- 作成日 : 2024年4月19日
利回りとは?計算方法や相場の解説
利回りとは、投資した金額に対してどれくらいの利益が得られるかを示す数値で、商品選びやリスク評価に役立ちます。この記事では、利回りの基本概念から計算方法、投資信託や不動産の投資商品の利回り相場についても解説します。長期的な視点で利回りを考慮し、自身の収益目標に合った商品を選びましょう。
目次
利回りとは
利回りは、投資金額に対してどの程度の収益を上げてきたかを1年あたりの利回りで示したものです。利回りは、通常、年間の収益を投資額で割って算出され、パーセンテージ(%)で表現されます。具体的には、「年間で得られる収益(配当金や利息、賃貸収入など)」を「投資額(購入時の金額や現在の市場価値など)」で割り、その結果をパーセントで表示したものです。
例えば、100万円を投資して年間で5万円の配当金を得た場合、利回りは以下のように計算されます。
この指標を理解することで、投資家は以下のような利点を得ることができます。
- 投資商品の収益性比較:異なる投資商品間で収益性を比較し、より高い利回りを提供する商品を選択できます。
- 投資戦略の立案:自身の投資目標に合わせた商品を選ぶ際の基準として、利回りを活用できます。
- リスクの把握:一般に、高い利回りは高いリスクを伴う場合が多いため、利回りを通じて投資のリスクレベルを評価することができます。
利回りと利率の違い
利回りと利率は、それぞれ投資の「収益性」や金融商品の「価格」を評価するための指標です。これらの違いを理解することで、投資家は自身の投資目標に合った選択をすることができます。
利回りは、投資から得られる収益の割合を示し、投資の効率性や収益性を測るために使用されます。利回りは、配当金、金利収入、賃貸収入など、投資によって生じる全ての収益を考慮に入れて計算されます。このため、利回りは投資全体のパフォーマンスを理解するのに適しています。
一方で利率とは、金融機関が預金や貸出に対して支払う、または受け取る利息の割合を指します。利率は、金融政策や市場状況によって変動し、金融商品を選択する際の重要な指標となります。
利回りと騰落率の違い
「利回り」と「騰落率」は、投資の成果を評価するために使用される二つの異なる指標です。
騰落率とは、ある期間内における投資商品の価格変動の割合を示します。具体的には、期間の始めと終わりでの価格の差を、期間始めの価格で割ったものに100をかけてパーセンテージで表現します。騰落率は、株式や不動産、その他の資産価格の上昇または下落の程度を測定するために用いられ、投資の価値変動を示す指標として役立ちます。
利回りは投資の収益性を評価するために用いられ、騰落率は価格変動のみを捉えます。したがって、投資の総収益を考慮する際には利回りを、価格の変動を評価する際には騰落率を参照することが適切です。
投資判断を行う際には、単に資産価格の上昇や下落だけでなく、その投資が長期間にわたってどのような収益を生み出すかを理解することが重要です。例えば、株価が上昇している銘柄でも、配当利回りが低い場合、総合的な収益性は必ずしも高くないかもしれません。同様に、価格が下落している銘柄であっても、高い配当利回りを提供する場合、魅力的な投資機会となることがあります。
利回りの種類
利回りには大きく分けて、「名目利回り」と「実質利回り」があります。
名目利回り
名目利回りとは、投資商品が生み出す利益の割合を、単純に計算したものです。
具体的には、投資によって得られる収益(金利や配当金など)を、投資した元本に対してどれだけの割合で得られるかを示します。名目利回りは、投資の収益性を判断する際の基本となる指標ですが、物価の変動や税金の影響は考慮に入れません。そのため、実際に手元に残る利益とは異なる場合があります。
名目利回りの計算方法
名目利回りの計算式は非常にシンプルです。年間で得られる収益を投資した元本で割り、その結果に100をかけてパーセントで表します。計算式は以下の通りです。
例えば、年間で1万円の配当金を生み出す株式に10万円を投資した場合、名目利回りは10%となります。
名目利回りの活用方法
さまざまな投資商品の名目利回りを比較し、投資先を選定する際の一つの基準とします。
また、自身の投資目標に合わせて、必要な名目利回りを達成できる商品を選ぶことで、より効率的な投資計画を立てることができます。
名目利回りの注意点
名目利回りは物価の変動を考慮に入れないため、インフレーションによる実質的な収益の減少を見逃す可能性があります。
また、収益に対する税金の影響も考慮されないため、実際に手元に残る利益は名目利回りより低くなる場合があります。
実質利回り
実質利回りは、名目利回りからインフレーション(物価上昇率)の影響を除いた、投資から得られる実際の収益率を示します。つまり、購買力の観点から投資の真の価値を評価するための指標となります。
実質利回りの計算方法
実質利回りは以下の式で計算されます。
ここで、名目利回りは投資から得られる予定の収益率、インフレ率は投資期間中の物価上昇率を指します。
例えば、名目利回りが5%で、同期間のインフレ率が2%の場合、実質利回りは以下のように計算できます。
この計算から、実際に投資家の購買力が増加するのは年率約2.94%ということが分かります。
なぜ実質利回りが重要なのか
インフレ率が高い環境では、名目利回りだけを見て投資を判断すると、実際には購買力が低下する可能性があります。実質利回りを把握することで、購買力を維持または増加させる投資を選択できます。また、異なる期間や環境下での投資を比較する際、実質利回りを用いることで、インフレの影響を考慮した上で、より公平な比較が可能になります。
投資の実際の価値を理解し、賢明な投資判断を下すためには、実質利回りの把握が不可欠です。特に、インフレが予想される経済状況では、実質利回りを重視した投資戦略が求められます。
利回りの計算方法
投資においては、利回りの正確な計算が投資判断において非常に重要です。利回りを計算することで、投資から得られる収益の割合を把握し、さまざまな投資機会を比較することができます。以下では、一般的な利回りの計算方法について説明します。
基本的な利回り計算
利回りは、以下の式を用いて計算されます。
ここで、年間収益には配当金、金利、賃貸収入など、投資から得られる全ての収益が含まれます。投資額は、その投資に対して実際に支払われた金額です。
例えば、年間収益が10,000円で、投資額が100,000円の場合、利回りは以下のように計算されます。
株式の配当利回り計算
株式投資の場合、配当利回りは以下のように計算されます。
この計算により、投資した株式から得られる配当に基づく収益の割合を知ることができます。
例えば、1株あたりの配当金が50円、1株あたりの価格が1,000円の株式の配当利回りは以下のようになります。
不動産投資の利回り計算
不動産投資の場合、利回りは以下の式で計算されることが一般的です。
ここで、運営費用には管理費や修繕費など、不動産を運営するために必要な費用が含まれます。
例えば、不動産の購入価格が20,000,000円、年間賃貸収入が1,200,000円、運営費用が200,000円の場合、不動産利回りは以下の通りです。
利回りを計算する際には、投資に関連する全てのコストを考慮に入れることが重要です。例えば、取得時に支払った手数料や税金、売却時のコストなども、最終的な利回りに影響を与える要素となります。また、利回りは過去や現在のデータに基づいて計算されるため、未来の収益を保証するものではありません。
利回りの相場
投資信託の利回り相場
投資信託は多様な資産に分散投資を行うことでリスクを管理しつつ、収益の機会を追求する金融商品です。投資信託の利回り相場は、その種類や市場環境、経済の状態によって大きく異なります。
国内外の株式型投資信託
株式型投資信託は、国内外の株式市場に投資を行う商品です。一般的に、株式型投資信託の利回りは高いポテンシャルを持ちますが、市場の変動によるリスクも伴います。過去数年の平均利回りは約5%から10%程度が目安ですが、市場の状況によってはこれより高くなることも、また低下することもあります。
債券型投資信託
債券型投資信託は、国内外の債券市場に投資を行う商品で、比較的安定した収益を求める投資家に適しています。債券型の利回りは株式型ほど高くはないものの、リスクも低めです。一般的な利回り相場は年間2%から5%程度で、経済状況や金利の動向に左右されます。
バランス型投資信託
バランス型投資信託は、株式と債券の両方に分散投資を行い、リスクとリターンのバランスを取ることを目的としています。この種類の投資信託は、中長期的な投資に適しており、利回りは株式型と債券型の中間に位置することが多いです。平均的な利回りは年間3%から7%程度が目安とされます。
マネーマーケットファンド(MMF)
マネーマーケットファンドは、非常に短期間の金融商品に投資することで、元本の安全性を重視する投資信託です。利回りは低いものの、流動性が高くリスクが非常に低いため、短期的な資金運用に適しています。利回りは年間0.5%から1.5%程度で、現金同等の位置付けで利用されることが多いです。
不動産投資の利回り相場
不動産投資は、安定した収入を求める投資家にとって魅力的な選択肢の一つです。不動産投資の利回りは、物件の種類、立地、市場状況など多くの要因によって変動します。
住宅用不動産の利回り相場
住宅用不動産(アパート、マンションなど)の利回りは、一般的に年間3%から5%程度が相場とされています。都市部や人口が多い地域では利回りがやや低くなる傾向があります。一方、郊外や人口が少ない地域では、不動産価格が安いため利回りが高くなることが一般的ですが、空室リスクも考慮する必要があります。
商業用不動産の利回り相場
商業用不動産(オフィスビル、店舗など)は、住宅用不動産に比べて高い利回りを期待できることがあります。平均的な利回りは年間4%から6%程度ですが、立地やテナントの質、市場状況によって大きく異なります。商業用不動産は一般に、運営管理が複雑で、高い専門知識が求められることも特徴です。
投資用地の利回り相場
投資用地(土地投資)は、中長期的な資産価値の上昇を目指す投資です。直接的な収益(賃貸収入など)は発生しませんが、土地の価格上昇によるキャピタルゲインを狙います。土地の利回りは直接的に計算されるものではないため、一般的な相場を示すことは難しいですが、地域の開発計画や需要の動向によって価値が大きく変動する可能性があります。
利回り以外で重要な投資信託選びのポイント
投資信託を選択する際には、利回りだけでなく、その他の要素も総合的に考慮する必要があります。長期的な投資成功のためには以下のポイントも重要です。
運用手数料と経費率
投資信託には運用管理に関わる手数料や経費がかかります。これらは、運用手数料や信託報酬、経費率として表され、投資の収益性に直接影響を与えます。手数料が高ければ高いほど、実際に手元に残るリターンは低くなるため、低い手数料の商品を選択することが望ましいです。
投資戦略とリスク管理
投資信託の運用戦略とリスク管理のアプローチを理解することも大切です。投資先の資産クラス(株式、債券、不動産など)、地域分散、業種分散などの戦略がどのように取られているかを確認し、自身の投資目標やリスク許容度と合致するかを検討します。
ファンドの規模
ファンドの総資産規模も、選択基準の一つです。一般的に、規模が大きいファンドは流動性が高く、コスト効率も良い傾向があります。しかし、あまりにも規模が大きすぎると、市場に与える影響が大きくなり、運用の柔軟性が制限される可能性もあります。
運用実績と評価
運用実績は、ファンドマネージャーのスキルや運用戦略の有効性を評価するための重要な指標です。長期的な運用実績を確認し、市場の上昇期だけでなく、下落期におけるパフォーマンスも考慮に入れることが重要です。また、外部の評価機関からの評価やランキングも参考になります。
信託報酬の透明性
投資信託を選ぶ際には、信託報酬の内訳や計算方法が透明に公表されているかも確認する必要があります。投資家が手数料やコストを正確に理解し、合理的な判断を下せるように、ファンドはその情報を明確に提供するべきです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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