厚生年金基金とは?厚生年金との違いや解散についてわかりやすく解説

厚生年金基金とは、企業が独自で運営している企業年金のことです。2024年3月1日現在、存続しているものは5基金のみですが、1996(平成8)年のピーク時には1883基金が存在していました。本記事では厚生年金基金の概要や他の年金との違い、厚生年金基金の加入状況を確認する方法について解説しています。

厚生年金基金とは?

厚生年金基金とは、1966(昭和41)年から実施されている企業年金制度のことです。企業は、単独または共同で「厚生年金基金」という公法人を設立して、老齢厚生年金の一部の支給を代行したり独自で年金の上乗せ給付を行ったりして、従業員の生活を手厚く保障していました。

しかし、バブル崩壊の影響を受けて社会経済情勢が変動したこともあり、企業が厚生年金を代行して運用するメリットが薄れてしまいました。その結果、厚生年金基金の数は1996年(平成8年)を境に大きく減少。2014(平成26)年4月以降の新規設立は認められなくなりました。現在では、ほとんどの厚生年金基金が他の企業年金へ移行しており、2024(令和6)年3月1日時点では5基金のみが存続しています。

厚生年金基金の形態

厚生年金基金の形態は、設立主体によって以下の3種類に分かれます。

  • 企業が単独で設立する単独設立型
  • 企業グループなどと共同で設立する連合設立型
  • 一定のルールのもとに複数の企業で設立する総合設立型

企業が単独で設立する単独設立型

単独設立型とは、企業が単独で法人を設立して運営するものです。「会社名+厚生年金基金」などの名称であれば、単独設立型に該当します。設立企業内で自由に給付設計が行える反面、加入員が1,000人以上いないと設立できません。

グループ会社などと共同で設立する連合設立型

連合設立型とは、主力企業を中心としたグループ会社(関連会社)などが集まり、共同で法人を設立して運営するものです。「会社名+グループ厚生年金基金」などの名称であれば、連合設立型に該当します。人数要件は1,000人以上でした。

一定のルールのもとに複数の企業で設立する総合設立型

総合設立型とは、資本関係のない同業種または同一地域の企業によって設立されるものです。基金を設立しようとする企業に対して、強い指導力を有する組織団体や当該企業で構成されている健康保険組合を中心に設立されていました。「業種名+厚生年金基金」などの名称であれば、総合設立型に該当します。人数要件は5,000人以上でした。

厚生年金基金の加入状況を確認する方法

厚生年金基金の加入状況を確認する方法には、以下のようなものがあります。

  • 年金手帳を確認する
  • ねんきん定期便を確認する
  • 企業年金連合会で確認する

最も確実な方法は、企業年金連合会へ確認することです。企業年金連合会では年金の記録と原資を管理しているため、問い合わせることで厚生年金基金の加入状況を教えてもらえるからです。厚生年金基金は、1ヶ月でも加入していれば受給資格があります。

過去に何度か転職しているような場合や、結婚前の旧姓での加入歴があったりする場合は、年金が引き継がれていない可能性があります。厚生年金基金は個々の年金記録で長期間管理されていたため、短期間で脱退した人の記録が確認できていない場合があるのです。

企業年金連合会へ問い合わせる場合は、以下のものを準備しておくと良いでしょう。

  • 年金手帳
  • 厚生年金基金加入証

年金手帳は基礎年金番号を伝えるため、厚生年金基金加入証は、厚生年金基金の名称や加入員番号を伝えるために必要です。

企業年金連合会のサイトでは「連合会年金の未請求者の状況」が公開されており、2023(令和5)年3月末時点で107.7万人もの方が企業年金を請求していないことがわかります。厚生年金基金の一部は厚生年金であることから、短期間でも加入していたことがわかれば老齢年金の受給額が多くなるかもしれません。

厚生年金基金が解散した場合の対応

厚生年金基金が解散した場合は、以下のいずれかの対応を取る必要があります。

  • 解散時点の一時金を受け取る
  • 残余財産を企業年金連合会へ移換する
  • 他の企業年金制度(確定給付企業年金、確定拠出年金など)へ移換する
  • 個人型確定拠出年金へ移換する

厚生年金基金が解散した場合は、運用していた厚生年金の一部が国へ返上されます。その際に残余財産分配金があれば、本人の希望により「一時金で受け取る」または「他の年金制度へ移換する」ことができます。

引用:日本年金機構「厚生年金基金加入期間がある方の年金」

厚生年金基金と他の年金制度との違い

厚生年金基金と他の年金制度との違いは、公的年金制度かどうかです。

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の全国民の加入が義務づけられている「国民年金」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金保険」の2つの年金制度で構成されています。2015(平成27)年9月までは、公務員などが加入する公的年金制度のことを「共済年金」と呼んでいましたが、被用者の年金制度の一元化により厚生年金へ統一されました。

引用:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

公的年金制度は、国民年金(基礎年金)と厚生年金保険の2階建て構造です。しかし、老後に備えてさらに資金を準備したい場合は、任意の私的年金に加入することで上乗せ給付を受けることができます。上乗せ給付のことを「3階部分」といい、厚生年金基金や確定給付企業年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)などの私的年金制度があります。

年金の3階建て部分については、以下の記事で詳しく解説しています。

厚生年金との違い

厚生年金との違いは、厚生年金基金が私的年金制度であることです。厚生年金は国が運用しており、会社員や公務員は全員加入する必要があります。しかし厚生年金基金は企業自らが運用しており、企業が制度を実施していない場合は加入できません。

確定拠出年金との違い

確定拠出年金との違いは、厚生年金基金を企業が運用していることです。確定拠出年金では加入者自らが拠出した掛金を運用し、その運用成果に基づいて公的年金に上乗せされる給付額が決定します。ただし、厚生年金基金では企業独自で上乗せ部分を付加するため、自身で運用商品などを選択できません。

また確定拠出年金には、以下のようなメリットがあります。

  • 拠出した掛金の全額が所得控除の対象
  • 運用中に生じた運用益は全額非課税
  • 受け取るときも所得控除が受けられる

確定拠出年金については、以下の記事で詳しく解説しています。

厚生年金基金は忘れずに請求するようにしよう

本記事では、厚生年金基金の概要や他の年金制度との違いについて解説してきました。厚生年金基金は、制度のある会社で1ヶ月以上働いていれば終身にわたって年金が受給できます。

ただし、過去に何度か転職しているような場合や、結婚前の旧姓での加入歴がある場合は、年金が引き継がれていない可能性があります。もらえるはずの企業年金を請求していない方が多くいるため、この機会に企業年金連合会などへ確認することをおすすめします。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。