VTIとは?株価推移や配当利回り、おすすめの証券会社を解説

「日本株だけでなく、外国の株式にも投資してみたい」と考えたことはありませんか?しかし、他国の株式といっても、どの国がいいのか、そしてどの銘柄がいいのか全く分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は外国ETFの一つ「VTI」についてご紹介します。チャートの確認やメリット・デメリット、そして他のETFとの違いについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

VTIとは?配当利回りは?

VTIとは、米国のバンガード社が提供する上場投資信託(ETF:Exchange Traded Funds)です。米国株式市場に上場しているため、日本の証券会社の外国株式を取り扱う口座で売買できます。

株式同様、価格を指定しての注文「指値」も可能です。一般の投資信託とは異なり、価格を指定して取引できる点はETFのメリットといえるでしょう。

VTIのその他の特徴も以下の表で確認しておいてください。

正式名称バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
運用会社バンガード
上場取引所NYSE Arca
ベンチマーク指数CRSP USトータル・マーケット・インデックス
経費率0.03%
純資産額約2,838億米ドル(2023年4月24日現在)

経費率が0.03%と非常に低い点は注目ポイントです。なるべく投資コストを下げたいという方にはおすすめのETFといえます。ちなみに、2023年4月24日現在の配当利回りは1.56%(税込)です。分配金は年に4回支払われます。

VTIの構成銘柄や株価の推移も確認してみましょう。

VTIの構成銘柄

VTIは米国の株式を投資対象とするETFです。構成銘柄は以下のようになっています(2023年4月24日現在)。

銘柄名比率
アップル6.13%
マイクロソフト5.31%
アマゾン・ドット・コム2.23%
エヌビディア1.61%
アルファベット(グーグルの持ち株会社)
(クラスA:議決権あり)
1.53%
テスラ1.38%
バークシャー・ハサウェイ1.33%
アルファベット(クラスC:議決権なし)1.30%
メタ・プラットフォームズ1.17%
エクソンモービル1.10%

出典)ブルームバーグ ホームページ

構成銘柄上位は、日本でもよく聞く世界的なIT企業がほとんどです。どのような業種の銘柄が組み込まれているのか、セクター比率も確認しておきましょう(2023年3月31日現在)。

分野比率
テクノロジー27.3%
一般消費財14.2%
ヘルスケア13.5%
産業・工業13.3%
金融10.5%
生活必需品5.5%
エネルギー4.7%
素材4.4%
不動産3.2%
電気通信2.4%
素材2.2%

出典:バンガード ホームページ

テクノロジー関連銘柄が最も多くなっています。VTIは大型株・中型株・小型株を問わず、米国株全体を組み入れ対象としていますが、やはり有名IT企業の存在感が高まっているのでしょう。

その他には一般消費財、ヘルスケア、産業・工業など、全業種の銘柄を組み込んでいます。一つの業種に偏っていないため、ある業種の株価が低迷しても他の業種の銘柄でカバー可能です。

VTIの株価推移チャート

投資信託を購入する際に、これからの期待度はもちろん、今までの値動きも気になるという方は多いのではないでしょうか。以下でVTIのチャートを確認してみましょう。

引用元:TradingView

2022年の間は何度も価格が上下しています。大幅にマイナスになっている時期もあるため、これだけ見ると、今後の値動きが不安と思われる方もいるかもしれません。

しかし、2018年5月からの5年間のチャートを確認してみると、多少の下落はあるものの、結果的に大幅に上昇し続けています。

また、長期的に見ると、米国株全体は順調に上昇を続けています。米国株で運用するVTIは今後の値動きにも期待大といえるのではないでしょうか。

VTIのメリット

これからVTIに投資するメリットは以下の3点です。

  • 大型株から小型株まで米国株全体に投資できる
  • 長期投資に向いている
  • 運用コストが低め

大型株から小型株まで米国株全体に投資できる

VTIは米国株のみを組み入れているETFです。日本の証券会社を通じて売買できる有名IT企業の株式だけでなく、日本ではあまり知られていない中型株や小型株も組み入れられますので、隠れた有力銘柄に投資できるチャンスともいえます。

また、株式投資をする時、個別銘柄を探すために業績やチャートを一つひとつ確認するという方もいるでしょう。しかし、ETFであれば、個別銘柄の詳細を調べ上げる必要はありません。「米国株に投資したいが何を買えばいいのか分からない」という方もVTIで気軽に米国株投資ができます。

長期投資に向いている

日本の株価は多少上昇した時期もありますが、ここ数十年停滞気味で推移しています。以前から持っていた場合はもちろん、これから投資をしても大きく利益を出すのはなかなか難しいのではないでしょうか。

しかし、米国株は数十年間右肩上がりで推移しています。その間には「リーマンショック」(2008)などの大きな出来事もあり、一時期は下落もしていますが、見事に持ち直して上昇を続けています。世界的な企業の数、マーケットの大きさから考えても、米国株は今後も期待が持てるといえるでしょう。長期間保有していても大幅な価格下落が考えにくいため、これからVTIに投資するのもおすすめです。

運用コストが低め

ETFや投資信託を購入・保有する際、ETF購入代金以外に手数料がかかることをご存じでしょうか。具体的には次のような手数料がかかります。

  • 販売時手数料:金融機関に支払う投資信託の種類や金融機関によって金額が異なる
  • 信託報酬:投資信託の運用中に支払う別途現金などで支払うのではなく、保有する投資信託から差し引くことで支払う
    年0.5%~2.0%ほど
  • 信託財産留保額:投資信託解約時に、解約代金から差し引くことで支払う基準金額の0.3%程度が目安

上記のような費用が必要なケースがあります。

VTIの場合、経費率は0.03%(2022年4月29日現在)と非常に低めに設定されています。VTIは投資に関するコストを気にする方にも向いているETFといえるでしょう。

VTIのデメリットや注意点

VTI投資はメリットも大きいのですが、注意点もあります。こちらも押さえておいてください。

  • ある程度の資金が必要
  • 為替の影響を受ける
  • 米国株にだけに投資するため、リスクを分散しにくい

ある程度の資金が必要

VTIの市場価格は約200ドルです。(2023年4月現在)1ドルが130円と仮定すると、最低でも2万6,000円が必要です。「試しにちょっと買ってみようか」と気楽に購入できる金額ではない点はデメリットといえるでしょう。

VTIで利益を得るためにはある程度の資金を投資する必要がある点には注意しておいてください。

為替の影響を受ける

VTIは米国のETFのため米ドル建てで運用されます。購入時・売却時に為替の影響を受ける点には注意が必要です。

例えば、1口190米ドルのVTIを1米ドル130円の時に購入すれば2万4,700円必要です。このVTIを1口200米ドルになった時点で売却するとします。この時に為替の影響を受けてしまうのです。1米ドル=160円、130円、100円で売却したと仮定して計算してみましょう。

※手数料等のコストは考慮していません。

米ドル/円手に入る金額利益額
160円200米ドル×160円=3万2,000円7,300円
130円200米ドル×130円=2万6,000円1,300円
100円200米ドル×100円=2万円▲4,700円

購入時と変わらない1米ドル=130円の場合、円安の1米ドル=160円の場合は利益が出ます。しかし、円高になった1米ドル=100円の場合は、VTIの価格が値上がりした状態で売却したにもかかわらず4,700円の損失が発生します。

VTIを売買する際は、値動きだけでなく為替の動きにも気を配る必要があるのです。

米国株だけに投資するため、リスクを分散しにくい

VTIは米国株にだけ投資するETFです。米国株が好調の場合は問題ないのですが、株価が下落した場合は一緒にVTIの価格も下落することになります。現在、米国株は安定した値動きで推移していますが、政治や経済の状況で下落に転じる可能性もあります。その際、VTIだけでは他の国の銘柄で運用するなどのリスクヘッジができません。

米国株の動きと同じような動きをする点はメリットでもありますが、デメリットにもなることを知っておきましょう。

VTIにおすすめの証券会社

VTI投資におすすめの証券会社をご紹介します。各社それぞれ特徴がありますので、見比べてみましょう。

SBI証券

ネット証券大手の会社です。日本株式をはじめとして、2,600本を超える投資信託、外国株式など、この証券会社に口座を持っていれば、証券取引で不足する点はないといえるでしょう。

また、2022年4月1日より「SBI ETFセレクション」として、米国ETF10銘柄の買付手数料が無料となっています。VTIも対象となっていますので、この機会に口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。

マネックス証券

米国株だけでなく、中国株など海外の株取引に強いネット証券会社です。ホームページには米国株や市場についての詳しい解説も掲載されていますので、これから外国株式について勉強したいという方は参考にしてはいかがでしょうか。

ちなみに、VTIなどの米国ETF現物取引の買付手数料は実質無料です。お得に取引したいという方にもおすすめの証券会社といえます。

楽天証券

楽天証券は投資初心者にも使いやすいネット証券会社です。ホームページでは投資が初めての方にも分かりやすい解説が掲載されています。VTIだけでなく、投資全体について勉強したいという方にもおすすめの証券会社です。また、楽天銀行や楽天ポイントなど、楽天グループとの連携もチェックしておきたいポイントです。

海外ETFについてはVTIを含む15銘柄が買付手数料無料の対象となっています。

松井証券

1918年創業の老舗の証券会社です。古くからある会社ではありますが、アプリの充実度、手数料の低さは新興ネット証券会社にも引けをとりません。

米国ETFを含む米国株の取引手数料は以下の通りとなっています。

取引手数料約定代金×0.495%(税込)
最低手数料0米ドル
※約定代金2.22米ドル以下の場合は手数料無料
上限手数料22米ドル(税込)

他のETFとの比較

VTIと他のETFの違いについて確認しておきましょう。

VOOとの比較

どちらもバンガード社が提供するETFです。VTIが「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」をベンチマークとしており、大型株だけでなく、中型・小型株も組み込んでいるのに対し、VOOは「S&P」と連動し、大型株500銘柄を組み込んでいるのが特徴となっています。

S&P指数はニュースでも報じられる米国の有名な株価指数です。どちらのETFがいいのかは投資の方針によりますが、値動きの分かりやすさはVOOの方が上といえるでしょう。

QQQとの比較

QQQはインベスコ社が提供する「インベスコ QQQ トラスト シリーズ1ETF」の略称です。「NASDAQ100」をベンチマークとしており、米国の大型株約100銘柄で運用しているという特徴があります。

NASDAQ指数もニュースなどで確認できるため、値動きは追いやすいといえるでしょう。ただし、約100銘柄で運用するため、一つの銘柄の値動きがQQQの値動きに大きな影響を及ぼす可能性もあります。

VTとの比較

VTIと同じバンガード社が提供するETFです。米国株のみで運用するVTIとは異なり、VTは米国株をはじめとした全世界の株式で運用しています。そのため、VTは「米国株だけではリスクが不安」という方におすすめといえるでしょう。

米国株全体に投資したい人におすすめのVTI

VTIは米国株のみで運用するETFです。大型株だけでなく、中型株や小型株も組み込まれているため、現在、株価が上昇している銘柄はもちろんのこと、これから期待できる銘柄にも投資している側面があります。米国株に興味はあるが、どの銘柄を選んだらいいのか分からないという方にはぴったりの投資先といえるでしょう。

ただし、組入銘柄は米国株のみとなるため、米国株全体の下落リスクを受けてしまう可能性があります。また、購入時・売却時の為替リスクも理解しておかなければなりません。

投資を始める前に、証券会社のホームページなどで米国株についてのある程度の知識を身に付けておくことをおすすめします。

よくある質問

VTIとは?

米国の大型株、中型株・小型株を投資対象としたETFです。米国以外の国の株式は組み込まれていません。詳しくはこちらをご覧ください。

VTIにおすすめの証券会社は?

ネット証券会社であれば、どこからでも取引が可能なため忙しい人でも使いやすいでしょう。具体的には「SBI証券」「楽天証券」「松井証券」「マネックス証券」がおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。