- 更新日 : 2024年3月18日
特定空き家とは?指定条件や認定されないための対策
特定空き家とは、その家屋が周囲の安全、衛生、景観を著しく害する恐れがある場合に自治体から認定される家屋のことを指します。指定される家屋は、住宅だけではなく、店舗や事務所などの商業施設も対象となります。これは、増加する空き家問題に対処するために2015年に施行された「空き家対策の推進に関する特別措置法」に基づき行われます。
目次
特定空き家とは
特定空き家とは、「建築物が著しく老朽化しており、倒壊の危険がある」「不衛生な状態が周囲に悪影響を及ぼしている」「無断で侵入されたり、犯罪の温床となる恐れがある」場合などに、自治体から認定される家屋のことを指します。
特定空き家の指定は、2015年に施行された「空き家対策の推進に関する特別措置法」に基づき行われます。この法律は、増加する空き家問題に対処するために制定されました。空き家が増える理由には、高齢化に伴う世帯主の死亡や遺産相続、都市部への人口集中などがあります。
また、特定空き家に指定される家屋は、住宅だけではありません。例えば、店舗や事務所などの商業施設も、放置されている期間が長く、上記のような状態にある場合は特定空き家として指定されることがあります。
特定空き家の指定条件
特定空き家が指定される条件は、その家屋が周囲の安全、衛生、景観を著しく害する恐れがある場合に該当します。
安全性のリスク
特定空き家に指定される主な理由の一つが、安全に対する懸念です。老朽化が進み、建物が倒壊の危険性をはらんでいる場合や、火災の危険が高いと判断される場合にこの条件が適用されます。国土交通省の指針によれば、これらの家屋は、緊急の安全対策が必要とされることが多いです。
衛生上の問題
衛生面での問題も、特定空き家の指定条件として重要です。不衛生な状態が続き、害虫の発生源になっている場合や、悪臭が周囲に迷惑をかけているケースがこれに該当します。これらの状態は、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼし、公衆衛生の観点からも問題視されます。
環境・景観への影響
環境や景観への悪影響も、特定空き家を指定する重要な理由です。放置された庭や外壁の劣化が著しく、周囲の景観を損なう場合、自治体はこれを特定空き家として認定することがあります。これは、地域の価値を維持し、良好な景観を保つために必要な措置とされています。
特定空き家と空き家の違い
「特定空き家」と「空き家」は、しばしば混同されがちな用語ですが、その定義や法律における扱いには重要な違いがあります。
空き家とは、現在誰も居住していない家屋のことを指します。一方、「特定空き家」は、単に使用されていないというだけではなく、特定の基準に基づいて自治体により「特定空き家」と認定された家屋を指します。
特定空き家に指定された場合の固定資産税
特定空き家に指定された場合、一般的に固定資産税の軽減措置が敵うようされなくなり、税額が増額されます。具体的な数字については、自治体によって異なりますが、例として、ある自治体では特定空き家に指定された不動産に対して固定資産税が通常の1.5倍から約4倍に設定される場合があります。この税率の増加は、特定空き家の状態が改善されるまで適用されることが一般的です。
特定空き家指定後のフロー
自治体によって細かな違いはありますが、一般的には以下のステップになります。
1.特定空き家の通知
最初に、自治体から物件の所有者に対して、その物件が「特定空き家」に指定されたことを通知します。この通知には、指定の理由となった具体的な問題点が記載されています。
2.助言や指導が行われる
通知を受けた所有者には、指定理由となった問題を是正するための措置を講じるための助言や指導が行われます。これには、建物の補修、清掃、不法投棄物の撤去などが含まれることがあります。自治体によっては、是正措置を行うための期限が設けられています。
3.勧告が行われる
助言や指導に従わなかった場合や、助言や指導よりも強い行政指導である勧告が行われることになります。勧告がされると、固定資産税等の住宅用地特例の適用が除外されます。
4.命令
勧告を受けた者が、正当な理由なく勧告された措置をとらなかった場合、特に必要があると認めるときは、相当の猶予期限を付けて、その勧告にかかる措置を講じるよう命令できます。
5.行政代執行
指示に従わない場合、行政代執行が実施される可能性があります。この際、強制的に建物が解体されるなどの措置が講じられ、かかった費用は所有者に対して請求されるため注意が必要です。
上記の通り、勧告が行われると固定資産税等の住宅用地特例の適用が除外されるという損失が生じますので、助言・指導の段階で問題点を解消しましょう。解消されたと認められた段階で特定空き家の指定は解除されます。
特定空き家認定されないための対策
特定空き家の認定は、その家屋が周囲に悪影響を及ぼす可能性があると判断された場合にのみ行われるため、事前に問題を解決しておくことが重要です。
1.定期的なメンテナンスと修繕
空き家が老朽化し、安全性に問題が生じることを防ぐためには、定期的な建物の点検と必要に応じた修繕が必要です。屋根や壁の補修、雨漏りの防止、基礎の強化など、建物の状態を維持するための措置を講じます。
2.清潔な状態の維持
不衛生な状態は特定空き家の指定理由の一つです。定期的に清掃を行い、害虫の発生を防ぐために適切な対策をとります。
3.不法侵入の防止
空き家が不法侵入や犯罪の温床となるのを防ぐため、適切なセキュリティ対策を実施します。鍵の取り替え、窓や扉の補強、防犯カメラの設置などが有効です。
4.景観への配慮
周囲の景観を損ねないように、外壁の塗装や庭の手入れを定期的に行います。見た目が悪いと近隣住民からの苦情の原因にもなり得るため、定期的な外観のメンテナンスが重要です。
5.地域とのコミュニケーション
近隣住民や地域の自治体と良好な関係を築くことも重要です。空き家の状況を説明し、問題が発生した際には迅速に対応する姿勢を見せることで、理解と協力を得やすくなります。
特定空き家認定の解除
特定空き家の認定解除は、所有者が認定理由(例: 老朽化、不衛生、景観損害)を改善し、自治体がこれを確認した上で行われます。
手続きの流れは以下のように進みます
是正措置の実施
所有者は自治体から指摘された問題点を改善するための措置を実施します。建物の修繕、環境の清掃、安全対策の強化などが含まれます。
是正措置完了の報告
改善措置が完了したら、その詳細を報告自治体に報告します。
現地確認
報告を受けた後、自治体は現地確認を行い、報告された是正措置が適切に行われたかをチェックします。
認定解除の決定
現地確認の結果、問題が適切に解決されていると判断された場合、特定空き家の認定を解除します。解除の通知が所有者に発送されます。
手続きの期間は、是正措置の内容や自治体の審査スケジュールによって大きく異なります。一般的に、是正措置の計画から実施、報告書の提出まで数週間から数ヶ月かかる場合があります。
「特定空き家」とは空き家問題の解決に向けた制度
空き家が増加する現代日本において、「特定空き家」という言葉を耳にする機会が増えています。「特定空き家」とは放置された空き家の問題に対処するために設けられた制度です。また、一度認定されても、是正措置を講じることでその認定を解除することができます。本記事を通じて、空き家問題の解決に向けた理解を深められれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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