暗号資産のステーキングとは?仕組みやおすすめの取引所の解説
暗号資産を利用して報酬を得る方法にステーキングがあります。ステーキングではどのような仕組みで報酬を得られるのか、ステーキングの特徴やメリット・デメリット、ステーキングにおすすめの国内取引所を紹介します。
目次
暗号資産のステーキングとは
ステーキングとは、PoS(プルーフオブステーク)といわれる合意形成アルゴリズムを利用した暗号資産を保有することで対価を得られる仕組みです。
多くの暗号資産には中央機関が存在しません。中央機関に代わってブロックチェーン(ブロック状になったデータを鎖のようにつなぐ技術)が用いられます。ブロックチェーンにデータを書き込むことにより協同でブロックを維持するルールが合意形成アルゴリズムです。
合意形成アルゴリズムには、ビットコインに代表されるマイニングを利用したPoW(プルーフオブワーク)、保有残高を利用したPoS、合議制によるPBFT(プラクティカル・ビザンチン・フォールト・トレランス)があります。
このうち、ステーキングができるのはPoSを採用した暗号資産です。PoSは保有残高によりブロックチェーンに書き込みするルールで、ブロックチェーンの維持貢献の対価として、暗号資産の保有者に保有残高や保有期間に応じて報酬が支払われます。
ステーキングのメリット
ステーキングの主なメリットには、次の3つがあります。
- 保有が条件のため始めやすい
- 分別管理の対象になる
- ブロックチェーンに貢献できる
それぞれのメリットの詳細を解説します。
「保有」が条件となっているので始めやすい
ステーキングは、ステーキング可能な暗号資産の保有が条件であるため、始めやすいことがメリットです。
ビットコインに代表されるPoWでは、マイニングによって報酬を得られます。マイニングは、マイナー(=マイニングをする人)としてコンピューター演算作業に参加して報酬を得る仕組みです。マイニングのためには、高度な処理を実現できる演算機器や環境を要します。
一方、ステーキングはマイニングのような環境の準備を必要としません。保有する暗号資産を預けるだけで、銀行の利息のように定期的に報酬が得られます。
分別管理の対象になる
ステーキングを提供する多くのプラットフォームでは、ステーキングされた暗号資産は分別管理されることが一般的です。これは、ユーザーの資産が取引所の運用資産とは別に保管されることを意味します。ただし、この管理方法はプラットフォームによって異なり、すべてのステーキングサービスで同様に適用されるわけではありません。そのため、ステーキングを行う前に、各プラットフォームの資産管理方法について確認することが重要です。
ステーキングのように暗号資産を保有する仕組みとして、レンディングがあります。レンディングは保有する暗号資産を貸し出すことで報酬を得る仕組みです。レンディングは分別管理の対象外となるため、取引所が破綻した場合に貸し出した暗号資産が返ってこないリスクがあります。
ステーキングが分別管理されている場合、レンディングのようなリスクは生じません。
ブロックチェーンに貢献できる
ステーキングによって、ブロックチェーンネットワークに参加できるようになります。参加することで、ブロックチェーンに対する攻撃耐性などの向上に役立つことから、結果としてネットワーク全体の安全性や効率性に貢献できるのもメリットです。
ステーキングのデメリット
ステーキングの主なデメリットは、以下の通りです。
- ロックアップが存在する
- 報酬が下がる可能性がある
- 価格下落中に売買ができない
ロックアップが存在する
ステーキングには、暗号資産が一定期間拘束される「ロックアップ」期間が設けられている場合があります。この期間中は、暗号資産を売買することができないため、市場の急激な変動に柔軟に対応できない場合があります。しかし、すべてのステーキングサービスにロックアップ期間があるわけではなく、一部のサービスではより短期間の拘束、または完全な柔軟性を提供する場合もあります。ステーキングを行う前に、各プラットフォームのロックアップ条件を確認することが重要です。
ロックアップされる期間は、取引所が提供するプランや対象の暗号資産によってさまざまです。1カ月に満たないこともあれば数カ月ロックされることもあります。
報酬が下がる可能性がある
ステーキングの報酬は固定されていません。報酬は変動することから、期待した報酬を得られないこともあります。また、ステーキングのアルゴリズムによっては、ステーキング中も報酬が発生しない期間が生じる可能性もあります。報酬が一定でないため、将来的な予測がしづらく、期待する報酬よりも下がる可能性があるのがデメリットです。
価格下落中に売買ができない
暗号資産は、需給バランスや規制強化などのさまざまな影響を受けて価格が変動するリスクのある資産です。さらに、暗号資産は円やドルのような法定通貨などと比べてボラティリティも大きいといわれています。
ボラティリティとは、価格変動率を示す指標のことです。ボラティリティが大きいほど価格変動は激しくなり、価格が大きく上昇することもあれば、大きく下落することもある資産と評価できます。
ステーキング中は、ロックアップにより資産が拘束されるため、暗号資産を自由に売買できません。暗号資産の価格が下落していても売却できないことから、売買のタイミングを逃し損失を被る可能性があります。
ステーキングできる暗号資産
ステーキングできる暗号資産の一覧は、以下の通りです。ただし、取引所によって扱われている暗号資産は異なります。国内取引所は、海外取引所よりもステーキング可能な暗号資産として扱われる種類が少ない傾向です。
ステーキングできる暗号資産一覧 |
---|
|
ステーキングにおすすめの国内取引所
ステーキングができるおすすめの国内取引所を3つ紹介します。
GMOコイン
GMOコインは、暗号資産について、販売所や取引所をはじめ、暗号資産FX、つみたて暗号資産、貸暗号資産、ステーキング、IEO、暗号資産APIといった多様なサービスを提供しています。
運営会社 | GMOコイン株式会社 |
---|---|
取扱通貨数 | 26(※2023年12月22日時点) |
レバレッジ | 暗号資産FXで2倍の取引が可能 |
販売所手数料 | 無料(取引所の取引手数料は0.01~0.09%。レバレッジ取引ではロスカット手数料やレバレッジ手数料が発生) |
入金手数料 | 即時入金無料、振込入金は利用している金融機関の振込手数料による |
出金手数料 | 無料(日本円の大口出金は400円) |
最低取引数量 | 取引通貨による(ビットコインは0.00001BTC、イーサリアムは0.0001EHT) |
公式サイトURL | https://coin.z.com/jp/ |
GMOコインでステーキングできるのは、以下8銘柄(※2023年12月22日時点)です。GMOコインでは、平均保有数に応じてステーキング報酬の送料を按分し、毎月10日にまとめて報酬が分配されます。受け取りのための手続きは必要なく、口座に自動的に支払われるのが特徴です。
ステーキング可能銘柄 | 報酬年率 |
---|---|
ポルカドット(DOT) | 5.3~7.8% |
コスモス(ATOM) | 6.5~7.2% |
ソラナ(SOL) | 4.1~5.4% |
シンボル(XYM) | 3.2~4.5% |
テゾス(XTZ) | 2.1~4.3% |
クアンタム(QTUM) | 1.3~4.2% |
アスター(ASTR) | 3.0~3.4% |
カルダノ(ADA) | 1.5~3.0% |
CoinTrade
CoinTradeは、CoinTrade Stakeといってステーキングに特化したサービスを提供する取引所です。アプリからの申し込みですぐにステーキングを開始できます。セキュリティの高さもCoinTradeの特徴です。プライム市場上場セレスグループの提供するセキュリティと、マルチシグによる秘密鍵の分散管理、オフライン管理のコールドウォレットで資産を守ります。
運営会社 | 株式会社マーキュリー |
---|---|
取扱通貨数 | 14(※2023年12月22日時点) |
レバレッジ | 非対応 |
販売所手数料 | 無料 |
入金手数料 | 無料(利用している金融機関の振込手数料による) |
出金手数料 | 550円(日本円の場合) |
最低取引数量 | 取引通貨による(ビットコインは0.0001 BTC、イーサリアムは0.001 ETH) |
公式サイトURL | https://coin-trade.cc/ |
CoinTradeでは、以下10銘柄(※2023年12月28日時点)のステーキングができます。CoinTradeの特徴は月3回にわたり報酬を受け取れることです。ステーキングを申し込むと、月3回定期的に報酬が自動で支払われます。
ステーキング可能銘柄 | 報酬年率 |
---|---|
アバランチ(AVAX) | 最大5% |
イーサリアム(ETH) | 最大3% |
へデラ・ハッシュグラフ(HBAR) | 最大1% |
ニアプロトコル(NEAR) | 最大6% |
ポリゴン(MATIC) | 最大3.5% |
パレットトークン(PLT) | 最大19% |
ポルカドット(DOT) | 最大13% |
テゾス(XTZ) | 最大4.5% |
アイオーエスティー(IOST) | 最大11% |
カルダノ(ADA) | 最大3% |
OKCoinJapan
OKCoinJapanは、個人向けだけでなく、大口の法人向けのサービスも展開する取引所です。日本円と暗号資産の入出金は24時間365日対応でスピーディーに入出金ができます。Websocket・REST API対応など多機能なAPI環境があるのもOKCOIN JAPANの特徴です。
運営会社 | オーケーコイン・ジャパン株式会社 |
---|---|
取扱通貨数 | 33(※2023年12月28日時点) |
レバレッジ | 非対応 |
販売所手数料 | 無料(取引所手数料は取引量に応じて安くなるボリュームディスカウント方式) |
入金手数料 | 無料(利用している金融機関の振込手数料による) |
出金手数料 | 400~1,320円 |
最低取引数量 | 取引通貨による(ビットコインは0.00000001、イーサリアムは0.00000001) |
公式サイトURL | https://www.okcoin.jp/ |
OKCoinJapanでは、以下6銘柄(※2023年12月22日時点)のステーキングができます。ステーキングのように暗号資産を利用して報酬を得られるサービスとして、期間限定でよりよい報酬が得られる不定期開催のフラッシュディールを提供しているのも特徴です。
ステーキング可能銘柄 | 報酬年率 |
---|---|
トロン(TRX) | 1.88~3.88% |
パレットトークン(PLT) | 8.88~18.88% |
ジリカ(ZIL) | 3.88~10.88% |
アイオーエスティー(IOST) | 1.88~8.88% |
テゾス(XTZ) | 1.88~5.88% |
アスター(ASTR) | 2.88~6.88% |
ステーキングで定期的な報酬を得る
暗号資産にも株式の配当のように定期的に報酬を得られる仕組みがあります。その一つが、ステーキングであり、特定の暗号資産を保有することで得られます。国内取引所でもステーキングができる取引所があるので、暗号資産の活用方法としてステーキングを検討してみるのもよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。