住宅ローンの変動金利が一気に上がる可能性とは?対策はある?

変動金利は住宅ローンを組む人の多くが選ぶ金利タイプですが、仕組みやメリットに詳しくない方も多いことでしょう。変動金利は、半年ごとの金利見直しがあり、月の返済額が一気に上がる場合もあります。この記事では、変動金利の概要や金利上昇への対策、固定金利との違いなどを解説します。住宅ローンの利用を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

変動金利とは

住宅ローンを借り入れる前に、変動金利の基礎知識を理解しておきましょう。以下に変動金利の概要と固定金利との違いを解説します。

理解しないまま金利タイプを選ぶと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあります。しっかりと知識を身につけておきましょう。

変動金利の概要

変動金利とはローンの返済額を決定づける金利が上下する金利タイプで、市場の金利動向などの影響を受けて、半年に一度、金利が見直されます。

住宅ローンを借り入れる人の多くに選ばれる金利タイプで、2023年4月の住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査」によると約7割が変動金利を選択しています。

最大のメリットは、固定金利よりも金利が低く設定されているところです。一方で、金利が上下するため半年ごとの金利上昇に耐えられるような対策が必要になります。将来的に金利が上昇することも理解した上で、変動金利を選ぶとよいでしょう。

固定金利との違い

変動金利と固定金利は、金利変動の仕方や金利水準などに違いがあります。

変動金利は半年ごとに適用金利が変わりますが、固定金利(全期間固定金利)は住宅ローン返済期間中の金利が変わらない金利タイプです。住宅ローンを契約した時点での金利が返済完了まで継続されるため、契約時に最終的な返済額を把握できるメリットがあります。

一方で、固定金利は変動金利よりも金利が高めに設定されているため、金利動向によっては変動金利を選択した方が返済額を抑えられる場合もあります。

変動金利、固定金利それぞれにメリット・デメリットがあるため、借入金額や返済期間、利用者の資産状況などによって最適な金利タイプは異なるでしょう。

変動金利の仕組み

続いて変動金利の仕組みを見ていきましょう。

変動金利は契約期間中に適用金利が上下する金利タイプですが、返済額に反映されるタイミングは返済方式によって異なります。

住宅ローンの返済方式は、元金と利息の合計が毎月同じ「元利均等返済」と、元金を毎月均等に返済し、利息を返済額に加える「元金均等返済」の2つがあります。

返済額に反映されるタイミングは、以下の通りです。

  • 元利均等返済:返済額が5年ごとに見直される場合が多い
  • 元金均等返済:金利変更のタイミングに合わせて返済額が見直される

元利均等返済の場合、5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」と、返済額の上昇幅を125%までとする「125%ルール」があります。ただし、両者のルールを導入しているかは金融機関によって異なります。

また、元金均等返済の場合、5年ルール・125%ルールの適用はないことに注意しておきましょう。

変動金利のメリット

変動金利は住宅ローンを利用する方の7割に選ばれる金利タイプですが、どのような理由で選ばれているのか詳しくない方も多いでしょう。

以下の3つのメリットを知れば、選ばれている理由が見えてきます。それぞれ解説します。

金利が低い

変動金利の最大のメリットともいえるのが、金利の低さです。

ネットバンクや大手銀行の変動金利は平均的に0.3%程度であるのに対し、全期間固定金利は平均して1.3%程度となっています。返済期間が10年、20年と長期になる場合が多い住宅ローンでは、数%の金利差が最終的な返済額に大きく反映されます。

そのため、少しでも低い金利を求めて変動金利を選ぶ人が一般的です。金融機関によって適用される金利は異なるため、複数の金融機関を比較して選ぶとよいでしょう。

返済額を抑えられる可能性がある

金利の低さが特徴の変動金利を選ぶと、最終的な返済額を抑えられる可能性があります。

前述のように変動金利の金利は平均0.3%、全期間固定金利の平均は1.3%です。

この数字を使って、どれだけ返済額に差が出るのかシミュレーションしてみました。

仮に4,000万円・35年でローンを組んだ場合、最終的な返済額は以下のように異なります。

金利0.3%の総返済額金利1.3%の総返済額差額
約4,214万円約4,981万円約767万円

変動金利と固定金利で約767万円もの差が出ます。シミュレーションのため、あくまでも目安ですが無視できないほどの金額になることもあります。

支払い額増加の緩和措置がある

変動金利には、適用金利の上昇によって月々の返済額が大幅に増加する可能性があります。返済額増加の緩和措置として設けられているのが、いわゆる「5年ルール」「125%ルール」です。

5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は返済額を変更しないルールのことです。金利の見直し自体は半年ごとですが、返済額が変わるのは5年後になります。また、5年経過し金利上昇に伴い返済額が増加しても、増額の幅は125%までとされています。これが125%ルールです。

5年ルール、125%ルールともにローン契約者が返済不能に陥るのを防ぐために設定された対策となっています。

変動金利が一気に上がる可能性とは

変動金利は半年ごとの見直しで、適用金利が一気に上がる可能性はあります。金利の低さで変動金利を選択する人は多いのですが、契約当初の金利から大きく上昇するリスクも考えておくべきでしょう。

住宅ローンの変動金利は、それぞれの金融機関が設定する短期プライムレートに影響を受けて決められています。短期プライムレートとは、銀行が業績のよい最優良企業に対して貸出する際の1年未満の金利です。

そのときどきの経済状況(景気)によって短期プライムレートが変動するため、基本的には景気がよいほど変動金利も上昇傾向となります。

さらに、金利は下がるときにはゆっくりですが、上がるときは一気に上昇する場合があります。金利が一気に上がったときのために、5年ルールや125%ルールがありますが、金利上昇を防ぐ方法ないので、金利上昇に備えて対策する必要があります。

変動金利が上昇する前にやるべき対策

変動金利の上昇を防ぐ方法はないため、事前に対策する必要があります。具体的には以下の4つです。実践しやすいものから行ってみましょう。

頭金を入れて借入額を少なくする

まずはローン借入前にできるだけ頭金を用意しておきましょう。住宅購入における頭金の理想は2割以上といわれていますが、頭金の額が多いほど月々の返済額を抑えられます。

例えば、4,000万円のローンを金利1%・35年で返済する場合、頭金なしと頭金800万円でのシミュレーションは、以下の通りです。

頭金なし/借入額4,000万円頭金800万円/借入額3,200万円差額
頭金なし800万円
借入額4,000万円3,200万円
月々返済額11万2,914円9万331円2万2,583円
総支払額約4,742万円約4,594万円
(約3,794万円+頭金800万円)
約150万円

月々の返済額は約2万3,000円の差があり、最終的な総支払額は約150万円の差が生じます。もちろん、頭金を短期間に用意するのは難しいですが、頭金が多いに越したことはありません。頭金なしの場合、適用金利を高く設定する金融機関もあるため、借入先に確認しておきましょう。

金利上昇に備えて貯蓄しておく

金利上昇を個人の力でコントロールするのは不可能です。そのため、金利上昇に備えた貯蓄が大事になります。「住宅ローン返済に精一杯で貯蓄なんてできない」という意見もありそうですが、無駄な支出を抑えることで貯蓄が可能になるかもしれません。

例えば、スマートフォンを格安SIMに変える、固定費を見直す、不要な保険を解約するなどで、貯蓄に回すお金を作ることはできます。捻出した資金を定期積立貯金や積立投資に回せば、無理なく貯蓄しやすくなるでしょう。

こまめに繰り上げ返済する

少しずつ作った貯蓄でこまめに繰り上げ返済しましょう。繰り上げ返済すれば完済までの期間を短縮できるため、金利上昇の影響を受けにくくなります。

繰り上げ返済には、以下の2つがあります。

  • 期間短縮型:月々の返済額は変えずにローンの返済期間を短くする
  • 返済額軽減型:ローンの返済期間を変えずに、月々の返済額を少なくする

利息軽減の効果は「期間短縮型」の方が大きいですが、月々の支払額を抑えたい人は「返済額軽減型」を選ぶのもよいでしょう。

繰り上げ返済によって生活が苦しくなるのは本末転倒なので、生活防衛資金としての貯蓄は残した上で、繰り上げ返済するのがポイントです。

変動金利と固定金利、どちらがお得か

「変動金利か固定金利どちらがいいの?」と悩む方は多いでしょう。ここでは、金利タイプを選ぶ判断がつかない人のために、変動金利・固定金利それぞれの向いている人をご紹介します。

変動金利が向いている人とは

変動金利が向いている人として、以下に3つご紹介します。

借入の金額が少ない人

住宅ローンの借入額が少ない人は変動金利に向いています。変動金利は適用金利に応じて返済額が変動するため、借入額が少ない場合は、金利の変動による返済額の上昇も抑えられるためです。

極端な例ですが、金利が0.5%から1%に上昇したときを想定し、借入額3,000万円と2,000万円で比較してみます。

<借入期間35年でシミュレーション>

借入額2,000万円借入額3,000万円
金利0.5%5万1,917円7万7,875円
金利1%5万6,457円8万4,685円
増えた返済額(月)4,540円6,810円
増えた返済額(年間)5万4,480円8万1,720円

上記のように、借入額が多いほど金利上昇の際に、支払いの負担が大きくなります。借入額が多い人は、繰り上げ返済などを利用して対策していくとよいでしょう。

貯蓄に余裕がある人

変動金利を選ぶ際には、予期せぬ金利の上昇に備えて貯蓄に余裕があることが重要です。貯蓄に余裕があれば金利上昇で返済額が増えても、ある程度まで耐えられます。また、こまめに繰り上げ返済をして完済までを短くすることも可能です。

将来の金利変動に対して柔軟に対応できる人にとっては、変動金利が向いているといえます。

収入が高い人

貯蓄が多くない人でも収入が高ければ金利上昇の局面でも対応が可能です。高い年収が確保できる人、または将来的に世帯収入が上がる見込みのある人は変動金利が向いています。

収入が高ければ短期間に余剰資金を確保して、繰り上げ返済を利用することで短期間での返済も可能です。

一方で、住宅ローンは30年以上の長期返済が多いため、短期的な収入の上昇ではなく、長期的な視点で返済計画を立てておくことも重要です。

固定金利が向いている人とは

続いて、固定金利が向いている人についても確認しておきましょう。以下に3つご紹介します。

金利上昇に耐えられる自信がない人

変動金利は固定金利よりも金利が低く設定されていますが、金利変動のリスクはあります。半年ごとの金利見直しを心配しながら、日々を過ごすことに精神的負担を感じる人もいるでしょう。

したがって、金利上昇に耐えられる自信がない方には固定金利が向いている可能性があります。金利は高くても安定性を重視する方は固定金利を選ぶとよいでしょう。

小さい子どもがいる人

小さい子どもを持つご家庭は固定金利を選ぶのもよいでしょう。子どもにかかるお金がどのくらいなのかわからない場合は、金利上昇のリスクのない固定金利を選択する方も多い傾向です。

固定金利の場合は、将来にわたって支払額が確定するため、子どもの年齢によってどれだけの資金を確保しておけばよいのか明確になります。ライフプランを立てやすいのが固定金利のメリットといえるでしょう。

支出の増える時期が明確な人

「子どもの人数が確定している」「夫婦の老後資金を確保できればよい」など、支出の増える時期がわかっている人にも固定金利が向いています。

例えば、変動金利の場合、子どもの大学進学と金利上昇が重なるとローン返済の負担が大きくなり、家計を圧迫する可能性があります。

固定金利は大きな出費が必要になる時期に備えて、資金を確保する計画が立てやすいのが魅力です。

リスクを考慮して金利タイプを選ぼう

本記事では、変動金利の仕組みや金利上昇に備えた対策などを解説しました。変動金利は半年ごとの金利見直しが行われるため返済額も増える可能性があります。一方で、固定金利よりも金利水準が低いため、金利上昇への対策ができる方にとっては有効な金利タイプといえます。

変動金利・固定金利ともに向き不向きがあるため、それぞれの特徴を考えた上で最適な金利タイプを選ぶとよいでしょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。