- 作成日 : 2024年6月7日
20代の平均貯金額はいくら?老後に備えていくらあれば安心?
20代の平均貯金額は、総世帯で約131万円、単身世帯で約118万円ですが、個人差が大きいのが特徴です。本記事では、年収別の平均貯蓄額や、500万円以上の高額の貯蓄を持つ20代の割合など、具体的なデータを交えながら、20代の貯蓄の現状を明らかにしています。また、老後資金の目安額や、つみたてNISA、iDeCoなどの具体的な貯蓄・資産形成方法も紹介しております。
目次
20代の平均貯蓄額
20代の方々がどれくらいの貯蓄をしているのか、気になるところですよね。ここでは、20代の平均貯蓄額について詳しく見ていきましょう。
「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、20代全体の平均貯蓄額は、金融資産を保有している場合で131万円、金融資産を保有していない場合で75万円となっています。しかし、この数値はあくまで平均であり、実際の貯蓄額は個々の生活状況や収入、支出などにより大きく異なります。
単身者の場合、金融資産を保有している場合の平均貯蓄額は118万円、金融資産を保有していない場合の平均貯蓄額は65万円となっています。
一方、20代を世帯主とする二人以上世帯の平均貯蓄額は、金融資産を保有している場合で170万円、金融資産を保有していない場合で105万円となっています。
20代の平均貯蓄額は、単身世帯と2人以上の世帯で大きな差があることがわかります。これは、2人以上の世帯では共働きや家族の支援などにより、収入が増加する一方で、単身世帯では家賃や生活費などの出費が大きくなるためと考えられます。
【20代の金融資産保有世帯の場合】
世帯 | 平均貯蓄額 | 貯蓄額のうち定期性預貯金 |
---|---|---|
総世帯 | 131万円 | 33万円 |
2人以上世帯 | 170万円 | 54万円 |
単身 | 118万円 | 26万円 |
【20代の金融資産を保有していない世帯を含む場合】
世帯 | 平均貯蓄額 | 貯蓄額のうち定期性預貯金 |
---|---|---|
総世帯 | 75万円 | 19万円 |
2人以上世帯 | 105万円 | 33万円 |
単身 | 65万円 | 14万円 |
これらの数値はあくまで平均的なものであり、個々の状況により大きく異なります。
ここでいう金融資産とは、預貯金(ゆうちょ銀行の貯金を含む)、金銭信託、積立型保険商品(生命保険・損害保険)、個人年金保険、債券、株式、投資信託(MRF、MMF、REITなどを含む)、財形貯蓄、その他の金融商品(金貯蓄口座、金融派生商品など)を指します。また、定期性預貯金とは、一定期間預けることで利息を得られる預金のことを指します。
年収別・20代の平均貯蓄額
年収によっても貯蓄額は大きく変わることがあります。ここでは、年収別の20代の平均貯蓄額について、単身世帯と2人以上の世帯に分けて見ていきましょう。
以下の表は、20代の年収別の金融資産保有額の中央値を示しています。
年収 | 2人以上世帯 | 単身 |
---|---|---|
300万未満 | 8万円 | 5万円 |
300万~500万円未満 | 10万円 | 60万円 |
500~750万円未満 | 70万円 | 200万円 |
750~1,000万円未満 | 260万円 | – |
1,000~1,200万円未満 | 3万円 | 3万円 |
1,200万円以上 | 700万円 | 220万円 |
この表から、年収が高くなるほど平均貯蓄額も増加していることがわかります。同じ年収帯でも、2人以上の世帯の方が単身世帯よりも平均貯蓄額が高い傾向にあります。
【中央値とは?平均値との違い】
中央値とは、すべての数を少ない順に並べたときにちょうど中央にくる数値を指します。平均値とは、すべての数を足して均等に分けた数値を指します。平均値は、一部の高額資産保有世帯によって大きく引き上げられる傾向があり、全体の実態を正確に反映しない場合があります。それに対して、中央値は外れ値の影響を受けにくく、そのため全体の実感により近い値となることが多いです。
20代の貯蓄額の割合
20代の貯蓄額は、個人差が大きいのが特徴です。一部の高所得者や親から資産を受け継いだ人を除くと、多くの20代は貯蓄額が少ない傾向にあります。しかし、中には計画的に貯蓄や資産形成に取り組み、高い貯蓄額を持つ20代もいます。
総務省の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、20代の単身世帯、2人以上世帯における平均貯蓄額は次のような分布となっています。
金融資産保有額 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
---|---|---|
100万円未満 | 40.9% | 34.3% |
100~200万円未満 | 19.5% | 15.7% |
200~300万円未満 | 9.4% | 13.0% |
300~400万円未満 | 8.8% | 7.4% |
400~500万円未満 | 4.5% | 7.4% |
500~700万円未満 | 7.1% | 6.5% |
700~1000万円未満 | 3.9% | 3.7% |
1000~1500万円未満 | 2.9% | 1.9% |
1500~2000万円未満 | 0.0% | 0.0% |
2000~3000万円未満 | 0.0% | 3.7% |
3000万円以上 | 0.0% | 0.9% |
無回答 | 2.9% | 5.6% |
参考:「家計の金融行動に関する世論調査(金融資産保有世帯)|金融広報中央委員会
20代で貯蓄額500万円以上700万円未満の世帯の割合
20代で貯蓄額が500万円以上700万円未満の世帯の割合は、単身世帯で約7.1%、2人以上の世帯では6.5%です。
この数字は、一見少なく感じるかもしれませんが、20代はまだ社会人生活が始まったばかりの世代であり、大学生や大学院生など、まだ収入が安定していない人も多いことを考えると、この割合は決して低いものではありません。
また、貯蓄額は個々の生活状況や収入、支出などにより大きく異なります。一部の20代は高収入を得ているかもしれませんが、多くの20代はまだキャリアの初期段階にあり、収入もそれほど高くないのが一般的です。
したがって、20代で500万円以上の貯蓄を持っているということは、その人が一貫して節約を行い、収入を賢く管理していることを示しています。これは、金融的な健全性と自己管理能力の高さを示す指標とも言えます。
20代で貯蓄額1,000万円以上1,500万円未満の世帯の割合
20代で貯蓄額が1,000万円以上1,500万円未満の世帯の割合は、単身世帯で約2.9%、2人以上の世帯では約1.9%となっています。大多数の20代にとって、1,000万円以上の貯蓄は非常に高いハードルといえます。
20代で貯蓄額2,000万円以上3,000万円未満の世帯の割合
20代で貯蓄額が2,000万円以上3,000万円未満の世帯の割合は、単身世帯で約0.0%、2人以上の世帯では約3.7%となっています。2,000万円以上の貯蓄を持つ20代は、ごく一部の高所得者や資産家に限られることが予想されます。
20代で貯蓄額3,000万円以上の世帯の割合
20代で貯蓄額が3,000万円以上ある世帯の割合は、単身世帯でで約0.0%、2人以上の世帯では0.9%となっています。3,000万円以上の貯蓄を持つ20代は、極めてまれなケースといえるでしょう。
20代は老後に備えていくらあれば安心?
20代のうちから老後資金の準備を始めることは、将来の安定した生活のために重要です。では、具体的にいくらの貯蓄があれば老後に安心できるのでしょうか。
一般的に言われている老後資金の目安は2,000万円とされています。しかし、これはあくまで一般的な目安であり、個々の生活スタイルや希望する老後の生活水準により、必要な金額は大きく変わります。
例えば、単身者の場合、老後資金としては約1,500万円~2,000万円が目安とされています。一方、夫婦の場合は約3,000万円が必要とされています。
また、具体的な生活費としては、生命保険文化センターが公表している「ゆとりある老後生活を送るための費用」は「最低日常生活費23万2,000円」に「ゆとりのための上乗せ額14万8,000円」を足した約37万9,000円(月額)です。
一般的に、老後資金は次の計算式で求められます。
老後資金 = (老後の年間生活費 - 年金受給額)× 老後の年数
例えば、老後の年間生活費を300万円、年金受給額を150万円、平均寿命を90歳、定年を65歳とすると、以下のようになります。
老後資金 = (300万円 - 150万円)× (90歳 - 65歳)
= 150万円 × 25年
= 3,750万円
この計算例では、老後に必要な資金は約3,750万円となります。
20代におすすめの貯蓄・資産形成方法
20代のうちから効果的な貯蓄・資産形成方法を実践することで、将来の経済的安定を築くことができます。ここでは、20代におすすめの貯蓄・資産形成方法をいくつか紹介します。
投資信託を積み立てる「新NISAつみたて投資枠」
新NISAつみたて投資枠は、投資信託を使って長期的に資産を積み立てるための制度です。投資信託とは、多くの人から集めたお金をプロの運用者が株式や債券などに投資し、その運用成果を投資家に分配する金融商品のことです。
新NISAつみたて投資枠を利用すると、年間120万円までの投資で得られる利益に税金がかからないため、投資初心者の方にもおすすめです。毎月一定の金額を投資信託に積み立てることで、長期的に資産を増やすことを目指せます。
自分で年金資金を準備する「iDeCo」
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分自身で将来の年金資金を積み立てていく制度です。iDeCoに支払う掛金は所得控除の対象となり、運用で得た利益にも税金がかからないため、長期的な資産形成に適しています。iDeCoでは、自分で選んだ金融商品に毎月一定の金額を積み立てていきます。これにより、公的年金に加えて、自分で準備した年金資金を将来受け取ることができます。
長期投資も短期投資も可能! 新NISA(成長投資枠)を使った「株式投資」
株式投資とは、企業の株を購入することで、その企業の業績に応じて得られる配当金や株価の上昇による利益を目指す投資方法です。新NISA(成長投資枠)を活用すると、投資で得た利益に税金がかかりません。株式投資にはリスクが伴いますが、企業や経済状況について適切な知識と情報を持つことで、資産形成の一つの手段となり得ます。株式は短期的な売買でも利益を狙うことができますが、長期的に保有することで、株価の上昇による利益も期待できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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