- 更新日 : 2023年10月13日
投資信託のスポット購入とは?売買タイミングはどうする?
投資信託の購入を検討している方の中で、スポット投資と積立投資のどちらを選ぶか迷っている方もいるのではないでしょうか。まとまった資金がある場合は、スポット投資の効率的な運用に魅力を感じることでしょう。
本記事では、スポット購入のメリット・デメリットや、つみたてNISAでの購入についてご紹介します。新しいNISA制度についても解説しているため、これから投資を始める方は、参考にしてください。
目次
投資信託のスポット購入とは
スポット購入とは、投資信託を一括で購入する方法のことです。投資信託を購入する場合は、毎月一定金額を積み立てて運用する「積立購入」と、まとまった金額で投資信託を購入する「スポット購入」の2つの方法があります。
積立購入では、事前に設定した日(毎日や毎月など)に一定金額の投資信託を購入するため、相場などを気にせずに投資が行えます。一方、スポット購入は、まとまった資金で投資信託を購入するため、基準価額が下がっているタイミングを意識する必要があります。
スポット購入のメリット
スポット購入のメリットには、以下のようなメリットがあります。
- 複利効果を最大限に活用できる
- 手元資金を効率的に運用できる
複利効果を最大限に活用できる
複利効果とは、投資により生じた利益を再投資することにより、さらに利益が得られる効果のことです。スポット購入では、まとまった資金が運用できるため、複利効果を最大限に活用できます。
仮に、年利3%で10年間運用した場合、利益推移は以下のようになります。
期間 | スポット購入 (1,000万円の一括投資) | 積立購入 (毎年100万円の積立投資) |
---|---|---|
1年後 | 1,030万円 | 101万円 |
2年後 | 1,061万円 | 205万円 |
3年後 | 1,094万円 | 312万円 |
5年後 | 1,161万円 | 536万円 |
10年後 | 1,349万円 | 1,159万円 |
※万円以下は切り捨て
スポット購入と積立購入では、10年後に約200万円の利益の差が生じています。ただしスポット購入では、まとまった資金を一括投資するため、安定したリターンが得られるとは限りません。
手元資金を効率的に運用できる
投資信託をスポット購入すれば、退職金や相続によって取得した資金を効率的に運用できます。積立購入する場合は毎月コツコツと運用することになるため、その期間は残った手元資金が運用されていない状況です。しかしスポット購入であれば、まとまった資金で運用が始められるほか、複利効果による利益も見込めます。
スポット購入のデメリット
スポット購入する際は、以下のようなデメリットに注意しましょう。
- 積立購入と比較して損失が大きくなる可能性がある
- 購入・売却のタイミングで運用成果が左右される
積立購入と比較して損失が大きくなる可能性がある
短期間で大きなリターンを狙う場合は、短期間で大きな損失が生じる可能性もあります。積立購入では短期的に損失が生じた場合でも、毎月資金を積み立てていることから、長期的に見ると損失を補うことができます。
しかしスポット購入の場合は投資信託に一括投資しているため、基準価額が下がった場合は再び元の価額に戻るまで待つしかありません。スポット購入する場合は、リスクが高い投資であることを認識しておきましょう。
購入・売却のタイミングで運用成果が左右される
スポット購入では、購入時と売却時のタイミングを見極める必要があります。積立購入の場合は基準価額を気にせずに投資が継続できますが、スポット購入の場合は、購入時よりも高く売却できないと利益が見込めません。
積立購入と比較して、ある程度の投資経験が必要なため、投資初心者には積立購入をおすすめします。なおスポット購入でリスクを分散したい場合は、まとまった資金を一括投資するのではなく、損失が生じた場合に備えて予備資金の一部を残しておくとよいでしょう。
スポット購入と積立購入は併用できる?
スポット購入は、積立購入と併用できます。スポット購入では、まとまった資金を効率的に運用できますが、基準価額が下がった場合は損失が大きくなってしまう可能性があります。しかし積立購入と併用すれば、基準価額が下がったタイミングでまとまった資金が投入できるため、リスクを抑えて大きなリターンが狙える見込みがあるでしょう。
2024年から始まる新NISA制度と相性が良いため、スポット購入を検討している方は、積立購入との併用を前提としてみてはいかがでしょうか。
つみたてNISAでもスポット購入できる?
2023年に終了するNISA制度では、証券会社でつみたてNISAの積立金額を設定しようとすると、月33,333円(年間40万円)が限度額に定められているため、原則としてスポット購入は行えません。ただし2024年に導入される新しいNISA制度では、積立購入を行いながらスポット購入が行えます。
2023年までのNISA制度は、120万円の非課税投資枠が5年間活用できる「一般NISA制度」と、年間40万円の非課税投資枠が20年間活用できる「つみたてNISA制度」のうち、どちらかを選択する必要がありました。
しかし2024年から始まる新しいNISA制度では、年間120万円の「つみたて投資枠」と、年間240万円の「成長投資枠」が併用できます。非課税保有限度額の総枠は1,800万円までとされていますが、運用により生じた利益が非課税となるため、投資を始めるなら活用したい制度といえるでしょう。
新NISA制度の概要は、以下の通りです。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
非課税保有限度額 (総枠) | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円) | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に 適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
ただし2023年末までに投資を始める場合は、現行制度における非課税保有期間が適用されます。新NISA制度の非課税保有期間とは異なる点に注意しましょう。
スポット購入の売買タイミングとは
ここからはスポット購入の売買タイミングについて解説していきます。
購入のタイミング
スポット購入のタイミングは、投資信託の基準価額が下がっているときです。リーマンショックやコロナショックなど、金融市場の相場が大幅に下落した際は、企業の業績などに関係なく株価が下がっているため、絶好のタイミングといえるでしょう。ただし底値の判断が難しいため、スポット購入を行う際は複数回に分けることをおすすめします。
売却のタイミング
売却のタイミングは、投資信託の保有期間や、目標金額などは購入する際に決めておきましょう。事前に売却のタイミングを決めておくことで、冷静に判断して投資信託の売却ができます。
保有期間や目標金額を定めずに購入すると、実際に利益が生じた場合に「もっと上がるかもしれない」と考えてしまい、なかなか売却できません。資金が必要な時期や使い道を明確にしておくことで、適切な判断で売却できるようになるでしょう。
ただし基準価額が下がっている場合は、損切りが必要になる場面もあります。含み損のまま保有を続けるか、損失を確定させて別の投資に利用するかの判断が必要となるため、判断に迷う場合は専門家への相談をおすすめします。
スポット購入と積立購入、どちらを選ぶべき?
ここからは、スポット購入と積立購入のどちらを選ぶべきかについて解説します。どちらがよいか迷っている方は、リターンを狙う時期で判断しましょう。
スポット購入が良いケース
投資信託のスポット購入が良いケースは、以下の通りです。
- 投資に慣れていて自分のタイミングで売買したい
- まとまった予備資金を運用に回したい
- 短期間で大きなリターンを得たい
退職金や相続などでまとまった資金を取得した場合は、スポット購入を検討するとよいでしょう。ある程度の投資経験が求められますが、基準価額が相場よりも下がっているタイミングに購入できれば、短期間で大きなリターンが狙えます。
積立購入が良いケース
投資信託の積立購入が良いケースは、以下の通りです。
- 将来のために投資を始めたい
- 少額でコツコツと運用を続けたい
- つみたてNISAの非課税を活用したい
将来に備えて投資を始めたい場合は、積立購入をおすすめします。教育資金や老後の生活費など、時間をかけて運用できる場合は、安定したリターンが期待できます。スポット購入と違って、自動的に投資信託を購入することになるため、投資の知識に自信がない方でも始められます。
投資の目的に応じて購入方法を選択しよう
本記事では、スポット購入のメリット・デメリットや、売買タイミングについて解説しました。スポット購入は短期間で大きなリターンが狙えるため、投資経験がある方におすすめできる投資手法です。ただし損失も大きくなる可能性があるため、複数回に分けて購入できるスポット購入をおすすめします。
これから投資を始める方は、積立購入を選ぶとよいでしょう。毎月コツコツと資金が積み立てられるため、リスクを抑えて安定したリターンが見込めます。スポット購入は、教育資金や老後資金の準備を検討している方に最適な投資なので、NISA制度の活用も視野に入れながら、早いうちから準備を進めてみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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