- 更新日 : 2023年7月14日
インフレに強い資産と弱い資産とは?ポートフォリオの考え方
インフレになると、手持ちのお金の価値が相対的に低下する傾向があります。インフレに備えるためにはどのような資産が有効なのでしょうか?インフレに強い資産と弱い資産の代表例と、その特徴について解説します。またインフレに備えるポートフォリオの考え方も紹介しています。
インフレとは
インフレとはインフレーション(inflation)を省略した言葉で、物価が継続的に上昇していることをいいます。インフレの要因はさまざまですが、主に需要が供給を上回ることか、賃金や原材料費の高騰の2つです。一般的にインフレによりお金の流れが活発になると、景気は上向きとなります。
一方、物価の価値が継続的に下がり続けることをデフレといいます。デフレとはデフレーション(deflation)のことで、需要よりも供給が上回ることが主な原因です。供給が需要を上回ると、売り手は在庫を抱えることになり、在庫を販売するために価格を下げる必要性が生じます。そのため物価が低下するのです。
インフレに強い資産とは
インフレ局面では、どのような資産を保有すれば良いのでしょうか?インフレに強い資産の一例を紹介します。
有価証券
有価証券とは株や投資信託のことです。インフレになると商品やサービス価格が上昇するため、企業の収益が向上し、株価が上昇する可能性があります。株価は物価の上昇に伴って上昇していくため、インフレに強い資産とされています。
現物資産
現物資産とは、主に金や不動産といったモノのことです。インフレはモノの価値が上昇し、お金の価値が下がることから、現物資産を保有しておくとインフレ対策になります。
金は製品を製造する際の原材料にも使用されることがあるため、景気が良く、かつ需要が旺盛な時期は価格が上昇する傾向があります。また金は純金積立や、金ETFといった方法で少額投資をすることも可能です。
土地や建物といった不動産も景気が良くなれば価格が上昇する傾向にあることから、インフレに強い資産といえます。不動産についてもREIT(リート;Real Estate Investment Trust)や不動産小口化商品といった方法で少額投資が可能です。
外貨
日本でインフレが起こるということは、日本円の相対的な価値が下がっていることです。そのため米ドルなどの外貨を保有しておけば、インフレ対策になります。またほとんどの通貨が日本円よりも高金利であるため、保有しておくと日本円で貯蓄しているよりも早く資産が増える可能性があります。
ただし、外貨から円に交換するときの為替レート次第では、損失が発生する場合があるため、注意が必要です。換金時に購入時よりも円安になっていると利益になり、円高になっていると損失が生じます。
インフレに弱い資産とは
次にインフレに弱い資産のうち、主なものを紹介します。
現金
インフレになると現金の価値は目減りします。
例えば、毎月定期的に100円のジュースを1,000円で10本購入したとします。インフレになり、ある日ジュースが1本110円になると、これまで1,000円で毎月10本購入できていたジュースが9本しか買えません。インフレになったために、お金の価値が相対的に下がったことがおわかりいただけるでしょう。
預金
預金も低金利の場合はインフレに弱い資産となります。
例えば、翌年発売される300万円の車を一括で購入しようと、300万円を金利0.001%の普通預金に入れておくと、1年後は300万円30円になります。
インフレになり、1年後実際に購入しようと思っていた車の価格が1.0%上昇して303万円になったらどうなるでしょうか?このケースでは、インフレになってしまったために、車が購入できなくなります。
もし1.0%の金利がつく金融商品で運用していれば、1年後は303万円になり、車の価格がインフレで1.0%上昇しても購入できていたのです。
つまりインフレ局面では、物価上昇率を上回る運用をしなければ、お金の価値が目減りすることになります。したがって預金は、低金利の場合のみインフレに弱い資産となるわけです。
インフレに備えるポートフォリオとは
インフレに備える有効な方法は、有価証券や金や不動産といった現物、あるいは外貨を保有することです。
しかし、いずれの商品も市場動向によって価格変動するものばかりです。そのため、まとまったお金を株式投資に全額投資をするような運用をしてしまうと、大きく資産を減らしてしまう可能性があります。
こうした価格変動する商品は、「長期投資・積立投資・分散投資」という投資方法で、リスクを抑える運用を心がけましょう。
長期投資とは、1年2年といった短期間の値動きに一喜一憂することなく、長期的に同じ商品に継続投資をする方法です。長期投資をすることで、毎年の利益と損失を相殺し合い、結果的にリターンが安定します。
積立投資は、毎月1万円、2万円など、定額を一定期間ごとに投資する方法です。価格変動する商品は定期的に一定額を買い続けることで、購入単価を平準化させることができます。
分散投資とは、値動きの特徴が異なる複数の資産に分けて投資する方法です。例えば、株式と債券は一般的に値動きの特徴が異なります。つまり、株価が下落すれば債券価格が上がり、債券価格が下がれば株価が上がるため、大きな損失になりにくいという考え方です。
分散投資でどの商品を選んで良いかわからないという方は、あらかじめ投資のプロが分散投資をしてくれている投資信託を選ぶという方法もあります。
いずれにしても「長期投資・積立投資・分散投資」は時間が必要です。日頃からインフレ対策として、継続的に投資することを心がけましょう。
インフレ対策は早めに取りかかろう
インフレに備えるためには、有価証券や現物資産、外貨など価格変動リスクのある商品の扱いが必要になる場合があります。しかし価格が変動する商品を扱う場合、元本割れをするかもしれないため、不安に感じる方もいるかもしれません。
しかしこうした価格変動する商品は「長期投資・積立投資・分散投資」でリスクを抑えられる可能性があります。ただしすぐに効果が出る方法ではありません。1年2年といった短期間ではなく、長い時間をかけてインフレ対策を立てていきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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