- 更新日 : 2024年2月9日
フラット35のメリット・デメリットは?住宅ローンの選び方を解説
住宅ローンの一つ「フラット35」について、特徴や利用条件、民間の住宅ローンとの違い、メリットとデメリット、フラット35が向き不向きの人の特徴を解説します。固定金利であるフラット35の特性を理解し、自分の状況やニーズに合った住宅ローンを選択しましょう。
目次
フラット35とは
フラット35とは、日本住宅金融支援機構が一般の金融機関と提携して提供している全期間固定金利の住宅ローンです。最大の特徴は、金利が変わらないことであり、「買取型」と「保証型」の2種類があります。
フラット35(買取型)
「買取型」のフラット35では、住宅金融支援機構が住宅ローンの契約後に金融機関からローン契約を買い取り、それを担保とした債券を発行し、投資家に販売します。住宅金融支援機構は投資家債券を購入してもらうことで資金を調達できるのです。
ただし、フラット35の利用者から見た貸し手は金融機関であり、返済先が金融機関となります。保証型との違いは、抵当権の設定者が金融機関ではなく、住宅金融支援機構になる点です。
フラット35(保証型)
一方、「保証型」フラット35では、金融機関がローンを提供し、住宅金融支援機構がそのローンの保証を担います。この場合、借り主は金融機関に対して返済を行い、万が一返済が困難になった場合には、住宅金融支援機構が金融機関に対して保証します。
また、買取型と異なり、金利や融資手数料などの商品内容が、取扱金融機関によって異なります。
フラット35S
フラット35Sは、エコジョーズ給湯器や太陽光発電システムなど、特定の環境配慮型設備を取り入れた住宅に対して、一定期間中は低い金利で提供されるフラット35の制度です。この制度は、省エネルギー性や耐震性に優れた住宅を建設したり、購入したりする方を支援する目的で設けられています。フラット35Sを利用することで、通常のフラット35よりも一定期間低い金利でローンを利用することが可能です。
フラット35の利用条件
フラット35を利用するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。利用を検討する際には、以下の条件を参考にしましょう。
対象者
- 年齢制限:原則として申込時の年齢が満20歳以上、満70歳未満であること
- 国籍:日本国籍を持つ方、「永住者」または「特別永住者」の資格を持つ方
- 収入基準:安定した収入があること。具体的な収入の額は金融機関によって異なります
物件の条件
- 技術基準:住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していること、適合しているかどうか物件検査を受ける流れとなっている(※)検査時には建築基準法に基づいた検査済証が交付されていることも確認
- 面積基準:戸建て70㎡以上、集合住宅30㎡以上の床面積が対象
(※)上限については設けていない
フラット35の公式ホームページには『技術基準・検査ガイドブック』の専用ページを公開しているので、詳細をチェックしておくとよいでしょう。
その他の条件
- 保険加入:火災保険に加入することが必須、団体信用生命保険への加入は任意
- 自己資金:準備する自己資金の割合によって適用される金利が異なる
具体的には準備する自己資金の割合が10%未満か10%以上かで異なる - 借入期間:借入期間によって適用される金利が異なる
借入期間が20年以下の場合は、20年以上よりも低い金利が適用
これらの条件は、フラット35が安定した返済能力を持つ借り主に提供されることを目的としています。また、物件の条件を満たすことで、将来の資産価値を保持しやすい住宅を選ぶことにつながるのです。
フラット35と民間の住宅ローンとの違い
フラット35は日本住宅金融支援機構が提供する住宅ローンです。民間の住宅ローンと比較すると、いくつかの違いがあります。ここでは、フラット35と民間の住宅ローンの主な違いを詳しく見ましょう。
金利の違い
フラット35の最大の特徴は、金利が借入時から返済終了まで変わらない固定金利であることです。このため、金利変動のリスクがなく、将来にわたって返済額が予測しやすい点がメリットです。
民間の住宅ローンには、固定金利のみならず、金利変動に応じて変わる「変動金利」や、一定期間は固定金利でその後は変動金利に変わる「固定期間選択型金利」があります。
返済期間
フラット35:最長35年の返済期間
民間の住宅ローン:35年を超える返済期間を設定できる場合もあります。
審査基準返済期間
フラット35:審査基準は比較的厳格、安定した収入や信用状況が重視されます。物件の条件も厳しい基準に従って評価されます。
民間の住宅ローン:金融機関によって審査基準が異なります。一部の金融機関では柔軟な審査を行う場合もあり、独自の基準に基づいて審査が行われます。
手続きの流れと速度
フラット35は住宅金融支援機構を通じた手続きが必要なため、場合によっては民間の住宅ローンよりも時間がかかることがあります。
自由度と柔軟性
フラット35は利用条件や物件の基準が厳しいため、選択肢が限られることがあります。
一方で、民間の住宅ローンでは、商品の種類が多く、柔軟にプランを選べることが特徴です。
フラット35のメリット
フラット35を利用する際の主なメリットについて詳しく見ましょう。
長期間の固定金利
フラット35の最大の特徴は、最長35年間の固定金利を設けていることです。これにより、金利が変動するリスクを気にせずに、一貫した返済計画を立てられます。
豊富な物件選択
フラット35は、耐震性や省エネルギー性能などの基準を満たす物件にも利用できます。このことから、質の高い住宅を選ぶことが可能になるでしょう。
明確な基準に基づく審査
フラット35は審査基準が明確であり、安定した収入と信用状況があれば比較的審査に通りやすい傾向があります。
住宅購入のサポート
フラット35を利用する際には、住宅金融支援機構や提携金融機関から住宅購入に関するアドバイスやサポートを受けることができ、住宅購入のプロセスがスムーズに進むことが期待できます。
環境配慮型住宅の特別金利
環境配慮型住宅の購入でフラット35Sを利用することで、通常よりも低い金利でローンを利用することが可能です。これは、環境に配慮した住宅購入を奨励するためのメリットといえます。
フラット35のデメリット
フラット35は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。主なデメリットについて詳しく見ていきます。
金利市場の変動に対応できない
フラット35の金利は固定されているため、金利市場が低下した場合でも、金利は下がりません。これは、金利が下がる市場状況において不利になる可能性があります。
審査のハードル
フラット35の審査基準は比較的厳格であり、安定した収入や良好な信用状況が必要です。このため、一部の申込者にとっては審査を通過することが難しくなるでしょう。
利用できる物件の制限
フラット35は住宅金融支援機構が定める特定の耐震基準や省エネ基準を満たす物件に限定されているため、希望する物件がこれらの基準を満たさない場合、利用できない可能性があります。
手続きの時間と労力
フラット35の申込み手続きは、住宅金融支援機構を通じて行われるため、民間の住宅ローンに比べて時間がかかることがあります。また、必要な書類や手続きが複雑なのも知っておきましょう。
フラット35が向いている人
フラット35は利用者によっては、非常に適した住宅ローンオプションになり得るでしょう。ここでは、フラット35が向いているタイプについて詳しく見ていきます。
金利変動のリスクを避けたい
フラット35の固定金利は、長期間安定した返済計画を立てることができるため、金利変動を心配したくない方に最適です。
耐震性や省エネ住宅を求めている
フラット35は耐震性や省エネルギー性能などの厳格な基準を満たす物件にのみ利用できるため、質の高い住宅を求める方に適しています。
安定した収入を得ている
フラット35の審査は安定した収入などを重視するため、これらの条件を満たしている人は、審査を通過しやすいでしょう。
環境に配慮した住宅を求めている
フラット35Sは、脱炭素社会の実現に向けて、省エネルギー性や耐震性など環境配慮型設備を取り入れた住宅に対して特別な金利を提供しています。エコフレンドリーな住宅を求める人にフラット35S適しています。
フラット35が向いていない人
前述の通り、フラット35は特定の条件やニーズに合わせて設計されているため、全ての人に適しているわけではありません。以下では、あまり向いていない人の特徴について解説します。
金利が下降した局面での低金利で始めたい
フラット35は金利が変動しません。金利市場が低下するタイミングを狙って低金利で借り入れたい人には不向きです。
幅広い物件選択を求める人
フラット35とフラット35Sには、省エネルギー性や耐震性、バリアフリー性、耐久性および可変性の技術基準を定めています。技術基準を物件に限定されています。このような技術基準があるため、希望する物件が基準に該当していないと利用できません。
即時のローン審査を希望する人
フラット35の審査時間は、申し込んだ内容にも異なりますが、1週間から2週間程度の審査時間が発生します。迅速な審査を求める人には不向きかもしれません。審査時間に関しては、取扱金融機関に確認しておきましょう。
将来の計画に合わせて住宅ローンを選択しよう
この記事では、フラット35について解説しました。フラット35は、固定金利で利用したい人や安定した返済計画を望む方に適していますが、希望する金利タイプや住宅の性能などによっては適さない場合もあります。自分のニーズや状況、将来の返済計画を考慮して、フラット35が自分に合っているかどうかを含めた最適な住宅ローン選択を行うことが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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