• 更新日 : 2023年6月9日

通貨強弱とは?チャート分析方法や確認ツールの解説

通貨強弱に関する知識は、FX取引などの外国為替取引をする上で役立ちます。通貨強弱を知っておくと、エントリーしやすい通貨ペアを判断できるようになる、為替の動きが推測できるようになる、根拠を持って取引ができるようになるなど、取引を有利に進めることが可能になるでしょう。

通貨強弱とは、文字通り、通貨の力関係のことです。通貨強弱の状況次第で、チャートが大きく変動することになるため、通貨の強さの傾向をつかめるようになれば、投資判断のしやすさが格段に変わります。この記事では通貨強弱について詳しく解説しているので、ぜひ、FX取引などの外国為替取引にお役立てください。

通貨強弱とは

通貨強弱とは、「ある通貨が買われている度合い、または売られている度合い」です。買われている通貨は「強い」、売られている通貨は「弱い」と表現します。

例えば、通貨ペアで強い方の通貨が大きく変動するようなことがあれば、もう一方の弱い方の通貨は相対的に強い通貨の方向に引きずられてチャートが大きく動きます。取引を有利にするためには、この通貨強弱を見極めて、強弱関係からその通貨ペアがどのような値動きをするのかに着目し、エントリーしなければなりません。

具体例を紹介すると、原則毎月の第一金曜日に米国雇用統計が発表されます。この米国雇用統計は非常に重要な経済指標であり、為替相場に大きな影響を与えます。米国雇用統計の結果が良ければドル買い、結果が悪ければドル売りが激しく進行するのがセオリーです。

こういう場合、USD(米国ドル)の通貨強弱は、非常に強くなるか弱くなっていることがあり、通貨ペアにしたその相手方との通貨チャートはUSDの激しい値動きにつられて大きく変動することがあります。

このような通貨強弱の仕組みを理解していれば、重要な経済指標の発表やFOMC(連邦公開市場委員会)など影響力のあるイベントに合わせて売買を行い、スキャルピングで利益を狙うことができるようになるでしょう。

通貨強弱でわかること

通貨強弱では、次の2つがわかります。詳細を解説していきましょう。

エントリーしやすい通貨ペア

通貨ペアの強弱によってそのチャートがどのように変動するかが決まるので、強い通貨と弱い通貨の組み合わせはチャートの動きが読みやすく、なおかつスキャルピングもしやすいでしょう。

強い通貨同士のペアだと、チャートの値動きの上下が激しくて慣れないうちは取引のタイミングが難しい傾向にあります。そして、通貨ペアを考える際には、この通貨強弱の問題以前に、新興国通貨(トルコリラなど)が高金利で高スワップなことに魅力を感じる方も多いことでしょう。ただし、新興国通貨は流動性が低く、不安定で、経済指標などとは関係なくいきなりチャートが大きく動きます。その点を知っておくと良いでしょう。初心者の段階では、まずUSD/JPYで取引に慣れておきましょう。

現在は米国ドルが力強く動く一方で、円は米国ドルとは相対的に弱い傾向にあるだけでなく、どちらも流動性や安全性が高く、情報も入ってきやすいため、おすすめです。また、USD/JPYはスプレッドも他の通貨ペアと比べると狭く設定されていることが多く、取引しやすいでしょう。

為替の動きの傾向(トレンド)

もし、強い状態が続いている通貨とそれよりも相対的に弱い通貨があれば、ある一定の価格までその傾向(トレンド)が続くことが多いです。この一定の価格は相場の方向性を分析する際にチャートの上または下へ引く線(トレンドライン)でわかります。

トレンドラインは自分でチャートに線を引いて判断することもでき、アナリストの発表している情報で、どの辺りの価格かを知ることが可能です。そして、その一定の値段に到達したら、トレンドが反転することがあります。

また、あまり通貨の強弱がない場合は、レンジ相場が続いていることが考えられるでしょう。レンジ相場は同じぐらいの価格帯で上下が続いている凪(なぎ)のような状態です。このように通貨強弱によって、その通貨がどのような状況なのか判断でき、自分の投資判断に役立てることができるでしょう。

通貨強弱を用いたチャート分析方法

通貨強弱を考慮した取引では、次のような手法が有効です。

順張り

順張りとは上昇トレンドのときに買い、下落トレンドで売るというように、そのときのトレンドと同じ方向に動き続けると予想した際の取引の方法です。重要な経済指標やFOMCの利上げ・利下げ判断が市場予想と乖離(かいり)していたとき、要人の発言内容などに市場が敏感に反応した際などはトレンド相場になりやすく、順張りが有効でしょう。

ただし、順張りをする際は闇雲に売買せずにどこでそのトレンド相場が終わるか、トレンドラインを用いて考えながら取引することをおすすめします。もしトレンドラインを超えた場合は反発や反落していつトレンドが変わってもおかしくない状況であり、気をつけた方が良いでしょう。

エントリーした方向と逆にトレンドが反転してしまった場合、為替ではそのままもう一生その価格には戻ってこないと諦めざるを得ない場合があります。もしトレンドが変わってしまったら、なるべく早い段階で損切りをして損失を最小限に抑えることが大切です。

スイングトレード

スイングトレードとはポジションを数日から数週間保有し、順張りで大きめのキャピタルゲイン(利ざや)を狙う投資手法です。やや長い目線で予想する必要があります。取引回数を抑えられ、四六時中チャートを見ておく必要がないのが利点です。

ただし、日々相場は大きく変化するので、予想していたトレンドと乖離した場合に損失が大きくなる可能性が高まります。損失が増大することを防ぐためには、あらかじめロスカットの水準を決めておき、その価格に到達してしまったら損切りするように注文の予約をしておくと良いでしょう。逆に、機会を逃さないために、上昇時にこの価格で買いたいという値段で予約注文しておき、売りについても予約注文をしておくのも一つの手です。

スキャルピング

スキャルピングは、秒や分単位などの超短期間で売買をすることです。チャートを確認しておく必要があるだけでなく、そのときの相場状況に合わせて取引タイミングを見逃さず、ベストなタイミングで確実に取引を実行する能力が必要になります。

トレンドラインを日々チェックしておくことが不可欠なのはもちろんのこと、重要な経済指標のチェック、要人発言、10年国債の利回りの変化など広い視野で情報を手に入れ、先を見通すスキルを身につけましょう。

そして、取引の際はスピード感と精神力が欠かせません。利益確定も損切りも機会を逃さず素早く行い、そのストレスに耐えうる精神力が必要です。スキャルピングで成功するためには狭いスプレッドで取引コストを減らすことと、通貨ペアごとに相場がよく動く時間帯を把握する必要があります。自分の目で通貨強弱を見極めて、取引を進めていきましょう。

通貨強弱を確認できるツール

ここではFX取引を行う多くの人が使っている取引ツールであるMeta Trader 4(通称MT4)で、通貨強弱を把握するためのインジケーターにどのようなものがあるか紹介します。

MT4について

MT4は、本格的にFX市場の分析をするための取引プラットフォームです。アルゴリズムトレード(自動売買)の機能もあり、幅広い機能を提供しています。パソコン用だけでなくモバイル用もあります。

MT4で通貨強弱を把握するためのインジケーター

初期状態のMT4では、通貨強弱をチャートに表示する機能はありません。そのため外部からインジケーターをダウンロードし、MT4に導入する必要があります。

  • CustomedKuChartZ(1日あたりの通貨強弱に加えて1週間や1カ月単位の通貨強弱も表示できる)
  • Currency Meter Indicator(通貨強弱に加えて通貨ペアのトレンド方向と勢いの可視化が可能)
  • FFx Universal Strength Meter(通貨強弱をどのインジケーターから通貨強弱を計算するか指定できる)

これらを導入すれば、MT4で通貨強弱を把握することが可能です。

自分の使いやすいインジケーターを利用すると良いでしょう。

通貨強弱を把握したうえで取引をすることが大切

通貨強弱がわかるようになると、取引が格段にしやすくなるでしょう。強い通貨は上昇傾向にあり、弱い通貨は下落傾向にあります。通貨ペアは強い通貨と弱い通貨の組み合わせがベストです。特に初心者は特にUSD/ JPYの通貨ペアで取引に慣れるのが妥当です。

そして、通貨強弱は、順張り、スイングトレード、スキャルピングの投資手法を取る際に役立ちます。今回は通貨強弱を把握するためのMT4のインジケーターを紹介しましたが、今回紹介した以外にも通貨強弱を確認するツールは他にもあるため(アプリなど)、自分に合ったものを選んで使ってみてはいかがでしょうか。

よくある質問

通貨強弱とは?

通貨同士の力関係です。強い通貨は上昇傾向があり、弱い通貨は下落傾向があります。通貨ペアを選ぶ際は、強い通貨と弱い通貨の組み合わせがベストであり、初心者はUSD/ JPYを選ぶと良いでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

通貨強弱の分析方法は?

MT4のインジケーターなどで、通貨強弱を視覚的に確認できます。通貨強弱インジケーターの値がプラスの通貨は強い状態で、マイナスの通貨は弱い状態です。順張り、スイングトレード、スキャルピングの取引手法などで役立ちます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事