NFTとは?始め方や購入・販売方法をわかりやすく解説
暗号資産(仮想通貨)といえば、決まった価値を持ち、同等のものと交換可能なトークン(=取引時に必要な本人認証)という印象をお持ちの方もいるのではないでしょうか。しかしながら、最近は同等のものがなく、代替ができないトークンも存在します。
今回は、非代替トークン「NFT」について解説します。購入・販売方法や応用例、メリットや今後の課題についても確認していきましょう。
目次
NFTとは
NFTとは「非代替性トークン」とされています。非代替性と代替性については、以下の図でイメージをつかんでください。
【代替性がある】
例)通貨や一般的な暗号資産のように同等の価値のものと交換可能。
【非代替性】
例)有名人のサイン入りグッズ、サインなしグッズのように、価値が違うため交換できない。
NFTの定義
現在のところ、NFTについて法的な定義はまだ存在していませんが、非代替性という点は共通認識としてあります。
NFTの特徴
NFTの主な特徴は、以下の5つです。
- 移動が可能暗号資産のようにNFTは取引が可能です。
- 非代替性ブロックチェーンという仕組みにより、NFTには価値が証明されています。
- 誰でも作れるNFTは誰でも作成でき、流通させることができます。
- 共通規格があるNFTは共通規格「ERC721」で発行されているものが大半です。そのため、準拠している「NFTマーケットプレイス」であれば取引ができます。一つのプラットフォームが事業停止した場合でも他のプラットフォームを使えれば問題ありません。
- プログラマビリティがあるNFTの取引履歴はブロックチェーンで公開されます。履歴をさかのぼって確認もできるため、何度売買された後でも原作者に収益を還元することが可能です。
NFTとブロックチェーン技術の関係性
NFTの話題の中には、ブロックチェーンという用語が頻繁に出てきます。これら2つの関係性を簡単にいえば、ブロックチェーンはNFTの「台帳」のようなものになります。ブロックチェーンはビットコインなどの暗号資産でも利用されており、「誰から誰にいくら受け渡された」などの履歴が記録されています。
ブロックチェーンの大きな特徴は、データがネットワーク参加のコンピュータ全てに記録されていることです。従来のデータベースの場合、データは一つのところに集められて記録されていました。しかし、ブロックチェーンでは各コンピュータにデータが記録されるので、何が最新版なのかを確認する必要がありません。また、改ざんや不正を防ぐ効果もあります。
NFTが注目される背景
NFTが注目されるようになったのは「非代替性」という特徴があるためです。例えば、高額な絵画の売買の場合、その絵画が本物なのかを証明する手段は従来ならば鑑定書しかありませんでした。しかし、NFTのブロックチェーンを利用すれば、鑑定書に頼らず本物であることを証明できます。今はデジタルアートの分野で多く利用されているNFTですが、今後は多岐に渡るジャンルで利用されることも期待できます。
主なNFTの種類
NFTの規格の主な種類は、以下の通りです。
ERC721
大半のNFTで使われている規格です。それぞれのトークンにIDを割り振り、区別が付けられるようになっています。NFTのタイプ情報データもNFTに付与することが可能です。
ERC1155
2019年6月採択の基準です。ゲームアイテム取引を想定し、従来の暗号資産とNFTを複合したような規格となっています。
ERC1155では1回の取引で複数のアイテムや複数の相手への送付が可能です。何度もやり取りをする必要がなくなり、手数料(ガス代)などコスト削減も実現します。
Flow
カナダのDappar Labs社が開発した企画です。独自の処理能力を採用することで、以前から問題になっていたセキュリティの問題も解決しています。今後幅広い分野で使われることが期待されるブロックチェーン技術です。
NFTを始めるために必要なものとは?
NFTを始める際に必要なものをご紹介します。
NFTウォレットの選び方と使い方
NFTを始めたなら、ウォレットが必要です。ウォレットはNFTを保管するための仮想的な場所と考えておきましょう。大きく分けてウォレットには以下の2種類があります。それぞれの特徴と合わせて理解しておきましょう。
コールドウォレット
ネットワーク接続していないウォレットです。安全性が高いという特徴があり、頻繁に取引しない方に向いています。なお、コールドウォレットには以下の2つがあります。
- ペーパーウォレット:アドレスや秘密錠を紙で保管する方法
- ハードウェアウォレット:ウォレット専用の機器。秘密錠を暗号化して保存する方法
ホットウォレット
ネットワークに接続したウォレットです。コールドウォレットより安全性は下がるものの、取引がスムーズにできるため、頻繁に取引をする方に向いています。ホットウォレットには以下3つがあります。
- モバイルウォレット:スマートフォンのアプリで提供されるウォレット
- デスクトップウォレット:PC上で管理されるウォレットであり、完全型と簡易型の2つに分けられる
- ウェブウォレット:オンライン上のウォレット。ID・パスワード設定のみで利用でき、どの端末でも利用可能
また、日本語対応しているか、自分が利用するマーケットプレイスや端末で使えるかという点も確認しておきましょう。
NFTを保管するためのセキュリティ対策
上記でご紹介したウォレットにはそれぞれメリット・デメリットがあります。セキュリティ面を考えると「コールドウォレット」が推奨されますが、利便性はホットウォレットに軍配が上がります。
利用頻度やご自身の端末のセキュリティ状況なども考慮して何を選ぶかを決めましょう。
NFTの購入方法
NFTの購入方法をご紹介します。
NFTマーケットプレイスの比較
NFTを購入する主な手順は、以下の通りです。
- 暗号資産取引所に口座を開設し、暗号資産を購入
- 暗号資産をNFTマーケットプレイスに送金
- 目的のNFTに投資
この中で重要となるのがNFTマーケットプレイスの選択です。最も重要なのがお目当てのNFTを扱っているマーケットプレイスを選ぶことですが、その他にも以下の点をチェックしましょう。
- 簡単に始められるか?Coincheck NFTなど、暗号資産取引所が運営するマーケットプレイスもあります。このようなマーケットプレイスを使う場合、別途ウォレットを準備する必要がありません。
- ガス代はどの程度か?NFTマーケットプレイスを利用するとガス代と呼ばれる手数料がかかります。手数料は各所で異なりますので、必ず事前に確認しましょう。
NFTの入札方法と注意点
NFTはオークション入札で手に入れることが可能です。マーケットプレイスにより仕様は若干異なりますが、パソコンなどの画面上で入札ボタンをクリックするだけで入札完了になることが多いようです。
なお、入札にはキャンセル時にガス代がかかるという注意点があります。本当に購入したいのかよく考えてから入札しましょう。
NFTの販売方法
自分がNFTを販売する際にどうすればいいのかも確認しておきましょう。
NFTの発行方法と流通手段
NFTを発行する手順は、以下の通りです。
- コンテンツを準備
- 仮想通貨を入金
- NFTマーケットプレイスにコンテンツをアップロードし出品
注意が必要なのが、出品手数料がかかるため出品者側も仮想通貨の入金が必要な点です。出品者側になる際もマーケットプレイスの手数料を確認しましょう。なお、出品時の販売方法や価格は自由に設定できます。
NFTオークションの種類と注意点
NFTはオークション形式でも出品できます。基本的なオークションでは最低価格を設定すると、購入希望者の入札金額に応じて値段が上がります。
その他にもダッチオークション方式もあります。こちらは価格が下がっていくオークションです。
オークション形式で出品する際は、以下の点に注意しましょう。
- 出品手数料を事前に確認する
- 手数料は暗号資産で支払うため、どの通貨を使うかをよく考える(※通貨によりレートや手数料が異なるため)
- 手数料の支払いタイミングを確認する
NFTと暗号資産の関係とは?
NFTを購入・出品する際の支払いは暗号資産を使います。そのため、まずは暗号資産取引所で口座を開き、暗号資産を入金しておく必要があります。先にご紹介したように、暗号資産取引所の中にはNFTマーケットプレイスを運営するところもあります。ガス代節約を重視する方はよく調べてから口座開設しましょう。
NFTの応用例
現在、NFTがどのような分野で使われているかをご紹介します。
芸術作品のNFT化
デジタルアートなど芸術作品をNFT化して販売している例が多くあります。デジタルアートの場合、著作権の証明が難しく、データ改ざんなども問題になっていました。しかしNFT化で著作権の明確化が可能になったというメリットがあります。
ゲーム内アイテムのNFT化
ゲーム内アイテムをNFT化する動きも盛んになっています。従来のゲーム内アイテムはサービスが終了すると保有できなくなるという問題点がありましたが、NFT化することでゲーム外でも保有し続けられるようになりました。NFT化したアイテムは後続ゲームに持ち越すことも可能です。
デジタルコンテンツのNFT化
ゲームキャラをデジタルシール化しNFTとして出品するという流れも出てきています。背景やフレームは購入した人が選べるため、自分だけのオリジナルデジタルシールを作成することもできます。オリジナルデジタルシールはマーケットプレイスでの出品が可能になる予定です。
NFTのメリットと課題
NFTのメリットと今後の課題について解説します。
メリット
NFTのメリットは、以下の通りです。
資産価値の保証
今まで、デジタルコンテンツは複製が簡単にできる、いつ誰が作ったかわからないといった理由から資産価値については不明瞭なところがありました。しかし、NFTで非代替性が証明されることにより、資産価値が保証されるようになります。
所有権の明確化
NFTで所有権も明確化されます。誰が作ったコンテンツかはっきりしないということが避けられるため、使用料を抜け漏れなく受け取れるでしょう。また、所有権を持つ人が流通制限をかけることもできるというメリットもあります。
デジタル作品の保護
デジタル作品の改ざんを防ぐためにもNFT化は有効です。
課題
NFTの課題についても見ておきましょう。
環境問題
NFTのやり取りの際は暗号資産を利用しますが、それに伴う膨大な電力消費は問題となっています。
著作権の問題
NFTは誰もが出品できるというメリットがありますが、すでに存在するコンテンツを流用し、自分の作品と主張する人が出現することも考えられます。法整備が整っていない状態で著作権問題が発生すると、解決できない可能性もあります。
NFTについての最新の情報を集める方法
NFTについての最新情報は、インターネット上に多数存在しています。以下に、NFTに関する情報を収集するためのいくつかの手段を紹介します。
- ニュースサイトやブログ:
NFTに関連する最新のニュースや解説記事を提供するサイトでは、最新の情報を効率的に収集できるでしょう。NFTのトレンド、新しいプロジェクトの紹介、市場分析など、幅広い情報を提供している専門サイトが多数存在します。
例)NFT Mediaなど - SNSなどのオンラインプラットフォーム:
オンライン上には、NFTコミュニティが活発に情報交換を行っているプラットフォームがあります。特定のハッシュタグやフォーラムをフォローすることで、最新の動向や意見交換に参加できます。
例)X(旧Twitter)など - NFTマーケットプレイス:
NFTマーケットプレイスを直接訪れることで、現在取引されているNFTの種類や価格、人気のコレクションを把握することができます。
例)OpenSeaなど
なお、情報収集を行う際は情報の出所を確認し、複数のソースから情報を得ることで、偏った情報や不正確な情報に惑わされないように注意することが大切です。また、NFTに関する知識を深めることで、投資やコレクションなど、様々な目的に応じた活用が可能になります。
発展途上のNFTは今後に要注目
NFTの仕組みとどのような分野で利用されているかをご紹介しました。2023年現在、NFTの法整備はまだ整っていない状態です。そのため、投資に全く詳しくない方が手を出すと、思わぬ損失を被ることも考えられます。
大きなリスクを負ってでもリターンを求めたいという方、すでに投資に慣れており、新しい投資方法を探しているという方以外は、現時点では静観するのが妥当です。
とはいえ、将来、法整備が整った後に参入できるよう、今のうちからNFTの仕組みを学んでおくこともおすすめといえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。