• 作成日 : 2024年4月19日

ボーナスの手取りを計算する方法は?税金や保険料も解説

サラリーマンであれば、毎回楽しみなボーナスですが、額面そのままの金額を受け取れるわけではありません。税金などを引いた金額が手取り額となります。

今回は、ボーナスの額面と手取り額の違い、引かれる社会保険料、手取額の計算方法についても解説しますので、自分がどのくらいのボーナスを受け取れるか気になる方はぜひご覧ください。

ボーナスの額面と手取り額の違い

ボーナスの額面と手取り額は何が異なるかを確認しておきましょう。

ボーナスの額面とは

「ボーナスの額面」とは、企業が従業員に支給する金額です。基本給や勤続年数などから算定されます。ちなみに、ボーナス時期にニュースで報道される「大手企業のボーナス平均額」というのは額面のことです。

手取り額とは

「手取り額」とは、額面から税金や社会保険料を差し引いた金額のことです。従業員が実際に受け取る金額になります。

ボーナスの手取り計算方法

ボーナスの手取り額を正確に算出するため、引かれる項目について理解しておきましょう。

所得税

個人の所得に対してかかる税金です。「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合、以下の計算式で算出します。

ボーナス額面から社会保険料等を差し引いた金額 × 賞与の金額に乗ずべき率(※)

※ 前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額や扶養親族などの数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめると求められます。

参考)国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 6 年分)」

健康保険料

健康保険とは、毎月健康保険料を負担する代わりに、病気やケガで病院にかかった場合の費用負担を3割に軽減できるというものです。日本は「国民皆保険制度」がある国のため、全ての国民が何らかの健康保険に加入しています。

健康保険料は毎月の給与だけでなく、ボーナスからも徴収されます。計算式は以下の通りです。

標準賞与額(※) × 保険料率(※2)

※ 標準賞与額とは、ボーナスの額面から1,000円未満の端数を切り捨てたものです。年度の累計額573万円が上限となります。
※2 協会けんぽの場合、東京都の2024年度の保険料率は9.98%です

雇用保険料

失業保険や育児・介護給付金など、従業員の雇用や生活を守るためにあるのが雇用保険です。雇用保険料もボーナスから徴収されます。計算方法は以下の通りです。

ボーナス額面 ×6/1000(※)

※ 2024年度雇用保険料率(一般の事業 労働者負担分)

厚生年金保険料

企業に勤務する人が加入する年金です。事業者と折半で負担します。毎月の給与からも厚生年金保険料が徴収されていますが、ボーナスからも徴収されます。
計算方法は以下の通りです。

標準賞与額(※) × 18.3%÷2

※ 標準賞与額とは、ボーナスの額面から1,000円未満の端数を切り捨てたものです。支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)あたり、150万円が上限となります。150万円を超える場合は150万円で計算されます。

介護保険料

介護保険とは、保険料を納めている被保険者が、介護が必要と認定された際に介護サービスが受けられるというものです。介護保険料は40歳以上の方が徴収されます。以下の計算式で算出してください。

標準賞与額(※) × 1.60%(※2)

※ 標準賞与額とは、ボーナスの額面から1,000円未満の端数を切り捨てたものです。年度の累計額573万円が上限となります。
※2 協会けんぽの場合(2024年3月分より)

その他の引かれる項目

財形貯蓄をしている方でボーナスからの天引きも依頼している場合は、その金額も差し引かれます。

ボーナスの手取り額計算シミュレーション

ここまで、ボーナスから引かれる税金や社会保険料について、ご紹介しましたが、手取り額を出すまでの煩雑な計算が難しいと感じた方もいるのではないでしょうか。もし、目安だけでも知りたいというのであれば、ボーナスの額面に75%~85%をかければ算出できます。以下の表でボーナス額面ごとの概算手取り額を確認してみましょう。

ボーナス額面概算手取り額(額面×75~85%)
15万円11万2,500~12万7,500円
20万円15万~17万円
25万円18万7,500~21万2,500円
30万円22万5,000~25万5,000円
35万円26万2,500~29万7,500円
40万円30万~34万円
45万円33万7,500~38万2,500円
50万円37万5,000~42万5,000円
55万円41万2,500~46万7,500円
60万円45万~51万円
65万円48万7,500~55万2,500円
70万円52万5,000~59万5,000円
75万円56万2,500~63万7,500円
80万円60万~68万円
85万円63万7,500~72万2,500円
90万円67万5,000~76万5,000円
95万円71万2,500~80万7,500円
100万円75万~85万円

ボーナスを計算する際の注意点

同じボーナス額面であっても、人によって手取り額が異なります。どのような場合に変わるのかも押さえておきましょう。

扶養親族が多いほど所得税が下がる

ボーナス額面にもよりますが、扶養親族が多いほど所得税が下がるケースがあります。

所得税は「ボーナス額面から社会保険料等を差し引いた金額×賞与の金額に乗ずべき率」で計算しますが、賞与の金額に乗ずべき率を出すときに使うのが「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」です。

表内には、扶養親族数を確認する項目があり、扶養親族数が多い方が「賞与の金額に乗ずべき率」が低くなります。以下の例で所得税額まで確認してみましょう。

【ボーナス額面から社会保険料等を差し引いた金額が50万円の場合】

扶養人数0人3人
賞与の金額に乗ずべき率16.336%14.294%
所得税額8万1,680円7万1,470円

上記の通り、ボーナス額面から社会保険料等を差し引いた金額が同じであれば、扶養人数が多い方が所得税額は少なくなります。

40歳以上は介護保険料の負担あり

介護保険料は40歳以上が負担するものです。そのため、40歳未満と40歳以上ではボーナス額面が同じでも受取額が異なります。

ボーナス月に退職する場合は社会保険料がかからない

ボーナス月に退職する場合、ボーナスから社会保険料が引かれないケースがあります。社会保険料は前月分を徴収することになっており、月の途中に資格を喪失しても徴収されません。つまり、月末退職以外の場合はかからないのです。具体的に見てみましょう。

社会保険料支払いの有無
6月20日 ボーナスを受取る
6月30日 退職
6月20日 ボーナスを受取る
6月10日 退職
6月20日 ボーナスを受取る
6月21日 退職

例を見てみましょう。

産休中・育休中にボーナスを受け取る場合は一部の社会保険料がかからない

「産前産後休業保険料免除制度」や「育児休業保険料免除制度」の届けを出しておけば、産休中や育休中にボーナスを受け取っても、健康保険料と厚生年金保険料はかかりません。
ただし、所得税や雇用保険料はかかります。

ボーナス額面額からどのくらいの金額が引かれるか知っておこう

ボーナスは額面の金額そのままを受け取れるわけではありません。税金や社会保険料が引かれた後の金額が受取額になります。また、同じ勤務先で額面が同じであった場合でも、扶養親族の数や介護保険料負担の有無などで受取額は異なってきます。

ボーナスを受け取った後に「こんなに引かれるとは思ってなかった」とならないよう、引かれる金額についてある程度は把握しておくことをおすすめします。


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