ストップ高とは?原因や値幅の動き、投資戦略の解説

証券取引所では、市場や投資家を守るためにさまざまなルールが定められています。その一つが、1日の値幅を制限する「ストップ高」です。ストップ高銘柄の売買は大きな利益を生み出す可能性を秘めているため、多くの投資家から注目を集めます。本記事ではストップ高の原因や値幅、連続した場合の値幅を解説。あわせて実際の事例を見た上で、投資戦略や注意点をご紹介します。

ストップ高とは

「ストップ高(すとっぷだか)」は、制限された値幅の上限まで株価が上がった状態のことです。相場の急騰によって生じる市場の混乱を避けるため、証券取引所では1日の値幅を株価の水準に合わせて制限しており、値幅を超えた取引は行われません。値幅は、前日の終値もしくは最終気配値段(基準値段)を基準として算出されます。つまり、基準値段が100円の銘柄が翌日10,000円になるといった大幅な値上がりは生じ得ないのです。

この反対の意味を持つのが「ストップ安(すとっぷやす)」で、制限値幅の下限に達した状態を指します。ストップ高と同じく、急激な株価下落による市場の混乱を避けるために設けられた制度で、制限を下回る株価での取引は行われません。ストップ安の制限値幅や事例に関しては、こちらをご覧ください。

ストップ高の発生原因

前述の通り、ストップ高は値幅制限の上限まで株価が上がった状態です。一般的な株価が上昇するタイミングと同じように、多くの投資家が該当銘柄の購入を望み、注文が殺到していると考えるとわかりやすいでしょう。ストップ高の発生理由はさまざまですが、以下のような原因や背景が挙げられます。

  • 決算書の発表
  • 業績改善
  • TOB(公開買付)の発表や成立への期待
  • 大きな話題となる新規事業発表
  • 株主への待遇や還元の拡大
  • 大手企業との協業発表
  • マスメディアへの露出(経営陣を含む)

上記はあくまで一例ですが、いずれも多くの人が銘柄に注目する「ポジティブな理由」が関係しています。特に公開買付者となる企業が買付期間や価格、枚数をあらかじめ発表した上で取引所外において株式を大量に買い集める「TOB(株式の公開買付)」が発表された直後は市場価格も大幅に上昇する傾向にあります。TOBに応じる場合のプレミア価格には届かずとも、付随するかたちでストップ高になるような急変動が記録されやすいのです。

ストップ高の値幅

では、どこまで値上がりすると値幅制限が適用され、ストップ高となるのでしょうか。以下の表の通り、ストップ高の値幅は基準値段によって異なります。なお、ストップ安の場合も同じ値幅が適用されます。

基準値段制限値幅
100円未満30円
100円以上、200円未満50円
200円以上、500円未満80円
500円以上、700円未満100円
700円以上、1,000円未満150円
1,000円以上、1,500円未満300円
1,500円以上、2,000円未満400円
2,000円以上、3,000円未満500円
3,000円以上、5,000円未満700円
5,000円以上、7,000円未満1,000円
7,000円以上、10,000円未満1,500円
10,000円以上、15,000円未満3,000円
15,000円以上、20,000円未満4,000円
20,000円以上、30,000円未満5,000円
30,000円以上、50,000円未満7,000円
50,000円以上、70,000円未満10,000円
70,000円以上、100,000円未満15,000円

※100,000円以上省略

上の表をもとに、例で考えてみましょう。

例1)基準値段となる前日の終値が300円の銘柄では、制限される値上がり幅はプラス80円(上表の3段目に該当)となります。翌日の株価は最大でも380円までしか上がりません。

例2)基準値段となる前日の終値が25,000円の銘柄では、制限される値上がり幅はプラス5,000円(上表の14段目に該当)となります。翌日の株価は最大でも30,000円までしか上がりません。

ストップ高が連続した場合

2営業日連続して次のいずれかのパターンに当てはまる場合は、翌営業日に臨時措置が適用されて本来の4倍まで制限値幅が広げられます。

<値幅制限拡大の条件 ※下記のいずれか>

  • 連続してストップ高を記録し、かつストップ配分が行われずに売買高が0株
  • 売買高が0株のまま午後立会終了を迎え、午後立会終了時に限りストップ高で売買が成立している。加えて、ストップ高に買呼値の残数がある

臨時措置が適用されると制限値幅1,500円であれば基準値段プラス6,000円まで、制限値幅が10,000円であれば基準値段プラス40,000円まで値上がりするわけです。ただし上下幅が一定に拡大されるわけではなく、上限幅のみ4倍となります。なお、臨時措置が適用される場合は、証券取引所のホームページなどで通知が出されます。

ストップ高が連続したあとに値幅上限に満たない株価で売買が成立すると、翌営業日以降は通常の制限値幅に戻ります。値幅上限の4倍→ストップ安になるケースも考えられるため、通常よりも大きな値動きとなる可能性も想定しておきましょう。

ストップ高の事例

実際に銘柄が急伸してストップ高を記録した事例を見ていきましょう。ヤーマン、サンリオ、岡三証券グループの3事例の値幅と株価上昇の理由を解説します。

事例①ヤーマン株式会社:業績予想の上方修正による期待感の高まり

2022年11月17日、美容健康機器の開発・販売や化粧品の輸入販売を手がけるヤーマン株式会社の株価が急騰し、ストップ高(前日比:+300円、1,406円)を記録しました。前日に発表された同年5~10月期の純利益が予想を大きく上回ったことが影響したと考えられ、通期計画達成への期待感から買いが殺到しました。

事例②株式会社サンリオ:コロナ禍からの回復、業績予想の上方修正による期待感

2023年3️月17日、ファンシーキャラクターグッズの販売や出版・映画事業、テーマパーク事業などを手がける株式会社サンリオの株価が急騰し、ストップ高(前日比:+700円、4,885円)を記録しました。コロナ禍にはテーマパーク事業が大きく落ち込んだものの、次第に業績は回復し、キャラクター商品の販売でも大きく躍進。前日に発表された同年3月期の業績予想の上方修正を受け、株価上昇への期待感から買い注文が殺到しました。

事例③株式会社岡三証券グループ:株主還元目標の発表による好感

2023年3月27日、投資・金融サービスを展開する岡三証券グループの株価が急騰し、ストップ高(前営業日比:+80円、481円)を記録しました。前営業日となる24日にPBR(株価純資産倍率)が1倍超となるまで年間10億円以上の自社株買いを行うことを盛り込んだ、新たな株主還元目標を発表したことが影響しています。投資家らの好感を集めた結果、買いが集まりました。

ストップ高を利用した投資戦略

ストップ高の銘柄を取得する場合、どのタイミングで手を出すのかによって利益が大きく変化します。同じ頃合いを待っている投資家も多いと理解したう上、タイミングや株数を判断していきましょう。

ストップ高比例配分を狙う

ストップ高が適用される場合、売買状況によっては「ストップ配分」と呼ばれる特殊な配分法が用いられます。これは売買バランスがいずれかに偏っている際に、各証券会社からの注文数量に応じて1単位ずつ株式を配分する制度のこと。各証券会社は社内規定にのっとって投資家へ配分します。買いが殺到しているため望んだ株数を必ず購入できるわけではありませんが、リスクを抑えながらストップ高銘柄を購入したい方には有益です。

ふるい落としのタイミングを狙う

ストップ高対象株のさらなる価上昇をもくろむ一部の投資家が、「ふるい落とし」と呼ばれる手法をとる可能性があります。本来望まれる水準に到達する前に株価を大量売却し、株価を下げて初心者投資家などに売却を誘う行為です。このタイミングを待つと、価格が上昇しきっていないタイミングで取得できる可能性が高まります。

ストップ高に関する注意点

急伸している銘柄を売買する以上、ストップ高を利用した投資にはリスクを伴います。次のポイントに注意しながら、冷静かつ素早く状況を判断していきましょう。

エントリータイミング別のリスクや可能性を理解する

先ほどストップ高を利用した投資戦略をご紹介しましたが、どのタイミングにおいてもエントリーしたからといって必ず利益が出るわけではありません。比例配分を狙う場合には「そもそも購入できない可能性が高いこと」「翌日以降に下落する可能性があること」を、ふるい落としのタイミングを狙う場合には「低い株価のまま動かない可能性」や「ほかの投資家からも同じタイミングで注文が殺到すること」などを理解しておきましょう。

もともと保有している場合は「割高か、割安か」を考える

株価急騰前から該当株を保有していた場合、どのタイミングで売却するのかが非常に重要です。ストップ高を記録したからといって慌てて売却するのではなく、まずはその銘柄の価値を冷静に分析しましょう。値上がり後の株価をまだ割安だと感じる場合は保有を続けて、自分の納得できるタイミングで売却するのも一案です。反対に、銘柄や企業、過去のチャートなどを分析したう上割高になったと感じるのであれば素早く売却してもよいでしょう。「もっと上がるかも」という気持ちが働いてしまいますが、株価が急落するリスクも考慮したう上期待値を上げすぎずに判断してくださいね。

ストップ高のタイミングこそ落ち着いて売買を

投資家の過熱化や市場の混乱を防ぐために設けられている「制限値幅」。ストップ高と聞くと「このタイミングですぐに売り買いしないと」という気持ちになりますが、慌てて取引するのはおすすめできません。もちろん瞬発力が必要になる場面もありますが、通常の株式売買と同様、材料分析や買い注文数の確認など、情報を整理しながら落ち着いて売買するのが賢明でしょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。