差が大きければ実体は長くなり、始値と終値の価格差が小さければ実体は短くなります。
「ヒゲ」は高値と安値を示しています。詳しくは後段でご説明しますが、陽線か陰線であるかによって、始値と終値を示している箇所は異なります。
ローソク足の色で意味が異なる
実体の色によって、ローソク足が示す意味は以下の図のように異なります。
「陽線」は、終値が始値より高かったとき、つまり株価の値上がりを意味しています。このとき実体の上部が終値、下部が始値を示しており、上ヒゲの先端は高値、下ヒゲの先端は安値を示しています。
「陰線」は、終値より始値の方が高かったとき、つまり株価の値下がりを意味しています。このとき実体の上部が始値、下部が終値を示しており、陽線と同様に上ヒゲの先端は高値、下ヒゲの先端は安値を示しています。
ローソク足の基本の形
ローソク足の概要をご説明しましたが、ローソク足は株価の動きによって形が異なります。よく見られるローソク足の基本の形についてご説明します。
大陽線・大陰線
大陽線・大陰線は、ローソク足の実体が他のローソク足に比べて極端に大きい形をしているものです。陽線の場合「大陽線」と呼ばれ、値上がりの勢いが続く状況が予想されます。陰線の場合「大陰線」と呼ばれ、値下がりの勢いが続く状況が予想されます。
安値圏で「大陽線」が現れたら買いのタイミング、高値圏で「大陰線」が現れたら売りのタイミングと捉えることができます。
大陽線・大陰線は、ヒゲの状況によって見方が異なります。
ヒゲが全くない場合、大陽線であれば値上がり、大陰線であれば値下がりの勢いが、それぞれ全く止まらなかった状況であるため、買いまたは売りの大きなタイミングと見ることができます。
また、後段でご説明する上影陽線・上影陰線、下影陽線・下影陰線の要素も考慮してローソク足を見ると、株価の動きをより掴みやすくなります。
小陽線・小陰線
小陽線・小陰線は、ローソク足の実体が比較的小さい形をしているものです。特に実体だけではなくヒゲも短い場合、株価の値動きの幅が小さいことから、売りと買いの動きが拮抗(きっこう)している状況であると予想されます。
小陽線と小陰線も、上影陽線・上影陰線、下影陽線・下影陰線の要素も考慮してローソク足の意味するものを考えてみると良いでしょう。
上影陽線・上影陰線
上影陽線・上影陰線は、ローソク足の上ヒゲが長い形をしているものです。陽線で上ヒゲが長いものを「上影陽線」、陰線で上ヒゲが長いものを「上影陰線」といいます。影とはヒゲの別名です。
上影陽線は、高値をつけた後に大幅に値下がりし、終値が始値よりも少し高い程度で終わった状況を示します。上影陰線は高値をつけたものの終値が始値よりも安くなった状況を示しています。
買いの動きが弱くなってきている状況と考えれば、高値圏で上影陽線・上影陰線が現れたときは売りのタイミングと見ることができます。
下影陽線・下影陰線
下影陽線・下影陰線は、ローソク足の下ヒゲが長い形をしているものです。陽線で下ヒゲが長いものを「下影陽線」、陰線で下ヒゲが長いものを「下影陰線」といいます。影とはヒゲの別名です。
下影陽線は、安値をつけた後に大幅に値上がりした状況を示し、下影陰線は安値をつけた後に買い戻されて終値が始値よりもわずかに低いところまで回復した状況を示しています。
買いの動きが強くなっている状況と考えれば、安値圏で下影陽線・下影陰線が現れたときは買いのタイミングと見ることができます。
十字線
十字線は、先にご紹介した小陽線・小陰線の極端な例と考えてみると分かりやすいでしょう。ローソク足の時間区切りの中で、値動きはあったものの始値と終値が同じで、かつ上ヒゲと下ヒゲの長さも同じくらいになっているものを十字線といい、売りと買いの勢いが拮抗している状態を示しています。
ローソク足を使ったチャート分析
ローソク足の基本の形を踏まえた上で、チャート分析の例をいくつかご紹介します。
包み線
包み線は、一つ前のローソク足をヒゲも含めて全て包む長いローソク足が現れるケースです。包み線には2つのパターンがあり、そのパターンを見つけることで買いのタイミングか売りのタイミングかを検討できます。
パターン1 陰線から陽線
一つ前のローソク足では株価の動きが比較的弱含みだったものの、大きな買いの勢いにより次のローソク足では高い終値をつけている状況です。つまり、買いのタイミングと見ることができます。
パターン2 陽線から陰線強
一つ前のローソク足では株価の動きが比較的強含みだったものの、大きな売りの勢いにより次のローソク足では低い終値をつけている状況です。つまり、売りのタイミングと見ることができます。
はらみ線
はらみ線とは、一つ前のローソク足の範囲内で収まるローソク足が現れるケースです。はらみ線には2つのパターンがありますが、いずれも様子見の相場状況を示しています。
パターン1 陰線から陽線
パターン2 陽線から陰線
窓
窓とは、ローソク足とローソク足の間に生じる空間を指します。窓が現れるのは、株価の大きな動きが原因です。マーケットが閉じた後に生じた大きなニュースにより、次に行われる最初の取り引きまでに投資家の買い注文や売り注文が殺到すると窓が現れます。窓の現れ方には、「上方の窓」と「下方の窓」の2つのパターンがあります。
パターン1 上方の窓
上方の窓は、マーケットが閉じた後に好材料となるニュースなどが発表されて買い注文が殺到し、前日の終値よりも大幅に高い始値をつけたときに現れます。上方の窓が現れると、さらに株価が上昇する可能性があります。
パターン2 下方の窓
下方の窓は、マーケットが閉じた後に懸念材料となるニュースなどが発表されて売り注文が殺到し、前日の終値よりも大幅に低い始値をつけたときに現れます。下方の窓が現れると、さらに株価が下落する可能性があります。
ただし、ある程度、上昇(下落)した後は反発の動きも生じるため、窓が生じる前の株価に戻る「窓埋め」という動きが生じるのが一般的です。
星
チャートにおける星とは、前後のローソク足の間に先ほどご説明した「窓」が生じているとき、真ん中にあるローソク足のことを指します。先にご説明した「包み線」や「はらみ線」は2本のローソク足の組み合わせでしたが、星は3本のローソク足の組み合わせで株価の推移を見ます。
星に注目したチャート分析には「宵の明星」、「明けの明星」と呼ばれるものがあります。
宵の明星
宵の明星が現れるのは、買いの動きが強い陽線となった後、次のローソク足では動きが鈍く、さらに次のローソク足では売りの動きが強まった陰線となった状況です。高値圏でこの動きが現れたとき、株価の天井と見ることができます。
明けの明星
明けの明星が現れるのは、売りの動きが強い陰線となった後、次のローソク足では動きが鈍く、さらに次のローソク足では買いの動きが強まった陽線となった状況です。安値圏でこの動きが現れたとき、株価の底と見ることができます。
ローソク足と他テクニカル分析手法の組み合わせ
ローソク足の基本の形は、一つの形だけでなく、組み合わせで考えるとより株価の推移を把握しやすくなります。さらに、ローソク足と他のテクニカル分析手法を組み合わせることで、より高度なチャート分析ができるようになります。
ローソク足と移動平均線
移動平均線との組み合わせでチャート分析を行うことができます。移動平均線とは、一定期間における株価の終値の平均値を線で結んでできた指標のことで、短期のものから長期のものまでさまざまな種類があります。移動平均線を用いた売買のタイミングを見極める代表的な方法は「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」です。
ゴールデンクロスは横ばいあるいは上向きの短期移動平均線が、長期移動平均線を下から上に突き抜ける状態を指します。一般的に株価上昇のサインといわれています。
デッドクロスは横ばいあるいは上向きの短期移動平均線が、長期移動平均線を下から上に突き抜ける状態を指します。一般的に株価下落のサインといわれています。
ゴールデンクロスとデッドクロスは比較的現れやすいサインですが、いずれも「だまし」と呼ばれるニセのサインである場合も少なくありません。ニセのサインであることを見落とさないためにも、ローソク足の状況を合わせて分析することで、相場の傾向を多面的に分析できます。
ローソク足とボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとの組み合わせでチャート分析を行うことができます。ボリンジャーバンドとは統計学の標準偏差の考え方を採用しています。株価は移動平均線から一定の範囲で変動するという考えをもとに株価の推移を予測する分析ツールです。
チャートにボリンジャーバンドを表示させると、表示される幅が狭くなっている部分と広がっている部分を確認できます。狭くなっている部分は「スクイーズ」と呼ばれ、売買の動きが拮抗している状態といわれています。広がっている部分は「エクスパンション」と呼ばれ、売買の勢いが大きい状態といわれています。
ボリンジャーバンドの見方には、この他にもありますが、先ほどご紹介した「スクイーズ」と「エクスパンション」の状況において、ローソク足がどのような動きをしているかを併せて分析をするところから始めてみると良いでしょう。
ローソク足の注意点
ローソク足を見ること、分析することの注意点は主に次の3点です。
ローソク足に依存しない
ローソク足には、株価動向の情報がぎっしり詰まっています。しかし、ローソク足に限ったことではありませんが、一つの指標だけで株価動向の予測をするのはおすすめしません。今回ご紹介したローソク足の形がどのようなタイミングで出現しているのか、他の指標との組み合わせで考える姿勢を大切にしましょう。
将来の価格動向を正確に予測することはできない
将来の価格動向は、突発的な事象により大きく変わることがあります。そのため、ローソク足の形や出現のタイミング、他の指標との組み合わせを入念に分析しても、予測が絶対に的中するとは限らないという点には留意しておきましょう。
異なる時間枠で異なるパターンが表示される
ローソク足は、1日、1週間、1カ月など、さまざまな時間の区切りで表示させることができます。実際にご覧になると一目瞭然ですが、時間の区切りによってローソク足は異なるパターンが表示されます。一つの時間の区切りで判断せず、さまざまな時間の区切りを比較してみるのも株価動向を把握するためには必要です。
ローソク足も含めた多面的な分析姿勢を大切に!
ローソク足とその推移には、株価動向の情報がぎっしり詰まっています。今後の株価動向を読み解く上で、投資家にとって有益なツールといえます。ローソク足の分析方法には、今回ご紹介した代表的なもの以外にも、さまざまなものがあります。まずは基本的かつ代表的なものから売買のタイミングを学習し、徐々に分析方法の引き出しを増やしてみてはいかがでしょうか。
ただし、ローソク足だけを見て株価動向を予測するのは十分ではありません。ローソク足を複数の時間の区切りで確認するとともに他の指標も併せて活用して、多面的に分析を行う姿勢を大切にし、さらに賢い投資家になる一歩を踏み出していきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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