投資信託の信託報酬とは?目安や計算方法の解説
投資信託を選ぶ際は、保有期間中の手数料や購入時もしくは売却時の費用についても確認することが大切です。投資信託にかかる主な手数料として「販売手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3つが挙げられますが、この中でも信託報酬は投資信託の保有期間中、日々負担する必要があることから注意が必要です。
今回の記事では投資信託における信託報酬の計算方法や目安、おすすめのファンドについて取り上げてみました。
目次
投資信託にかかる主な手数料とは
投資信託には、以下3つの手数料がかかります。
- 販売手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
ここではそれぞれの手数料について、解説します。
販売手数料
購入時手数料とは、投資信託の購入時に生じる手数料のことです。また、投資信託の中には「ノーロード」と呼ばれる購入時手数料が無料の商品もあります。
信託報酬
信託報酬は投資信託を保有している限り、毎日日割りで支払われる費用のことであり、またの名を「運用管理費用」とも呼ばれます。投資信託の中でも、「日経平均株価」や「東証株価指数(TOPIX)」などの指数や、指標と連動した運用を目指すパッシブファンド(インデックスファンド)は信託報酬が低い傾向にあります。(逆にアクティブファンドは高い傾向にある)
紹介している3つの手数料の中でも、毎日差し引かれる信託報酬は長期的に見て運用成果に与える影響が大きく、注意が必要です。
信託財産留保額
信託財産留保額は、投資信託の解約時の手数料と一緒に支払わなければならない費用のことです。支払いの額は、0.2%や0.5%など金機機関によって異なるので、確認しておく必要があります。
信託報酬の計算方法
3つの手数料のうち、信託報酬は以下の計算式によって求められます。
たとえば、購入金額が200万円で税引き前の信託報酬が0.5%の場合、1日あたりにかかる信託報酬負担は以下の通りです。
200万円×0.5%×1.1÷365≒30円
上記の計算より、1日あたり約30円、年間で約11,000円の信託報酬がかかることがわかります。
信託報酬の目安・平均
投資信託協会が公表したデータ「公募株式投信(追加型)における運用管理費用(信託報酬)の状況」によると、追加型の公募株式投資信託(対象ファンド数:5,196本)の信託報酬率の平均は2018年12月末時点で、1.08%(税抜き)となっています。なお、最も高かったファンドは2.38%、最も低かったファンドでは0.06%となっていました。
信託報酬を確認するには
信託報酬の額は投資信託の説明書(目論見書)や、証券会社の商品ページに記載されています。先にも述べたように、信託報酬は投資信託を保有している限り、毎日引かれてしまうことから長期的な投資になればなるほど影響が大きくなります。思ったよりも信託報酬が高く利益が残らなかったということにならないよう、自分できちんと確認しておくことが大切です。
投資信託の手数料を安く抑える方法
ここでは投資信託の手数料を安く抑える方法を3つ、紹介します。
- 信託報酬の安いインデックスファンドを選ぶ
- 販売手数料がかからない商品を選ぶ
- 信託財産留保額がない商品を選ぶ
それぞれについて、見ていきましょう。
信託報酬の安いインデックスファンドを選ぶ
投資信託の運用方法は以下の3つに大別されます。
- インデックス型
- アクティブ型
- バランス型
このうち、インデックス型のファンドは信託報酬が比較的安く設定されており、少ないコストで運用できるのが特徴です。それに対して、アクティブ型は、運用がうまくいけば市場平均を超えるハイリターンになる可能性がありますが、運用会社に信託報酬が比較的高いため、投資にひもづくコストが高くなります。
また、インデックスファンドよりも若干手数料がかかってしまうことを許容できるのであれば、分散投資がより簡単にできるバランス型のファンドもおすすめです。
バランス型のファンドは投資家自身で投資バランスを調整することはできない一方で、資産運用の知識がそれほどない投資初心者であってもリスクを抑えた投資ができます。自分にどのファンドが適しているのか考えることはもちろん、信託報酬はファンド毎に異なるため、投資を始める前に確認することが大切です。
販売手数料がかからない商品を選ぶ
販売手数料は各販売会社によって異なります。そのため、たとえ同じ商品であっても会社が違えば手数料が異なるほか、中には手数料がかからないノーロードと呼ばれる商品も見受けられます。つみたてNISAなどは取扱商品がノーロードに限られているほか、運用益に対する税金も非課税となることから、まだ制度を利用していない方はこの機会に検討してみるのもよいかもしれません。
信託財産留保額がない商品を選ぶ
投資信託を解約し、換金する場合、信託財産留保額といった費用がかかります。昨今では信託財産留保額を設けていない商品はあまりない傾向ですが、信託財産留保額が設けられている商品もあるため、購入前にきちんと確認しましょう。
信託報酬が安いおすすめの投資信託
信頼報酬が安い商品を知りたいという方もいるのではないでしょうか。ここではおすすめの投資信託について紹介します。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXISslim全世界株式(オール・カントリー)は、アメリカ・日本などの先進国はもちろん、中国・韓国といった新興国の株式にも投資を行っている商品です。資産全体の構成比率として、先進国が約9割を占めています。
また、信託報酬率については、2023年9月8日に見直しが行われた結果、0.05775%となり、業界きっての低水準となっています(2023年9月29日時点)。
先進国を中心に、さまざまな国への投資を行いながら中長期的に資産を増やしたいと考えている方におすすめの投資信託です。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは、日本を除く先進国の株式に低コストで投資できるインデックス型の商品です。投資割合としては全体の約7割がアメリカを占めており、すでに日本株を運用しており、手堅いところから外国株にチャレンジしたいと考えている方に適しているでしょう。また、信託報酬率は0.09889%と低く設定されているほか、新興国に比べるとカントリーリスク(※)が低いといった点で長期的に資産形成をしたい人にもおすすめです(2023年9月29日時点)。
(※)カントリーリスク:投資する国や地域の政治、経済、社会情勢などの変化に起因するリスクのこと
eMAXIS 新興国株式インデックス
eMAXIS 新興国株式インデックスは、中国や台湾、韓国で5割以上を占めているのが特徴のファンドで、その他にもインドやブラジル、南アフリカにも投資を行っています。そのため、アジアをメインとした新興国投資がしたい人にはピッタリの商品といえるでしょう。また、信託報酬は0.1518%と、他の2銘柄には劣るものの、かなりの低水準となっています(2023年9月29日時点)。
信託報酬が低水準な商品を選択するようにしよう
今回の記事では投資信託における信託報酬の計算方法や目安、おすすめのファンドについて取り上げました。信託報酬は日々生じる手数料であり、中長期ではそれなりの影響を及ぼすことは避けられません。投資信託を購入する際はインデックス型のファンドやバランス型のファンドなど、比較的信託報酬が低く設定されている商品を選ぶことを心がけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。