• 作成日 : 2024年7月19日

共働き世帯の平均年収はいくら?資産を増やすポイントは?

共働き世帯とは、夫婦がともに働いている世帯のことを指し、2023年に総務省が発表した「家計調査報告(家計収支編)二人以上の世帯」によると平均年収は約831万円でした。

この記事では、平均年収や、平均支出の傾向、平均貯蓄額、資産を増やすポイントについて解説していきます。

共働き世帯の平均年収

共働き世帯とは、夫婦がともに働いている世帯のことを指します。共働き世帯の形態はさまざまであり、必ずしも夫婦のどちらもフルタイムおよび正社員として働いているとは限りません。

総務省が実施した2023年に実施した「家計調査報告(家計収支編)二人以上の世帯」の調査によると、共働き世帯の実収入(税込み収入)は、月平均が69万2,685円でした。これを年換算すると、831万2,220円となります。

ここでいう、実収入とは、税込み収入のことを指します。実収入より税金や社会保険料などを控除した金額が、実際に使えるお金「手取り」の額になります。

参考:家計調査報告(家計収支編) 二人以上の世帯のうち勤労者世帯 3-11表|総務省

共働き世帯の収入割合

共働き世帯の月平均の実収入69万2,685円のうち、世帯主の収入は46万8,193円、世帯主の配偶者の収入は17万1,785円となっています。

これをもとにそれぞれの収入の割合を計算すると、世帯主が約67.6%、配偶者が約24.8%となります。残りの約7.6%はその他の収入(例:年金や賃貸収入など)と考えられます。

このことから、共働き世帯でも大部分は世帯主の収入で占められており、世帯主の配偶者の収入は世帯の約4分の1程度であることがわかります。

共働き世帯の平均年収はいくら?資産を増やすポイントは?

参考:家計調査報告(家計収支編) 二人以上の世帯のうち勤労者世帯 3-11表|総務省

共働き世帯の平均支出

共働き世帯の月々の平均の支出はどのくらいでしょうか。総務省が発表した2023年調査結果から詳しく見ていきましょう。

支出共働き世帯夫だけが働いている世帯
消費支出33万9,799円30万4,796円
非消費支出13万672円10万561円
合計47万471円40万5,357円

共働き世帯の消費支出(生活費)の月平均額は約34万円、非消費支出は約13万円です。

一方、夫のみの所得で生活している世帯の消費支出(生活費)の月平均額は約30.5万円、非消費支出は約10万円です。

ここでいう、消費支出とは、家賃や光熱費のほか、食費、被服費、教養娯楽費、交通通信費などのいわゆる生活費のことです。また、非消費支出とは、税金や社会保険料など、自分もしくは世帯で自由にならない支出のことを指します。

これらのデータから、共働き世帯の平均支出は夫のみの所得世帯よりも約7.5万円多いことがわかります。

支出の内訳

共働き世帯の支出の内訳は、住居や光熱費、食費や生活費、医療費など、さまざまな項目に分類されます。最も支出が大きい項目は「食料」であり、全体の約25.8%を占めています。次に支出が大きいのは「その他の消費支出」で約17.6%です。この項目には、理美容品や身の回り品などが含まれます。一方、「住居」は約5.2%、「保健医療」は約4.0%、「家具・家事用品」は約3.9%と、相対的に少ないことがわかります。

これらのデータから共働き世帯では、食費や交通・通信、教養娯楽などに多くの費用を使っていることがわかります。一方で、住居や医療、家具などへの支出は比較的少ない傾向です。

項目支出額割合
食料8万8,050円25.84%
住居1万7,755円5.21%
光熱・水道2万3,891円7.01%
家具・家事用品1万3,135円3.85%
被服および履物12万,727円3.73%
保健医療1万3,588円3.99%
交通・通信5万6,169円16.48%
教育2万552円6.03%
教養娯楽3万3,892円9.94%
その他の消費支出6万40円17.62%
合計34万799円100.00%

参考:家計調査報告(家計収支編) 二人以上の世帯のうち勤労者世帯 3-11表|総務省

年代別の平均支出

共働き世帯の平均支出は、年代によっても異なります。2人以上の勤労者世帯の支出額からおおよその傾向を知ることができます。

30代の世帯支出は約27万円、40代の世帯支出は約32万円、50代の世帯支出は約35万円、60代の世帯支出は約31万円です。

30代から50代にかけては子どもの教育費など支出が増加傾向にあり、60代では子どもが独立するなどの理由から若干減少に転じる傾向が見られます。

参考:家計調査報告(家計収支編) 二人以上の世帯のうち世帯主の年齢階級別3-2表|総務省

共働き世帯の平均貯蓄額

共働き世帯の夫婦はどれくらい貯金をしているのでしょうか。共働き世帯の公的なデータはありませんが、総務省統計局の「家計調査(貯蓄・負債編)2023年」のデータを見ると、以下のことがわかります。

2人以上世帯の貯蓄現在高の平均値(※)は、およそ1,291万円です。これは、前年に比べ3万円、0.2%の増となり、5年連続の増加となっています。このうち、勤労者世帯の貯蓄額は、1,474万円です。
また、二人以上の世帯の貯蓄保有世帯の中央値は、1,107万円となっています。

※ 貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた平均値

ここでいう、平均値と中央値は、データの特徴を表す代表的な指標ですが、その性質は異なります。平均値は全データの合計を データ数で割った値で、極端な値の影響を受けやすいのに対し、中央値はデータを小さい順に並べた際の中央の値で、極端な値の影響を受けにくいという特徴があります。そのため、貯蓄額のような金額データを分析する際には、平均値よりも中央値の方が実際の貯蓄額に近い値を示していると理解しておきましょう。

参考:家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)|総務省統計局

年代別の平均貯蓄額

年代別による共働き世帯のみの貯金額・貯蓄額に関する公的なデータはありませんが、金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯(令和5年)」によると、共働き以外も含む、2人以上の世帯が保有する20代から70代の世代別平均貯蓄額は以下の通りです。

世帯主の年齢預貯金(平均値)
20代170万円
30代408万円
40代501万円
50代663万円
60代1,130万円
70代964万円

年代別の平均貯蓄額のデータを見ると、世帯主の年齢が上がるにつれて、平均貯蓄額が増加していることがわかります。

60代の平均貯蓄額が最も高く、1,130万円となっているのは注目すべき点です。これは、60代までに長年働いて貯蓄を積み重ねてきた結果だと考えられます。また、子育てが一段落し、教育費などの大きな支出が減ることも、貯蓄額が増える要因の一つと言えるでしょう。

一方、70代になると、平均貯蓄額は964万円とやや減少しています。退職により収入が減ることや、老後の生活費を貯蓄から捻出することによる貯蓄額の減少が理由と考えられます。

また、20代と30代の平均貯蓄額の差が大きいことも注目すべき点です。30代の平均貯蓄額は408万円で、20代の170万円の約2.4倍となっています。この時期は、収入が安定し始め、貯蓄に回せるお金が増える時期です。

以上のデータから、共働き世帯の平均貯蓄額は年齢とともに増加傾向にあり、特に30代から60代にかけて大きく増加することがわかります。

ただし、これはあくまで平均値であり、個々の世帯の状況によって貯蓄額は大きく異なります。平均値に惑わされず、収入や支出そしてライフスタイルなどを考慮し、自分の世帯に合った貯蓄計画を立てることが大切です。

参考:「家計の金融行動に関する世論調査(金融資産保有世帯)二人以上世帯|金融広報中央委員会

貯蓄の目安

一般的に、貯蓄額の目安は可処分所得(税金や社会保険料などを除いた所得)の20%が目安とされています。例えば、夫婦共働きで毎月の手取り収入が60万円であるなら、毎月12万円を貯蓄に回すのが理想です。

共働きで資産を増やすポイント

貯蓄を優先する

貯蓄を優先するとは、収入があったらまず貯蓄を行い、そのうえで残ったお金で生活費を賄うという方法です。これは「収入 – 貯蓄 = 生活費」という公式とも言えます。この方法を採用することで、無理なくコツコツと貯蓄を積み上げることが可能になります。
では、具体的にどのように貯蓄を優先すればいいのでしょうか?以下の4つのステップを参考にしてみてください。

目標設定

まずは、貯蓄の目標を明確にします。住宅購入や子どもの教育費、老後の生活資金など、具体的な目標を立てましょう。

自動振替の利用

給料が入ったら、まず決めた金額を貯蓄口座に自動的に振り込むように設定します。これで、貯蓄を優先する習慣がつきます。

予算管理

残った収入で、生活費をやりくりします。この際、無駄な支出はないか、見直すきっかけにもなります。

定期的な見直し

収入や生活状況が変わったら、貯蓄の目標額や生活費の予算を調整します。状況に合わせて、柔軟に対応することが大切です。

このように、貯蓄を優先することで、着実に資産を増やるので、金銭的な安定や生活の余裕にもつながります。

定期的に保険を見直す

共働き世帯が資産を増やすためには、保険の見直しも重要なポイントです。保険は、万が一の時に生活を守ってくれる頼もしい存在ですが、保険料が高すぎると、貯蓄や投資に回すお金が減ってしまいます。

そこで、定期的に保険の内容をチェックし、必要な保障を維持しつつ、不要な保障を外すなど保険料を適正な水準に保つことが大切です。では、具体的にどのように保険を見直せばいいのでしょうか?

保険を見直すための具体的なステップは以下の通りです。

現状の保険内容を確認する

まずは、現在加入している保険の内容を詳しく確認します。保障内容、保険料、保険期間など、保険の詳細を理解することが第一歩です。

ライフステージの変化を考慮する

結婚、出産、子どもの成長、退職など、ライフステージの変化に伴って保険の必要性も変わります。現在のライフステージに合った保険内容になっているかを見直すことが重要です。

保険商品を比較する

同じような保障内容でも、保険会社や保険商品によって保険料は大きく変わることがあります。複数の保険商品を比較し、最もコストパフォーマンスが高い商品を選ぶことがおすすめです。

専門家の意見を求める

保険の見直しは専門的な知識を必要とするため、保険の専門家やファイナンシャルプランナーの意見を求めることも有効です。

以上のように、定期的に加入している保険を見直すことで、必要な保障を確保しつつ、適切な保険料を支払うが可能になります。これにより、無駄な保険料を削減し、その分を貯蓄や投資に回すことで、資産を増やすことができるでしょう。

節税対策をする

節税対策とは、法律が許す範囲内で税金の負担を軽減するための戦略のことを指します。これには、所得控除税額控除、税率の適用など、さまざまな方法があります。以下に、共働き世帯が行うことができる節税対策をいくつか示します。

所得控除を活用する

所得税法では、一定の条件を満たす場合に所得から一部を控除することができます。例えば、配偶者控除扶養控除などがあります。これらの控除を活用することで、課税所得を減らし、税金の負担を軽減することが可能です。

確定申告を行う

一部の所得控除や税額控除は、確定申告を行うことで初めて適用されます。例えば、医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税)のほか、住宅ローン控除などがあります。これらの控除を活用するためには、原則として確定申告を行うことが必要ですが、一定の要件を満たす給与所得者はふるさと納税についてはワンストップ特例を、住宅ローン控除については年末調整で行えます。

iDeCoやNISAを活用する

iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は、投資による所得に対する税金を軽減する制度です。これらの制度を活用することで、長期的な資産形成を行いつつ、税金の負担を軽減することが可能です。

以上のように、節税対策を行うことで、税金の負担を軽減し、その分を貯蓄や投資に回すことで、資産を増やすことができます。

投資を活用する

投資とは、現在の所得から発生する余剰資金の一部を使って将来的な収入を得るための活動のことを指します。具体的には、株式投資、債券投資、不動産投資、投資信託などがあります。

共働き世帯が資産を増やすためには、貯蓄だけでなく、投資も有効な手段です。投資と聞くと、リスクが高そうで敷居が高く感じるかもしれませんが、適切な方法で行えば、資産を着実に増やすことができます。

そのためには、まずは自分たちのリスク許容度を把握することが重要です。投資には元本が保証されないリスクがあります。そのため、リスクに対する考え方や、投資に回せる資金の額について、夫婦でよく話し合いましょう。

投資先としては、株式、債券、投資信託、不動産など、さまざまな選択肢があります。自分たちの目的や知識、経験に合ったものを選びましょう。初心者の場合は、少額から始められる投資信託がおすすめです。

投資を始める際は、専門家のアドバイスを求めることも有効です。金融機関や投資アドバイザーに相談し、自分たちに合った投資方法を見つけましょう。


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