• 作成日 : 2024年5月31日

年収1,000万円の手取り額は?生活レベルはどれくらい?

年収1,000万円の人の手取り額は、所得税、住民税社会保険料などを差し引いて、年間で約716万円、月額では60万円程度になると考えられています。また、所得層は全体の約4.5%と言われています。年収1,000万円の手取り額を計算するには、年収から差し引かれる主な項目を知る必要があります。

この記事では、年収1,000万円の人の手取り額の計算方法や税額、その人々の割合やかかる生活費、年収1,000万円から収入を上げる方法について解説します。

年収1,000万円の人の手取り額

手取り額とは、年収から税金や社会保険料などを差し引いた後の金額を指します。一般的に、手取りは年収の75〜85%ほどと言われていますが、年収1,000万円の実際の手取り額はどのくらいになるのでしょうか。年収1,000万円の手取り額を理解するには、まず年収から差し引かれる税金や社会保険料などの主な項目を知る必要があります。これには以下のようなものが含まれます。

  • 所得税: 所得税は国税で、年収に応じた税率が適用されます。年収1,000万円の場合、課税所得にかかる最高税率は約20%です。しかし、日本では超過累進税率が適用されているため、課税所得全体に20%を掛けるわけではありません。
  • 住民税: 住民税は都道府県税と市区町村税の合計で、所得と住んでいる地域によって決まります。前年の所得に基づき計算され、課税所得に対して税率10%をかけて計算します。
  • 社会保険料: 社会保険料には、健康保険、介護保険(40歳以上のみ)と厚生年金が含まれます。一般的には給与の約15%が社会保険料として天引きされます。

額面年収から控除される主なものは、所得税、住民税、社会保険料などです。額面年収からこれらの税金や保険料が差し引かれた後の金額が、実際に手元に残る「手取り額」となります。これを考慮に入れると、年収1,000万円の人の手取り額は、約716万円となります。おおよそ月額60万円程度になると考えられます。

ただし、上記の手取り額はあくまで一例であり、個々の状況により変動します。例えば、扶養家族の有無、住宅ローンの利子控除、生命保険料控除などが手取り額に影響を及ぼします。

年収1,000万円の人の税額

年収1,000万円の人が支払う主な税金は、所得税、住民税、そして社会保険料の3つです。これらの税金は、年収によって異なります。ここでは、それぞれの税金の算出方法と具体的な金額について説明します。

所得税

所得税は、個人の所得に対して課せられる税金で、税額は年間の総収入額から給与所得控除などを除いた所得金額からさらに所得控除を差し引いた「課税所得」に、課税所得の金額に応じた税率をかけて計算します。

年収1,000万円の場合、課税所得にかかる最高税率は20%となりますが、超過累進課税の調整をするため、427,500円を控除します。したがって、所得税額は以下のように計算されます(復興特別所得税は無視します)。

所得税額={(総収入額−給与所得控除−所得控除)×税率}−控除額

 

・総収入額:1,000万円
・給与所得控除:195万円
・所得控除:141万円+48万円=189万円(社会保険料控除および基礎控除のみとします)
・税率:20%
・控除額:427,500円

これらの値を上記の公式に代入すると、所得税額は以下のように計算できます。

所得税額={(1,000万円−195万円−189万円)×20%}−427,500円=80.45万円

住民税

住民税は、1月1日時点で登録された住所のある都道府県や市町村に対して支払う税金です。都道府県民税と市町村民税の2つがあり、前年の所得を基に計算されます。

住民税の計算方法は、額面年収から給与所得控除所得税、各種所得控除社会保険料などを差し引いた、課税所得に対して10%の税率をかけて計算されます。

一般的に、年収1,000万円の場合、住民税は約62万円程度になると言われています。

社会保険料

社会保険料には健康保険、介護保険(40歳以上のみ)、厚生年金が含まれます。年収1,000万円の場合、社会保険料は約141.4万円程度になると言われています。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、給与から天引きされ、その額は給与額(標準報酬月額)によります。厚生年金保険料の保険料率は18.3%です。ただし、厚生年金保険料は従業員と勤務先がそれぞれ半分ずつ負担します。

年収1,000万円の場合、実際に従業員が支払う厚生年金保険料は以下のように計算されます。

厚生年金保険料=年収×厚生年金保険料の保険料率÷2

 

1,000万円×18.3%÷2=91.5万円

健康保険料、介護保険料(40歳以上のみ)

健康保険料は、給与から天引きされ、その額は給与額(標準報酬月額)によります。健康保険料の保険料率は9.98%(東京都。40歳未満を想定)です。ただし、健康保険料も従業員と勤務先がそれぞれ半分ずつ負担します。

年収1,000万円の場合、実際に労働者が支払う健康保険料は以下のように計算されます。

健康保険料=年収×健康保険料の保険料率÷2

 

1,000万円×9.98%÷2=49.9万円

したがって、年収1,000万円の人が支払う社会保険料の合計は、厚生年金保険料と健康保険料を合計した額、つまり約141.4万円となります。

上記に基づき、年収1,000万円の人が支払う税金の総額は、所得税80.45万円、住民税62万円、社会保険料141.4万円の合計で、約283.85万円となります。

ただし、これらの計算は一般的な計算方法に基づいており、具体的な税額は個々の状況(扶養家族の有無など)や地方自治体による条例により異なる場合があります。

年収1,000万円の人の割合

年収1,000万円超えの人々が日本全体のどの程度を占めているのか、具体的な割合を見てみましょう。

国税庁の「令和4年分の民間給与実態統計調査」によると、年収が1,000万円超えの人は約275万1千人で、全体の5.4%を占めています。この範囲に該当する人々は、全体の約19人に1人に相当します。

年収1,000万円以上を稼いでいるのは主に男性で、女性の割合はわずか1.5%です。

年収1,000万円の人の生活費

一人暮らしの場合

項目金額(月額)
住居費(家賃)90,000円
光熱費10,000円
通信費10,000円
食費50,000円
その他の生活費80,000円
合計240,000円

住居費(家賃)

一人暮らしの場合、家賃は大きな出費となります。都市部では家賃が高くなる傾向にあります。例えば、東京23区内の一人暮らし向けのアパートの平均家賃は約80,000円と言われています。しかし、郊外や地方都市では、この金額は下がることが多いです。

光熱費

電気、ガス、水道などの光熱費は、季節や生活スタイルにより変動します。エアコンや暖房を多用すると電気代が上がりますし、シャワーの使用時間や料理の頻度によってもガス代や水道代は変わります。一人暮らしの場合、月額10,000円程度が目安となります。

通信費

通信費には、インターネット料金や携帯電話料金が含まれます。インターネットプロバイダーや携帯電話会社のプランにより、料金は大きく異なります。無制限のデータプランや高速インターネット接続を選ぶと、通信費は上がります。一人暮らしの場合、月額10,000円程度が見込まれます。

食費

食事にかかる費用は、自炊と外食のバランスにより大きく変動します。自炊を主にすると食費は抑えられますが、外食が多いと食費は増えます。また、食材の選び方やスーパーマーケットの選び方によっても食費は変わります。一人暮らしの場合、月額50,000円程度が一般的です。

その他の生活費

その他の生活費には、衣服費、交通費、医療費、娯楽費などが含まれます。これらの費用は、個々のライフスタイルや趣味、仕事の状況により大きく変動します。一般的には月額80,000円程度が見込まれます。

これらを合計すると、一人暮らしの場合の生活費は、月24万円程度になると考えられます。

夫婦世帯の場合

年収1,000万円を稼ぐ夫婦の家庭では、どのくらいの生活費が必要になるのかをみてみましょう。主な生活費の項目とその大まかな目安を紹介します。

項目金額(月額)
住居費(家賃)140,000円
光熱費26,000円
通信費19,000円
食費90,000円
その他の生活費90,000円
合計365,000円

住居費(家賃)

一人暮らしよりも広い住居を必要とするため、家賃は一般的に高くなります。また、ペットを飼っている場合などは、さらに広い住居を必要とすることが多いです。これらの要素を考慮すると、夫婦世帯の場合の家賃は、一般的には月140,000円程度となります。都市部では家賃が高くなる傾向があります。

光熱費

光熱費は、電気、ガス、水道などを含みます。特に、電気代やガス代は、使用量に応じて増減します。また、洗濯の回数が増えると、水道代も増えることがあります。これらの費用は季節や生活スタイルにより変動しますが、夫婦世帯の場合、月額26,000円程度が目安となります。

通信費

通信費には、インターネット料金や携帯電話料金が含まれます。夫婦二人分の携帯電話料金や、家庭内でのインターネットの利用状況により、通信費は変動します。特に、ビデオ通話や動画視聴などのデータ通信量が多い場合、通信費は増えることがあります。これらの費用はプランによりますが、一般的には月額19,000円程度が見込まれます。

食費

夫婦世帯の場合、食費は増えますが、一緒に食事をすることで、食材のまとめ買いが可能になり、一人当たりの食費を抑えることができます。外食が多いと食費は増えますが、自炊を心掛けると抑えることができます。夫婦世帯の場合、月額90,000円程度が平均的な食費とされています。

その他の生活費

その他の生活費には、衣服費、交通費、医療費、娯楽費などが含まれます。ペットがいる場合や趣味が高額な場合などは、その他の生活費が大きくなることがあります。これらの費用はライフスタイルによりますが、一般的には月額90,000円程度となります。

これらを合計すると、年収1,000万円の夫婦世帯の場合、月額の生活費は約365,000円となります。

年収1,000万円の夫婦世帯では、手取り60万円として、月々80,000円の貯金ができれば理想的といえます。そのためには、月々の生活費を52万円に抑えることが必要となってきます。

子連れ(3人家族)の場合

年収1,000万円の子連れ(3人家族)の場合、生活費はどのくらいになるのでしょうか。主な生活費の項目とその目安について見ていきましょう。

項目金額(月額)
住居費(家賃)150,000円
光熱費26,000円
通信費19,000円
食費110,000円
教育費80,000円
その他の生活費100,000円
合計485,000円

住居費(家賃)

子連れの家庭では、より広い住居を必要とするため、家賃は一般的に高くなります。都市部では家賃が高くなる傾向にあります。例えば、東京23区内のファミリー向けのアパートの平均家賃は約12万円と言われています。しかし、郊外や地方都市では、この金額は下がることが多いです。また、子供の成長に伴い、さらに広い住居を必要とすることもあります。年収1,000万円の場合、家賃は月額150,000円程度が適切とされています。

光熱費

光熱費は、電気、ガス、水道などを含みます。これらの費用は季節や生活スタイルにより変動しますが、3人家族の場合、月額26,000円程度が目安となります。

通信費

通信費には、インターネット料金や携帯電話料金が含まれます。家庭内でのインターネットの利用状況や、家族全員の携帯電話料金により、通信費は変動します。特に、ビデオ通話や動画視聴などのデータ通信量が多い場合、通信費は増えることがあります。これらの費用はプランによりますが、一般的には月額19,000円程度が見込まれます。

食費

食事にかかる費用は、自炊と外食のバランスにより大きく変動します。自炊を主にすると食費は抑えられますが、外食が多いと食費は増えます。また、食材の選び方やスーパーマーケットの選び方によっても食費は変わります。子連れの家庭では、子供の食事も考慮に入れる必要があります。子供の成長に伴い、食事の量も増え、それに伴い食費も増えます。3人家族の場合、月額110,000円程度が平均的な食費とされています。

教育費

子供の教育費は、子供の年齢や学校、習い事などにより大きく変動します。幼稚園や保育園、小学校、中学校、高校と進むにつれて、教育費は増えていきます。また、習い事や塾などの教育関連の費用も含まれます。子供の年齢や教育環境によりますが、一般的には月額80,000円程度が見込まれます。

その他の生活費

その他の生活費には、衣服費、交通費、医療費、娯楽費などが含まれます。これらの費用は、個々のライフスタイルや趣味、仕事の状況により大きく変動します。特に、子供の成長に伴い、衣服費や趣味に関連する費用が増えることがあります。これらの要素を考慮すると、月額100,000円程度が見込まれます。

以上のように、年収1000万円の子連れ(3人家族)の場合、月額の生活費は約485,000円となります。これらの費用を考慮に入れ、予算管理を行うことで、安定した生活を送ることが可能です。

年収1,000万円を狙える業種とは

年収1,000万円を実現するには、業種選びが非常に重要です。どの業界で働くかによって、収入の上限が大きく変わってくるからです。ここでは、日本において年収1,000万円を目指せる可能性が高い業種をいくつか紹介し、その理由や背景について解説します。

IT・テクノロジー業界

  • 高い需要: IT・テクノロジー業界は、デジタル化の進展に伴い、常に高い人材需要があります。特にプログラマー、システムエンジニア、データサイエンティストなどの専門職は高収入が期待できます。
  • 技術の進化: 新しい技術(AI、ブロックチェーンなど)の開発・応用が活発で、これらの分野での専門知識を持つ人材は特に高く評価されます。

医療・医薬業界

  • 専門性と責任の重さ: 医師や薬剤師などの医療関連職種は、専門的な知識と高い責任が求められるため、高収入が得られる傾向にあります。
  • 安定した需要: 人々の健康に直結する業界であるため、経済情勢に左右されにくく、安定した収入が見込めます。

金融・コンサルティング業界

  • 高収益を生む業務: 投資銀行、証券会社、コンサルティングファームなどは、大きな取引を扱い、その成功報酬や手数料収入が高額になることが多いです。
  • 専門性の高さ: 金融分析や戦略立案などの高度な専門性を要する職種が多く、それに見合った高い報酬が期待できます。

起業・経営

  • リスクとリターン: 自分でビジネスを起こすか、またはスタートアップに参加することで、大きなリターンを得るチャンスがあります。成功すれば、年収1,000万円を大きく上回る可能性もあります。
  • 創造性と独立性: 独自のビジネスモデルやイノベーションにより、市場に新たな価値を提供し、それに見合った収益を得ることが可能です。

これらの業種は、特に高い年収を目指せる分野として知られていますが、重要なのは業種だけではなく、その中でどのように自己のスキルとキャリアを磨き、価値を提供できるかです。また、高収入を得るためには、業界の最新動向を常に追い、学び続ける姿勢が不可欠です。各業界で求められるスキルや知識を身につけ、自身の市場価値を高めることが、年収1,000万円を目指すうえで重要な鍵となるでしょう。

年収1,000万円を目指す方法

年収1,000万円を目指すというのは、多くの人にとって非常に魅力的な目標です。しかし、この目標を達成するには、具体的な方法と計画が必要です。以下に、年収1,000万円を目指すためのいくつかの方法を詳細に解説します。

スキルアップ

  • 専門性の高いスキルを習得する: 特定の分野で高度な専門知識やスキルを身につけることで、市場価値を高めることができます。例えば、IT、金融、医療などの業界では専門性の高い知識が求められます。
  • 資格の取得: 特定の業界で価値の高い資格を取得することで、収入アップを目指すことができます。資格は、専門知識の証明として、キャリアアップに役立ちます。

キャリアプランの見直し

  • 業界や職種の変更を検討する: 年収1,000万円を超える職種や業界に転職することを考えましょう。業界によって平均年収に大きな違いがあります。
  • ポジションアップを目指す: 現在の職場内で昇進を目指すか、より高い役職が期待できる他の企業への転職を検討しましょう。

副業の活用

  • スキルを活かした副業: 本業以外でスキルを活かせる仕事を始めることで、追加収入を得ることが可能です。例えば、フリーランスのプログラマー、デザイナー、コンサルタントなど。
  • 投資: 株式投資や不動産投資など、資産を増やすための投資活動も収入源の一つとなり得ます。ただし、リスク管理が重要です。

ネットワーキング

人脈の構築: 業界内でのコネクションを広げることで、新たなチャンスが生まれることがあります。業界イベントへの参加やオンラインでのネットワーキングを積極的に行いましょう。

継続的な学習

常に学び続ける姿勢: 業界のトレンドや新しい技術に常にアンテナを張り、学習を続けることが重要です。これにより、時代遅れになることを防ぎ、市場価値を保つことができます。

年収1,000万円を目指す過程では、具体的な目標設定と計画的なアクションが不可欠です。自身のスキルとキャリアを冷静に分析し、目標達成のための戦略を練ることが重要です。年収1,000万円という目標に到達するには時間がかかるかもしれませんが、着実な努力を重ねることで、その夢を現実に変えることができるでしょう。


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