- 更新日 : 2024年2月29日
住民税を年収から計算する方法は?負担を軽くするコツも紹介
今の年収で住民税はいくらなのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。住民税の金額は、年収や扶養家族の有無などによって差があるほか、納付方法も働き方によって異なるため、事前に正しく把握しておくことが大切です。
今回の記事では、年収から住民税を計算する方法をはじめ、年収別の手取り早見表や負担を軽くするコツについてもご紹介します。
目次
年収に対する住民税額と手取りの目安
ここでは、住民税以外に給与から引かれるものや、年収に対する各種税額と手取りの目安についてまとめてみました。
住民税以外にも給与から引かれるもの
給与から引かれるのは住民税以外にも、以下の項目があります。
また、40歳の誕生日を迎える月から介護保険料の徴収も始まります(※ただし、その月の1日生まれの方は、40歳の誕生日の前月から徴収)。この保険料は、介護が必要になった際に、1~3割負担でサービスを受けるためのものであり、他にも勤務先の業態や形態などによって、退職金の積立費や労働組合費などが引かれるケースもあります。
各種税額と手取りの目安表
給与から各種税額を差し引いて、手取り収入として手元に残るのは約75~80%とされています。以下の表は、年収に対する各種税額と手取りの目安を示したものです。
厚生年金料 | 健康保険料 | 雇用保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り収入 | |
---|---|---|---|---|---|---|
300万 | 285,480円 | 156,000円 | 18,000円 | 54,000円 | 118,000円 | 2,368,520円 |
400万 | 373,320円 | 204,000円 | 24,000円 | 83,900円 | 177,800円 | 3,136,980円 |
500万 | 450,180円 | 246,000円 | 30,000円 | 137,800円 | 245,300円 | 3,890,720円 |
600万 | 549,000円 | 300,000円 | 36,000円 | 202,000円 | 309,500円 | 4,603,500円 |
700万 | 647,820円 | 354,000円 | 42,000円 | 307,700円 | 377,600円 | 5,270,880円 |
800万 | 713,700円 | 408,000円 | 48,000円 | 462,500円 | 455,000円 | 5,912,800円 |
900万 | 713,700円 | 450,000円 | 54,000円 | 642,900円 | 545,200円 | 6,594,200円 |
1,000万 | 713,700円 | 498,000円 | 60,000円 | 832,100円 | 639,800円 | 7,256,400円 |
1,500万 | 713,700円 | 762,000円 | 90,000円 | 2,095,300円 | 1,110,400円 | 10,288,600円 |
2,000万 | 713,700円 | 834,000円 | 120,000円 | 3,711,600円 | 1,600,200円 | 13,020,500円 |
※税金社会保険料シミュレーション|税金・社会保障教育 のページで数値を入れて算出
※算出条件:雇用形態/社会保険加入/年齢20歳以上40歳未満(学生ではないものとする)
上記の数値は参考の目安です。なお、所得税や住民税率は扶養家族の有無やふるさと納税の利用などによって差があるため、上記数値とは違いが生じる可能性があります。
住民税を年収から計算する方法は?
住民税額は、前年(1月1日から12月31日)の所得をベースに算出される「所得割」と、所得に関係なく一括で課税される「均等割」の合算金額によって決まります。住民税の所得割と均等割の負担額は以下の通りです。
- 所得割の税率:10%(道府県民税・都民税4%+区市町村民税6%)
- 均等割の負担額は4,000円(※東日本大震災の復興目的の引き上げとして、2014~2023年の間は5,000円。自治体によって負担額は異なる)
※2024年2月8日時点の情報
今後、負担額に変更の可能性がありますので、政府および各自治体の最新情報をご確認することをおすすめします。
また、住民税を計算するには、給与所得控除と所得控除についても考慮しなくてはなりません。給与所得控除と所得控除は以下のように定められています。
【給与所得控除】
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円 (上限) |
【所得控除】
例えば、以下の条件の場合、住民税の概算は以下のように求められます。
東京在住・配偶者あり
給与収入金額:5,000,000円
給与所得控除:1,440,000円(収入金額×20%+440,000円)
所得控除:1,815,180円
・基礎控除:430,000円
・社会保険料控除(※):725,180円
・配偶者控除:330,000円
・扶養控除:330,000円
税額控除:なし
株での配当金をはじめとした特定の所得:なし
(※)上記目安表における厚生年金料、健康保険料、雇用保険料の合計
1.所得金額を求める:5,000,000-1,440,000=3,560,000円
2.課税所得額を求める:3,560,000-1,815,180=1,744,820円
3.所得割を求める:1,744,820×10%=174,482円
4.住民税の合計を求める:174,482+5,000=179,482円(※2014年から2023年の額)
なお、これらはあくまで概算であり、各自治体によって細かな数値が異なるため、一例として参考にしてみてください。
住民税の納付方法
住民税の納付方法は雇用方法によって異なり、以下の2つに大別されます。
正社員の場合
会社から給与をもらっていれば基本的に特別徴収として、前年の収入に応じた住民税額を6月支給の給与から天引きされます。会社が納付してくれるので、納付漏れや自身で行う必要がないのが利点である一方、納付方法を自身で変更することができないのがデメリットです。
パート・アルバイトの場合
アルバイトやパートをしている方の住民税の支払い方法は、「給料から天引き」または「納付書で納める」のいずれかとなります。自分の住民税が給与から天引き(特別徴収)されているかどうかについては、会社に問い合わせをするか、給与明細を見て確認しましょう。
個人事業主の場合
普通徴収として、6月末に一括支払いするか、年4回(6月末、8月末、10月末、翌年の1月末)に分けて支払うか自分で選ぶことができます。毎月天引きされるよりも、1回あたりの負担額が大きくなることや自身で納付しなくてはならないのが難点です。
住民税を支払わなくて良いケース
以下の3つのケースに当てはまる場合は、住民税を支払う必要はありません。
- 生活保護を受けている方
- 障がい者または未成年者、寡婦(寡夫)のうち、前年の合計所得金額が125万円以下の方
- 前年の合計金額が一定金額以下の方
ただし、これらの条件は自治体によって差があるため、事前に確認するようにしましょう。
参考:住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか|港区
住民税の負担を軽くする方法
住民税の負担を軽くする方法として、以下の3つがあります。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税とは、自分で選んだ自治体に寄付を行い、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が住民税や所得税から控除される仕組みのことです。控除上限額は収入や適用される配偶者控除や扶養控除によって上限があるものの、一般的に年収が高いほど寄付上限額が上がります。
ふるさと納税は手軽に取り入れやすいほか、寄付した自治体の特産物などの返礼品を受け取れるのも魅力でしょう。
医療費控除をチェックする
医療費控除とは年間10万円(または総所得金額等の5%)以上の医療費の支払いがある場合、一定額まで医療費控除が受けられる仕組みのことです。生計を共にする家族の分も含めて控除対象となります。なお、会社員であっても年末調整で対応できないため、医療費控除を受けるには確定申告が必要です。
ポイントが貯まる決済方法を利用する
個人事業主などで住民税を普通徴収で納めている場合は、クレジットカードやインターネットバンキング、スマホ決済アプリなどの利用ができます。なるべくポイント還元が高い決済方法を利用することで、現金で納めるよりお得になるでしょう。ただし、原則一括払いであるほか、自治体によって対応可能な決済方法に違いがあるため事前に確認しておくことが大切です。
控除を賢く利用して住民税を抑えよう
今回の記事では、住民税の計算方法や働き方による納付方法の違い、負担を軽くするコツについてお伝えしました。
住民税額は年収や扶養家族の有無などによって差が生じるため、同じ年収であっても納税額が異なります。また、適用できる控除を利用することで、住民税を安く抑えることが可能です。利用できる方法がないか一度チェックすることをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
お金の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ねんきん定期便とは?見方のコツを徹底解説!
この記事では、ねんきん定期便がなぜ必要なのか、どのような情報が含まれているのか、そしてそれをどのように利用すればよいのかを解説します。さらに、もらえる年金額の計算方法や内容に疑問を感じた際の対処法についても詳しく説明します。 ねんきん定期便…
詳しくみる公務員がもらえる年金はいくら?制度や退職金、相場を解説
公務員が主に受けられる税金制度として、国民年金、厚生年金、退職等年金給付の3つがあります。この記事では、年金制度と退職金、公務員の平均的な年金受給額の相場や公務員以外の年金受給額の相場についても合わせて解説します。 公務員がもらえる年金の種…
詳しくみる住民税を安くする方法は?知らないと損する所得控除と節税対策を解説
住民税とは、一定以上の所得を得ている人が居住地域(都道府県および市町村)に収める税金のことです。 住民税を軽減するためには、どのような方法があるのでしょうか。この記事では、配偶者控除、扶養控除、個人型確定拠出年金(iDeCo)、ふるさと納税…
詳しくみる年収1,000万円の手取り額は?生活レベルはどれくらい?
年収1,000万円の人の手取り額は、所得税、住民税、社会保険料などを差し引いて、年間で約716万円、月額では60万円程度になると考えられています。また、所得層は全体の約4.5%と言われています。年収1,000万円の手取り額を計算するには、年…
詳しくみるPayPayで固定資産税を支払う方法とは?ポイントはどうなる?
固定資産税の支払いにPayPayが利用できることをご存じでしょうか。近年ではクレジットカードやQRコード決済による納付に対応している自治体が見受けられるほか、PayPay支払いに対応している自治体も増えつつあります。本記事ではPayPayで…
詳しくみる夫婦の生活費はいくら?食費や家賃はどれくらい?
夫婦の1カ月あたりの平均生活費は、共働きの世帯で約34万円、夫のみが働いている世帯では約29万円です。生活費の中でも特に大きな割合を占めるのが、食費と家賃です。 この記事では、夫婦の生活費について、食費や光熱費、家賃に焦点を当てて詳しく解説…
詳しくみる