- 更新日 : 2023年8月18日
証拠金維持率とは?計算式や安全な目安を解説
FX取引や先物取引、オプション取引のように、レバレッジ(てこ)を効かせた投資をしている方が気にしておきたいのが「証拠金維持率」のことです。会社が指定する維持率を下回ると、証拠金を差し入れる必要がありますが、事前に目安を知っておくと、慌てずに対処することができるでしょう。今回は、証拠金維持率やその計算方法について詳しくご紹介します。現在、FX取引や先物取引をしている方、これから始めたい方はぜひご覧ください。
証拠金維持率を理解する
まずは、証拠金維持率とは何かをしっかり理解しておきましょう。
そもそも証拠金とは
FX取引や先物取引を行う際は「証拠金」というお金を会社に入れる必要があります。証拠金は取引で損失が出た際のカバーとして使われます。現金もしくは株式などの有価証券で差し入れますが、有価証券の場合、株価が下落し、価値が下がった場合、追加の証拠金を求められるので、注意が必要です。
証拠金取引とは
事前に証拠金を入れるFX取引などの場合、現物株を購入するときのように「株価×株数」の代金を全額支払う必要はありません。入金した証拠金の数倍の金額分の取引ができるためです。これを「証拠金取引」といいます。
例えば、証拠金の10倍分の取引ができるFX会社に20万円を入れていた場合、「20万円×10倍」で200万円分の取引ができることになります。レバレッジ(てこ)を効かせ、自分の手持ち資金以上の取引ができる点が証拠金取引のメリットと言えるでしょう。
また、FX取引などは「買い」からだけではなく、「売り」から取引をスタートすることもできます。ただし、買い・売りのどちらから始める場合でも、反対売買を行わなければなりません。これを「決済」といいます。
なお、決済で損益が出た場合、損失分だけを支払い、利益分だけをもらう「差金決済」を行うことになります。決済で損失が出た場合、証拠金取引をしているため、損失分の金額は証拠金から支払います。
ロスカットとは
ロスカットとは、未決済分の損失(含み損)が一定以上になった場合、自動的に決済を行うことです。手持ち資金以上の取引ができる証拠金取引では、ちょっとした値動きで大きな損失が出る可能性があるため、投資家の資産を守るために決められたルールです。
ロスカットされるルールは会社によって異なりますが、一般的には証拠金維持率を基準にして決められます。証拠金維持率が「100%を切る」「80%を切る」など、各社の定めた水準を下回った場合、ロスカットが行われます。
ロスカットを避けたい場合は、以下の対処を行う必要があります。
- 追加証拠金を入金する
- 一部決済し、必要な証拠金を少なくする
ただし、これらの対処を行ったとしても、相場の動きによっては再度ロスカットの可能性が出てくる場合もあります。FX取引や先物取引などを行う際は、自分の証拠金維持率を把握しておきましょう。
ご参考までに、楽天証券、SBI FXトレードのFX取引におけるロスカット水準をご紹介します。
SBI FXトレード | 50% ※発注中、待機中の注文は全て取消 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
楽天証券 | 以下の水準の中から自身で設定 ※5%刻み
|
証拠金維持率の重要性
ロスカット実施の基準ともなる「証拠金維持率」とは、必要な証拠金に対して純資産が占める割合のことです。証拠金維持率が高いと取引のリスクは低くなり、反対に証拠金維持率が低いと取引のリスクは高くなるとともに、ロスカットされる危険性が高まります。FX取引などを行う前に利用する会社の証拠金維持率の水準を確認してください。
また、自分のリスクを把握するために、取引を行っている間は証拠金維持率をきちんと把握しましょう。FX・先物会社の中には、証拠金維持率が一定水準以下になり、ロスカットの危険性が高まると連絡が来る場合もあるので、不安な方はそのような対応を行っている会社を選ぶと良いでしょう。
証拠金維持率の計算方法
証拠金維持率は、以下の式で算出できます。
以下の例で証拠金維持率を算出してみましょう。
注文証拠金:4万円
必要証拠金:8万円(20万円-4万円)÷8万円×100=200%
この場合の証拠金維持率は200%です。
安全な証拠金維持率の目安
証拠金維持率は高ければ高いほど良く、目安としては、300%以上を維持するようにしましょう。特に資産が多いほど維持率を高くしておいた方が安心です。
また、SBI FXトレードでは建玉(未決済分の契約のこと)がある場合、証拠金維持率が100%を切ると未約定の注文が取り消されます。注文を出す前にも証拠金維持率を確認する習慣をつけておきましょう。
FX取引などの際は証拠金維持率を意識しよう!
FX取引や先物取引のような証拠金取引の場合、証拠金を入れるとその数倍から数十倍の金額の取引が可能になります。少ない資金で大きな金額を動かせるため、少しの値動きで多額の利益を得られる可能性もあるのが利点です。しかし、予想外の値動きの場合、大きな損失が出る可能性もあるため注意してください。
また、証拠金取引では、証拠金維持率も重要です。建玉に含み損が出た場合、証拠金維持率が下がり、場合によっては強制的に決済が行われるロスカットに至ることもあります。ロスカットを避けるために、取引時は証拠金維持率を意識し、下がったら追加の証拠金を入れたり、一部だけ決済したりするなどの対処を行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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