- 更新日 : 2023年7月21日
S&P500とは?株価推移やおすすめの証券会社を解説
S&P500は、アメリカ経済の動向を探る上で重要な株価指数です。アメリカ市場に投資する際に重宝される指標ですが、その中身に詳しくない方も多いでしょう。
今回は、S&P500の構成銘柄や株価チャートの動向、メリット・デメリットと注意点を解説します。おすすめの証券会社も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
S&P500とは?
S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表しているアメリカの代表的な株価指数の1つです。
S&Pは”Standard & Poor’s”の略称で、S&P500を算出する格付け会社の旧社名に由来しています。
ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場している企業から代表的な500銘柄を時価総額で加重平均し、指数化しています。
日本における日経平均株価と同じようなものだと考えれば良いでしょう。
S&P500指数の構成銘柄はアメリカ株式市場の時価総額の8割を占めているため、S&P500に連動した投資先を選べば、アメリカ主要企業への投資と同じ効果が得られます。アメリカ経済の動向を把握するうえでも重要な指標です。
次項では、S&P500の主な構成銘柄を紹介します。
S&P500の構成銘柄
S&P500は多くの構成銘柄で成り立っています。以下に構成銘柄のうちの上位10銘柄とセクター比率を紹介します。
組み入れ上位10銘柄
S&P500の構成銘柄のうち、上位10銘柄は以下の通りです。
順位 | ティッカー(銘柄コード) | 銘柄名 | 業種 | 保有比率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | AAPL | APPLE INC(アップル) | 情報技術 | 7.47 |
2位 | MSFT | MICROSOFT CORP(マイクロソフト) | 情報技術 | 6.75 |
3位 | AMZN | AMAZON.COM INC(アマゾン) | 一般消費財・サービス | 3.05 |
4位 | NVDA | NVIDIA CORP | 情報技術 | 2.65 |
5位 | GOOGL | ALPHABET INC CLASS A(Googleの親会社) | 通信 | 2.02 |
6位 | TSLA | TESLA INC(テスラ) | 一般消費財・サービス | 1.82 |
7位 | GOOG | ALPHABET INC CLASS C(Googleの親会社) | 通信 | 1.77 |
8位 | BRKB | BERKSHIRE HATHAWAY INC CLASS B (バークシャーハサウェイ) | 金融 | 1.68 |
9位 | META | META PLATFORMS INC CLASS A (メタ:旧Facebook) | 通信 | 1.64 |
10位 | UNH | UNITEDHEALTH GROUP INC | ヘルスケア | 1.28 |
AppleやAmazon、Googleなど誰もが知る有名企業が上位の銘柄に組み入れられています。業種は情報技術や金融・通信など多彩なラインナップです。
セクター比率
セクター比率とは業種ごとの保有比率を意味する用語です。S&P500のセクター比率は以下のグラフをご覧ください。
セクター比率は情報技術が約3割を占めており、ついでヘルスケア、金融の順になっています。
S&P500の株価推移チャート
続いてS&P500のチャートから過去の推移や今後の動向を見てみましょう。以下のグラフは過去5年の推移を示しています。
画像引用:TradingView
2020年2月から3月にかけて新型コロナウイルス感染拡大により大幅な下落がありました。指数と変動率は以下の通りです。
2020年2月最高値 | 2020年3月最安値 | 変動率 | |
---|---|---|---|
指数 | 3,380 | 2,304 | -31.8% |
わずか1カ月余りで30%以上も下落し「コロナショック」と呼ばれました。現在はアメリカ経済の株価が持ち直し、以下のように回復しました。
2020年3月最安値 | 2023年6月最高値(執筆時点) | 変動率 | |
---|---|---|---|
指数 | 2,304 | 4,425 | +92.1% |
2023年6月現在では、コロナショック後より90%以上の上昇となっています。
短期的に細かな上下を繰り返しながらも、アメリカ経済の成長に合わせて右肩上がりの推移です。
S&P500に投資するメリット
アメリカ株式市場への投資を考えている人にとって、S&P500は魅力的な選択肢の1つです。以下では、S&P500に投資するメリットを4つ解説します。
手数料が安い
S&P500に連動するインデックスファンドやETFは、一般的に運用コストや手数料が安いというメリットがあります。
投資信託は運用コストとして、信託報酬が投資運用会社に支払われますが、インデックスファンドの信託報酬は低く抑えられています。
S&P500に連動するインデックスファンドの信託報酬は、購入するファンドによって差はあるものの低いものは年間で税込0.1%ほどです。
一方で、指数を超えるリターンを目指すアクティブファンドの信託報酬は年間1%以上のものが多くあります。
投資の初心者でも始めやすい
S&P500は投資初心者でも開始しやすいこともメリットの1つです。投資初心者の場合「失敗したくない」「たくさんのお金を投じるのが不安」と思う方も多いでしょう。
個別株投資の場合、数万円から数十万円単位の投資資金が必要になりますが、投資信託の場合は少額から始められます。
また、個別銘柄を選ぶ必要がないため、投資に関する専門知識が少ない方でも安心です。S&P500を絡めた投資を始めて、慣れてきたら他の投資スタイルを探すのも良いでしょう。
値動きを把握しやすい
S&P500に連動する投資商品は前述のチャートのように、アメリカ経済の動向に追従する形を取ります。チャートと同じような運用を目指すため、S&P500の主要銘柄に注目しておけば値動きを把握しやすいのが特徴です。
市場全体の局面やトレンド・経済成長に連動し、銘柄ごとにパフォーマンスの差が生じにくいため投資判断がしやすいでしょう。
分散投資に向いている
S&P500は、さまざまな業種や企業で構成されているため、分散投資として優れています。500銘柄の時価総額を加重平均した構成は、個々の企業の株価変動リスクを軽減することに効果的です。
インデックスファンドはアクティブファンドよりも多くの銘柄を組み入れており、1つの商品で分散投資が可能となります。
リスクを分散させながら、アメリカ市場全体の成長に投資できることはS&P500の醍醐味といえるでしょう。
S&P500に投資するデメリットや注意点
ここまではS&P500の良い面を見てきましたが、デメリットも把握した上で投資先として選ぶべきか判断すると良いでしょう。
S&P500のデメリットは以下の3つです。
株価指数を超えるリターンは狙いにくい
S&P500に連動する投資先は、あくまで株価指数を基準に運用していくためハイリターンは狙いにくいのがデメリットです。
大きく損する可能性は低いものの、大幅な利益を生み出す可能性も低くなります。指数を超えるほどのリターンを求めるなら、S&P500に連動するインデックスファンドよりもアクティブファンドを選ぶ方が良い場合もあります。
手数料の高さと引き換えにハイリターンを求める方は、アクティブファンドも選択肢の1つです。
短期の投資に向いていない
S&P500関連の投資は、短期売買に向いていません。チャートでも確認したように、長期的には右肩上がりに上昇していますが、短期的には下落相場もあります。
2020年2月から3月の1カ月間で30%以上下落した期間もありました。
短期的には大幅に変動する場合があるため、短期投資には向かない商品です。
S&P500に代表されるインデックス投資は、長期的な視点で運用するのがコツだと理解しておきましょう。
アメリカの企業にしか投資できない
S&P500はアメリカにおける株価指数のため、アメリカ以外の企業には投資できません。
アメリカだけでなく日本や中国にも投資したいと思っても、S&P500では不可能です。
世界最大の経済大国アメリカの勢いを表しているのがS&P500の推移ですが、今後も世界のトップであり続ける保証はありません。
アメリカだけでなく中国やインドなどの経済成長が著しい国にも注目し、広い視野をもって投資する意識も大切です。
S&P500に投資するには
S&P500に連動した投資には、主に以下2つの方法があります。
- ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)
- 投資信託
概要は以下の通りです。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
取引のタイミング | 取引時間内いつでも | 1日1回 |
価格の変動 | 取引時間内に変動 | 1日1回(基準価額) |
最低買付額 | 数千円 | 100円 |
つみたてNISA | 対応 | 対応 |
購入先 | 証券会社 | 証券会社・銀行など |
それぞれの特徴を解説しますので、ご自身に合った方法を選んでみましょう。
ETFを活用
ETFは、証券取引所で取引される投資信託の一つです。S&P500のような株価指数への連動を目指しており、個別株と同様に証券取引所の営業時間内に売買できます。買いたいときに買付でき、売りたいときに売れる流動性の高い投資商品といえます。
ETFは、複数の株式や債券などの資産を組み合わせてポートフォリオを構築し、1つの投資商品として取引されるため分散投資に適しているのも特徴です。
S&P500に連動するETFには、VOO(バンガード・S&P500 ETF)やSPXL(Direxion デイリーS&P 500 ブル3倍 ETF)があります。
投資信託を活用
投資信託は、複数の投資家から集めた資金を運用のプロであるファンドマネージャーが運用し、株式や債券・不動産などのさまざまな資産に分散投資する仕組みです。投資商品を詰め合わせた、福袋のようなものとイメージすると良いでしょう。
ETFとの違いは取引回数や価格の変動が1日1回に限定されている点や、少額の取引が可能な点です。ETFほどの流動性はないものの、少ない資金から始めて、長期で積み立てしやすい魅力があります。売買のタイミングを図るのが難しい投資初心者にもやさしい投資方法といえるでしょう。
S&P500に連動する投資信託には、「SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」があります。
S&P500に投資するにおすすめの証券会社
S&P500関連のFTFや投資信託の取引を行うには、証券口座を開設する必要があります。
銀行の窓口に行く必要がなく、口座開設がパソコンやスマートフォンなど手軽にできるネット証券を選ぶと良いでしょう。
以下におすすめの3社を紹介します。
SBI証券
SBI証券は、ネット証券国内株式個人取引シェアNo.1を誇る人気の証券会社です。2023年7月時点で、約5,600銘柄もの米国株式がラインナップされており、大型銘柄からIPO銘柄・中小型銘柄まで幅広いバリエーションがそろっています。
SBI証券ではVOO・SPXLなどのS&P500に連動したETFや投資信託も充実しており、ご自身に合った銘柄を見つけられるでしょう。米国株式・ETF定期買付サービスも利用できるため、毎月の買付を忘れてしまいそうな方にも最適です。
また、SBI証券での取引や投資信託の保有額によって、Tポイント、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALのマイルといった各種ポイントをためられるサービスもあります。ためたポイントを使って投資信託の買付が可能です。
管理に便利な専用スマホアプリもあるため、投資に慣れていない方でも気軽に始めやすいでしょう。
楽天証券
楽天証券もS&P500の投資に適したネット証券です。2022年には「オリコン顧客満足度ランキング ネット証券」で2年連続総合1位を受賞しており、多くの方に選ばれています。
楽天証券の特徴は楽天グループのつながりを活かしたサービスです。楽天銀行との連携で振込手数料が無料になり、金利優遇があるなどのメリットに加え、楽天カードポイントを投資資金として使える「ポイント投資」もあります。
投資信託の全銘柄で購入手数料が無料、VOOなど海外ETF15銘柄の買付手数料も無料のため、これから投資を始める方も安心です。
ポイント獲得やキャッシュバックなどのキャンペーンも豊富に実施されているため、利用してみると良いでしょう。
松井証券
松井証券は創業100年を超える老舗の証券会社です。ネット証券の元祖ともいえる存在で、投資家からの人気が高く厚い信頼を得ています。投資信託の本数は1,600以上と豊富に取りそろえており、全ての投資信託の購入手数料が無料です。徹底した低コストで長期運用の強い味方になるでしょう。
カスタマーサポートによる安心のサポート体制や、25歳以下は26歳になる誕生月の最終営業日取引分までは株式の取引手数料が無料など魅力的なサービスも展開しています。
また、2020年より日本初となる投信毎月現金還元サービスも始めました。松井証券側が受け取る信託報酬が0.3%(税抜)を超えた場合、超過分を顧客に還元するものです(ETF・iDeCoは対象外)。
画像引用元:松井証券 日本初 投資信託 毎月ポイント・現金還元サービス
2020年からはAmazonギフトカードや3,000種類以上の商品に使える松井証券ポイントの還元も開始されました。
画像引用元:松井証券「投信毎月ポイント・現金還元サービス」の特徴
ポイント受け取りなら現金で還元した場合の還元率10%分が上乗せとなるため、投資しながらポイントもためておきたい方におすすめです。
S&P500は投資初心者でも安心して実践できる
本記事ではS&P500の概要や株価推移を解説し、おすすめの証券会社を紹介しました。S&P500に連動した投資信託やETFは、低コストでありながら分散投資・長期投資に優れた投資先です。
アメリカ経済界の動向を把握しやすく、アメリカが成長するほど投資家はその恩恵を受けられます。株価指数に連動して投資するため、売り買いのタイミングがわからない投資初心者の方にも向いています。
S&P500は投資を始めたい方や、すでに投資経験がありリスクの少ない投資先を選びたい方にもおすすめです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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