• 更新日 : 2023年7月7日

円安・円高とは?メリットデメリットや個人でできる対策

昨今、円安が進んでいることを理由に日本で外国人観光客をよく見かけます。反対に、「円高が進んでいるからお得に海外旅行に行ける!」など、為替変動の影響や立場によってさまざまなメリットやデメリットがあります。そもそも円安・円高とは何を意味しているのでしょうか。今回は、「円安・円高」のメリットやデメリット、個人でできる対策について解説します。

円安・円高とは

そもそも「円安・円高」とは、何を意味しているのでしょうか?

円安とは

円安とは、他の国の通貨と比べて円の価値が相対的に低いことです。例えば、昨日「1ドル=100円」だった為替レートが今日「1ドル=110円」になると、円安が進んだと表現されます。1ドルを手にするために、昨日は100円で済んだのに今日は110円も必要だということですので、円の価値が下がったというわけです。

円高とは

円高とは、他の国の通貨と比べて円の価値が相対的に高いことを意味します。例えば、昨日「1ドル=100円」だった為替レートが今日「1ドル=90円」になると、円高が進んだと表現されます。1ドルを手にするために「昨日は100円必要だったが、今日は90円で良い」ということなので、円の価値が上がったとなります。

このように、日々刻々と変動する為替レート(他の国の通貨との交換比率)によって、その国の通貨の価値が変動します。その為替レートは、その国の経済情勢の変化や政府要人の発言、経済ニュースなど、さまざまな要因で変動します。

円安のメリットデメリット

次に円安によるメリットやデメリットを確認しましょう。

円安のメリット

円安によるメリットは、まず海外へ販売する製品が円高と比べて高く売れるので、日本の輸出企業(自動車産業など)の売上や利益が増加します。また、海外からするとお得に日本に旅行できることがメリットです。「最近、外国人観光客が多いな」と思ったら、少なからず円安の影響があるかもしれません。

円安のデメリット

円安のデメリットは、日本の輸入企業が海外から仕入れる輸入製品のコストの増加です。日本は多くの原材料を輸入しているので、円安が進めば進むほど、海外から仕入れる原油や原材料などのコスト負担が増加します。それが商品の販売価格に転嫁されるので、物価高(インフレ)の要因となります。また、日本から海外へ旅行する場合では、円高に比べると損をしてしまうことがデメリットといえるでしょう。

円高のメリットデメリット

次に円高によるメリットやデメリットについて確認しましょう。

円高のメリット

円高によるメリットは、海外の製品を安く購入できることが大きなメリットでしょう。原油などの資源エネルギーの原材料が安くなれば、日本で販売される製品も安くなるので、私たちの暮らしが楽になるかもしれません。

見たことがある方もいらっしゃると思いますが、円高が進むことによって、スーパーや家電量販店などで円高還元セールが開催されることがあります。

また、日本から海外旅行へお得に行けることもメリットです。さらに投資に目を向けると、少ない円で多くの外貨を手に入れられるので、外貨預金などの外貨建て商品で運用すると利益が得られるのもメリットといえるでしょう。

円高のデメリット

円高によるデメリットは、日本から海外に向けて製品を販売する場合、売れにくくなる点です。日本の輸出企業(自動車産業など)にとっては、業績が悪化する要因となります。また、外貨で投資して利益が出た場合に外貨を円に交換しますが、円高のときに交換してしまうと為替で損をする可能性があります。なので、円高の際に外貨で運用しておき、円安になったら外貨を円に交換すると最も得をするので、交換するタイミングが重要です。

円安・円高に強い業種

それでは、円安と円高に強い業種について確認しましょう。

円安に強い業種

円安の影響により、海外にたくさん製品を販売できる(海外からみれば安く製品を購入できる)ことから、日本の輸出企業の売上や利益が増加します。円安に強い業種は、自動車や家電、電子部品などを扱う製造業です。日本のメーカーは世界でトップクラスの技術を持っていますので、海外企業からの信頼も非常に高いことから円安に強い業種といえます。たくさん製品が売れて業績がプラスになれば、その後の賃金引き上げや雇用拡大を行い、さらなる企業の成長へとつながるでしょう。

円高に強い業種

円安とは逆に、円高では原油や原材料など海外からの仕入れが安くなると、円高のメリットの項でご紹介しました。日本の輸入企業にとっては、仕入コストをなるべく下げたいところでしょう。円高に強い業種は、石油やガスなどのエネルギー関連や、原材料を仕入れる食品業界、紙・パルプ業界が該当します。

商品の価格が安くなれば、消費者にとってはうれしいことかもしれませんが、企業側にとってはどうでしょうか。商品の価格は下げることができたが、「全体としてどのくらい売上や利益につながっているのか?」「円高の影響がどのくらいあるのか?」といった企業の財務諸表も確認したいところです。

個人でできる円安対策とは

円安時は、他の国の通貨と比べて相対的に円の価値が下がるので、一般的にモノの値段が上がり、インフレが生じます。円の資産価値が下がるということなので、個人としてできる対策として外貨建ての資産を保有することが効果的でしょう。

外貨建ての資産とは、外国株式や外国債券、外貨預金などの外国の通貨で保有する資産です。円安時に資産価値が増えるのが特徴で、円の資産価値が下がるリスクを回避できます。このように外国の通貨を保有しておくことで、為替の変動に左右されず自分の資産を守ることができます。

為替の変動に左右されず、分散投資を心掛けよう!

為替レートは、さまざまな要因で日々刻々と変動します。また、景気と同じように為替にも「波」があります。円安と円高それぞれのメリットとデメリットを理解した上で為替の変動に一喜一憂せず、個人の対策として資産を分散しておくことが大切です。

そして、投資の基本は「長期・分散・積立」です。できるだけ長く(最低10年以上)、資産を分けて(円50%、外貨50%など)、コツコツと積み立て(数千円などの少額でも可能)、自分の資産作りに役立てましょう。


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