- 更新日 : 2023年5月22日
恐怖指数(VIX)とは?活用方法やVIX投資のメリット・デメリット
投資をする際に、恐怖指数(VIX)という言葉を耳にしたことはありますか?恐怖指数とは、投資家が抱く市場に対する不安や恐怖のバロメーターのことです。恐怖指数について理解を深めておくことで株式相場が下落傾向にあるときも冷静に対応することができます。
この記事では、恐怖指数の特徴と活用方法、恐怖指数を活用した投資のメリットおよびデメリットについて説明します。
目次
恐怖指数とは?特徴を解説
恐怖指数(VIX)とは、Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)のことであり、将来の市場に対する投資家の心理的不安や恐怖の指数のことです。
具体的には、シカゴオプション取引所(CBOE)がS&P500種指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表している株価変動率を表す指標のことを指します。恐怖指数は0~100%の数値で表され、通常は10~20%前後で上下しています。
恐怖指数には、株式市場の将来に対する投資家たちの心理が反映されているといわれています。シカゴオプション取引所が算出および公表している指数であるため、あくまでもアメリカの指数です。ただし、世界の株式市場において、アメリカの時価総額シェアは圧倒的に大きく、日本における株式投資でも無視はできません。
恐怖指数が高いとどうなる?
恐怖指数(VIX)が急上昇した状態、具体的には30%を超えるときは、投資家の不安心理により市場が混乱している状態です。そのため、銘柄の本来の価値よりも株価が大きく下落している可能性があります。その場合、株価は回復することが予想されます。
株価が急落したときに慌てるのではなく、恐怖指数を見て「投資家の不安心理による下落なのか」もしくは「業績不振による下落なのか」を冷静に分析することが大切です。
恐怖指数が下がるとどうなる?
恐怖指数(VIX)が10~20%前後で推移しているときは、市場が安定している状態であるといえます。そのため、恐怖指数が急上昇して30%を超えたあと、10~20%前後に下がってきたときは投資家の不安心理による市場の混乱が落ち着いてきた状態を見ることができます。
恐怖指数はどこで見られる?
恐怖指数(VIX)は、株価チャートのサイトで見ることができます。また、Googleなどのインターネットの検索サイトで「恐怖指数」と入力して検索すれば直接、恐怖指数(VIX指数)のチャートにアクセスすることが可能です。
先ほども説明した通り、恐怖指数(VIX)はアメリカの指数です。日本にも国内株式市場をもとにした「恐怖指数」として、日経平均VIがあります。日経平均VIは、大阪取引所に上場している日経平均先物および日経平均オプションの価格をもとに算出されたものです。アメリカの「恐怖指数」と日本の「恐怖指数」を確認してみると連動している場合もありますので参考にしてみると良いでしょう。
恐怖指数の活用方法
恐怖指数(VIX)の活用方法には「損失回避の予測を立てる」、「恐怖指数に連動した金融商品で利益を上げる」といったものが挙げられます。それぞれの方法についてご紹介します。
損失回避の予測を立てる
恐怖指数(VIX)の動きを見て、損失回避の予測を立てられます。
恐怖指数(VIX)の算出のもとになっている「オプション取引」とは、あらかじめ定められた期日に定められた価格で取引を成立させることができる権利の取引です。オプション取引において、市場参加者の取引価格から逆算されるIV(インプライド・ボラティリティ)が高くなると、オプション価格が高くなる相関関係があります。
先行きの不透明感から、損をしないための保険としてオプションを買っておこうと考える人が多くなれば、オプション価格は高くなります。恐怖指数は「オプション取引」の値動きをもとに算出されているので、オプション価格の上昇に伴い、恐怖指数は上昇します。この恐怖指数が投資家の不安心理を表している理由です。
そのため、恐怖指数の動きに変化が見られたら、投資家の「不安売り」によって株価が急落する前に利益確定しておくのも一つの方法です。
ただし、恐怖指数の上昇は、「株価の変動幅が大きくなる可能性」を示しているに過ぎません。また、恐怖指数が急上昇し、実際に株価が急落したとしても下落し続けるとは限りません。単に先行きの不透明から生じる不安により、一時的な株価急落をしただけであれば徐々に株価は回復してきます。恐怖指数の動きや企業業績を確認して、自身の不安売りによる損失を回避する姿勢も大切です。
恐怖指数に連動した金融商品で利益を上げる
恐怖指数(VIX)のチャートを見ることはできますが、直接投資することはできません。しかし、恐怖指数に連動したETF(上場投資信託)に投資して利益を上げることは可能です。
VIX投資のメリット
恐怖指数(VIX)を活用した投資を行うメリットについて説明します。
株価下落時に利益を上げられる
先述の通り、恐怖指数(VIX)に連動したETFに投資することで利益を上げることが可能であると説明しました。
恐怖指数に連動したETFは、株価の動きと逆相関となります。つまり株価が急落したときは、恐怖指数が急上昇する可能性があります。そのため、株価下落時に利益を上げられる可能性があります。
相場の上限と下限を判断しやすい
恐怖指数(VIX)が30%を超えるような急上昇することはあるものの、通常の10~20%前後の水準に戻りやすいという性質を持っています。つまり、恐怖指数は、ある程度の上限と下限が決まっているといえるため、天井と底を判断しやすいというメリットがあります。
VIX投資のデメリット
恐怖指数(VIX)を活用した投資を行うデメリットについて説明します。
長期投資に適していない
恐怖指数(VIX)を活用した投資のメリットでも説明した通り、恐怖指数は急上昇したあと、もとの水準に戻りやすい特徴があります。また、世界情勢を揺るがすような大きなニュースがない限り、恐怖指数は下がり続けます。そのため、将来的な成長を狙うような長期保有、長期投資には不向きであるというデメリットがあります。
窓が発生する可能性
窓とは、チャートのローソク足とローソク足との間に生じる「すき間」のことを指します。窓は株価チャートにおいて値動きの勢いを示すものです。
恐怖指数(VIX)の算出は24時間行われていません。そのため、算出時間外に先行き不透明を感じさせる大きな出来事が生じれば、恐怖指数には窓が生じてしまう可能性があり、売買のタイミングを逃してしまうこともあります。
恐怖指数を目安として活用
恐怖指数(VIX)とは、株式投資を行う上で損失回避の予測、不安売りの損失回避に有効な目安のことです。また、恐怖指数に連動したETFに投資することで、株式投資のリスクヘッジにもなります。
恐怖指数を活用した投資を行う際には、今回ご紹介したメリット・デメリットについても理解しておくことも大切です。
よくある質問
恐怖指数とは?
シカゴオプション取引所(CBOE)がS&P500種指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表している株価変動率を表す指標です。詳しくはこちらをご覧ください。
恐怖指数の活用方法は?
損失回避の予測を立てられるだけでなく、恐怖指数に連動した金融商品への投資で株式投資のリスクヘッジを図ることができます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
お金の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
VTとは?株価推移や配当利回り、おすすめの証券会社を解説
証券会社での投資で銘柄選びに迷うという方もいるでしょう。一つひとつの株価のチェックが面倒と感じるならば上場投資信託(ETF)がおすすめです。今回は世界の株式に投資できるETF「VT」をご紹介します。チャートの動きだけでなく、投資のメリット、…
詳しくみる株やFXの相対取引と市場取引とは?違いやメリット・デメリットの解説
株やFX、仮想通貨の取引をする中で「相対取引」といった取引手法を目にする機会も多いのではないでしょうか。相対取引(あいたいとりひき)とは、証券取引所などの市場を通さずに売り手と買い手が直接取引する方法のことです。 今回の記事では相対取引の概…
詳しくみるVDEとは?株価推移や配当利回り、おすすめの証券会社を解説
米国の株式やETF(上場投資信託)で大きな利益が狙えそうな銘柄といえば「IT関連」「情報通信関連」という印象があります。では、他の業種の株式・ETFはどうなのでしょうか。今回はIT・情報通信株が組み入れられていない「VDE」という米国ETF…
詳しくみるストップ安とは?原因や値幅の動き、投資戦略の解説
株価の値動きは投資家を一喜一憂させますが、中でも制限値幅の下限まで株価が下落する「ストップ安」は大きな注目を集めます。本記事では、ストップ安の原因や値幅、連続した場合の値幅についてわかりやすく解説します。実際にストップ安を記録した事例を見な…
詳しくみるクラウドファンディングとは?種類や投資のメリット・デメリットを簡単に解説
インターネット上で資金調達を募る「クラウドファンディング」が、日本でも近年急拡大しています。中でも、資産運用の一つのあり方として投資家から注目されているのが「金融型クラウドファンディング」です。本記事では、クラウドファンディングの定義や種類…
詳しくみる世界最大級の公的年金基金・GPIFとは
少子高齢化による将来の現役世代の負担を考慮して、公的年金制度で集められる年金保険料のうち、年金積立金に当たる部分は運用管理および運用方針においては、GPIFが対応しています。今回の記事では、GPIFの役割や資産規模、投資先・投資実績、ESG…
詳しくみる