リセッションとは?影響から対策まで知っておくべきこと

景気が悪化してくると、経済ニュースや報道などで「リセッション」という言葉を耳にします。そもそも「リセッション」とはどのような意味を持つのでしょうか。今回の記事では、リセッションの意味、原因、影響を解説し、リセッションが起こる際のシグナルと対策についてもお伝えします。

リセッションとは

リセッションとは、「景気の後退局面」を意味します。景気には「波」があり、景気の拡大がピークに達したときは「景気の山」で、景気の後退がピークに達すると「景気の谷」と表現され、人間の血液のように循環しています。

そして、この景気の「波」が山から谷へ向かっている局面を「リセッション」であると表現されます。もちろん、ずっと景気が良い状態が続くことが理想ですが、なかなかそうはいきません。

また、リセッションを判断する指標に内閣府が毎月発表するDI(Diffusion Index)と呼ばれる景気動向指数があり、このDIが継続的に50%を下回ると景気が悪化しているとしてリセッション入りしたと判断されます。

リセッションの原因

なぜ「リセッション」になるのでしょうか。その原因を解説します。

景気循環

先述した通り、景気には「波」があり循環しますが、なぜ循環するのでしょうか?

企業が商品やサービスを提供することで企業が儲かります。企業の売上や利益が出るとさらに増やそうと人を雇用し、設備投資などをして事業を拡大させます。そして、従業員には対価として給料やボーナスが出ます。給料やボーナスを得ると、それが消費につながり、企業の売上や利益が増えるという好循環が生まれるのです。

しかし、世の中は需要と供給で成り立っているので、いつまでも良い循環であることは難しく、モノが徐々に売れなくなってくると、生産が縮小され、雇用の削減や事業規模の縮小が行われます。そして給料も減少し、消費を控えるようになるので、売上が減少します。このような状態になると悪循環です。需要と供給の関係で、良い循環と悪い循環が大きなサイクルで繰り返されます。

金利の低下

先述した需要と供給と同様に、物価と金利の関係についても考えておきましょう。

モノの需要が高まると一般的に物価が上昇します。物価の上昇は、お金の価値が下がるということですので、ある程度のバランスを保つために中央銀行である日銀はお金の需要を高めようとして金利を上昇させようとします。景気を考える上で物価と金利はとても需要です。

景気が悪くなると、一般的に物価が下落して、金利も低下します。景気が良いときは、多少金利が高くて借金をしても返済できる体力があるという考え方ができますが、景気が悪いときは、金利を下げないと借金をしてくれないということです。なので、景気の良し悪しを考える上で金利の動きを見えておくことが非常に重要です。

特に世界経済をけん引しているアメリカの長期金利の動きを確認しておくと良いでしょう。急に金利を下げることが発表されるとその後「リセッション」入りするかもしれないので要チェックです。

リセッションの影響

リセッションは私たちの生活でどのような影響をあたえるのでしょうか。主な影響について解説します。

株価の下落

リセッションによって最も影響するのは株価の下落です。企業の業績が悪化することで、一般的にそれが株価に反映される傾向にあります。

消費の低迷

先述の通り、企業の業績が悪化することで株価の下落のほか、その企業で働く従業員の給料やボーナスにも少なからず影響するでしょう。そして、リセッション入りすることにより、消費者心理として商品の購買意欲が減少し、消費の低迷につながることが考えられます。

景気後退の局面では、お金を使うよりも将来に備えてためることに意識が向きます。「金は天下の回り物」という言葉があるように、お金を動かすことが景気や経済を良くする上で重要なのです。

リセッションのシグナル

リセッションのシグナルはあるのでしょうか?事前にポイントを押さえてリスク回避に役立てましょう。

イールドカーブ(逆イールド)

イールドカーブとは、債券の利回りと償還期間との相関性を示した曲線グラフで、利回り曲線ともいいます。債券投資で重要とされる指標の一つで、縦軸が利回り、横軸が期間を示します。このイールドカーブが通常であれば償還期間が長くなるほど利回りが高くなるので、右肩上がりのカーブを描きます。これを「順イールド」といいます。

しかし、通常と異なり短期金利が長期金利の利率を上回ることで右肩下がりのカーブを描くことがあります。これを「逆イールド」といい、リセッションの兆候として解釈されます。

ISM製造業景況感指数

ISM製造業景況感指数は、景気の先行きなど企業(製造業)にアンケート調査を行い指数として算出される指標です。数値については、50が好不況の節目で、50を超えると景気拡大、50未満であれば景気後退を示します。企業(製造業)で働く現場の声が聞けるので、景気動向を知る上で重要な指標といえるでしょう。

消費支出

消費支出は、家計が消費した財やサービスを集計した指標です。日本の消費支出は、経済規模を示す国内総生産(GDP)の50%以上を占めているので、景気の良し悪しを判断する尺度として重要な指標です。消費支出が継続的に減少するようであれば、リセッションになる可能性があるので常にアンテナを立てて情報を追いましょう。

リセッションの対策

リセッションに対する備えや対策について、ポイントを押さえておきましょう。

経済指標を追う

まずは、経済ニュースや新聞などで経済指標をチェックしておきましょう。先述した逆イールドやISM製造業景況感指数は、景気の先行指標として位置付けされていますので、事前に把握しておくことで、手持ちの株式がある方であればリセッションになる(株価が下落する)前に売却しておくと良いでしょう。

また、これから株式投資を検討している方は、できるだけ割安な株価で購入した方が良いですから、リセッション後に株価が底で下げ止まりが見えた際に購入すると良いでしょう。

経済の見通しをチェックする

次に、経済の見通しについて、今後の景気が拡大するのか、または後退するのか、自分なりに予想を立てましょう。例えば、経済ニュースなどで専門家の意見を参考にするのも良いでしょう。また、物価が下落していないか、金利が低下していないか、常日頃からチェックしておきましょう。

分散投資をする

投資の世界に「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があるように、投資先を複数に分けてリスク分散をしておきましょう。

例えば、株式投資をする際に、鉄鋼や化学などの景気の波によって大きく左右される「景気敏感株」と、電力や鉄道、通信などの景気の波に左右されにくい「ディフェンシブ株」に分けて持つと効果的です。また、不況時に強く安全資産である「金」などの現物資産を保有しておくのも有効な分散投資の手段です。

リセッションを知り、投資に役立てよう!

リセッションは景気の後退局面であるとお伝えしました。また、景気には「波」があり、循環します。投資をする上で、リセッションの前後での購入や売却のタイミングが重要です。常日頃から経済ニュースなどをチェックして情報のアンテナを立てておくようにしましょう。

よくある質問

リセッションとは?

景気には「波」があり、景気の拡大がピークに達したときは「景気の山」で、景気の後退がピークに達すると「景気の谷」と表現され、山から谷へ向かっている景気の後退局面を「リセッション」であると表現されます。詳しくはこちらをご覧ください。

リセッションの影響とは?

リセッションにより企業の業績が悪化することで株価の下落が懸念されます。その他、ボーナスカットやリストラなどが引き起こされる可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。