- 更新日 : 2023年12月15日
億ションを買うのに年収はいくら必要?購入のメリット・デメリットは?
億ションは1億円を超えるマンションであり、都心部を中心に増えています。高いセキュリティーや豪華な設備が魅力ですが購入できる人は限られます。本記事では、億ションを購入できる層や、メリット・デメリットを解説しているため、参考にしてみてください。
目次
億ションとは
億ションとは、日本の不動産市場において、1戸当たり1億円以上の価格がつけられる高級マンションの俗称です。
マンションを「万ション」と呼び替えた上で、さらなる高級物件を「億ション」と称しています。実際には、価格が1億円以上というだけでなく、高度な設備や利便性に優れる住環境を備えた物件を億ションとする傾向です。
億ションの歴史は古く、1960年代には1戸1億円以上で販売されるマンションが登場しました。1986年以降のバブル景気により不動産価格が高騰すると、1億円を超えるマンションが増加。バブル崩壊とともに不動産価格が下落し、億ションは減少しましたが、2010年代以降は不動産価格が回復し億ションの数も増加傾向です。
不動産経済研究所の2023年上半期の調査では、東京23区の新築分譲マンションの平均価格は1億2,962万円となっており、都心部の億ションは珍しくありません。
億ションを購入できる層とは
1億円を超える買い物ができる人は限られます。以下に億ションを購入できる人の年収や、どのような人が購入できるのかを解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。
億ションを購入する人の年収
住宅ローンの借入可能額は一般的に年収の5~7倍といわれます。そのため、1億円の住宅ローンを組む場合は年収1,400~2,000万円ほどが目安です。
一方で、住宅ローンを組むときには無理なく返済できることが重要です。「借りられる=返済できる」と考えず、入念に資金計画を立てておきましょう。
住宅ローン借入額の理想的な数字は返済比率25%とされています。こちらの数字をもとに住宅保証機構株式会社のシミュレーションを使い、以下の条件で行ってみました。
<シミュレーションの条件>
- 固定金利:2.0%
- 返済期間:35年
- 元利均等返済
- ボーナス返済なし
- 返済比率25%
(参考:住宅保証機構株式会社)
結果は年収1,590万円で9,999万円の借入が可能とのことでした。実際に融資を受けられるかどうかは金融機関の審査次第ですが、年収1,590万円は一つの基準になるでしょう。
なお、無理のない返済をしていくためには、ある程度自己資金を用意することも重要です。
億ションはどのような人が購入できるのか
億ションは1億円以上の資金を用意する必要があるため、特定の層によってのみ購入可能です。続いては、どのような人が億ションを購入できるのか見ていきましょう。
投資家・資産家・パワーカップルが豪華な住居の主な購入者です。以下にそれぞれ解説します。
投資家
投資家にとって、億ションは単なる住居以上の価値を持っています。億ションは、都心部や高級住宅地に位置することが多く、地価の上昇に伴って価値も増大する傾向です。投資家は不動産市場の動向を精査し、長期的な資産増加を目指す戦略的な投資として億ションを選びます。
購入したマンションは賃貸物件として利用することで家賃収入を確保でき、値上がりのタイミングを計りながら億ションを売りに出し、売却益を狙うケースもあるでしょう。投資対象として魅力のある億ションは投資家に重宝されます。
資産家
資産家にとって、億ションの購入は贅沢とステータスの象徴です。彼らは通常、多額の資産や高い収入を持っており、高価な不動産へ投資できます。資金に余裕のある資産家は、住宅ローンを組まずに物件を購入することも可能です。
億ションは最先端の設備・優れた建築デザインに加え、都市の中心部にある便利な立地条件を兼ね備えており、生活の質の向上につながります。また、多くの人口流入が見込まれる地域では、土地の価格が落ちにくいため、人気エリアに位置するマンションの価値も低下しにくくなります。
資産をさらに大きくする可能性がある億ションは、資産家にも人気です。また、彼らにとってのプライベートな避難所として、または社会的地位を示す象徴として、億ションは非常に魅力的な選択肢となっています。
パワーカップル
パワーカップルとは、ともに高収入を持つカップルであり、高級マンション市場の重要な顧客層です。パワーカップルに明確な定義はありませんが、一般的にそれぞれの年収700~1,000万円を上回る夫婦を指します。単独では難しい多額の融資も、夫婦で住宅ローンを契約すれば審査が通りやすくなります。
共働きで忙しい生活を送るパワーカップルは、億ションの高度なセキュリティーや快適な暮らしに魅力を感じる場合もあるでしょう。
億ションのメリット
億ションは、高価な住居だけでなく、暮らしの面のほかにもさまざまなメリットがあります。高いセキュリティーや優れたデザイン性に加えて、特別な優越感を感じられるでしょう。また、高層階で見られる美しい景色も魅力です。以下にそれぞれ解説します。
高いセキュリティーで安心して暮らせる
億ションにおけるメリットの一つとして高いセキュリティーが挙げられます。物件によって異なりますが、24時間体制の警備セキュリティーシステムや個人認証システムなどを備えており、住人の安全とプライバシーを最優先に考えられています。共用部分やエレベーターには監視カメラを設置し、安心して生活できるように配慮された設計です。
高収入や多くの資産を持つ億ション購入者は、犯罪者のターゲットになりかねません。セキュリティーの高さは快適で安全な暮らしに直結するため重要です。
デザイン性の高さが感じられる
億ションはデザイン性の高さも魅力です。高級物件は著名な建築家やデザイナーが関わる場合があるため、内装から外装に至るまで洗練された美学が反映されています。
高品質の素材・独自のインテリアデザイン・モダンな外観は、居住者にとっての誇りとなります。高い天井や大きな窓の明るい部屋、洗練されたシステムキッチンなど見た目だけでなく機能性も高い設備なら快適な生活を送りやすいでしょう。
億ションは住居としての機能性に加え、芸術作品ともいえる価値を提供しており、暮らす人の満足度向上につながります。
優越感を味わえる
億ションを手にできる人は多くないため、所有者は優越感を味わえるでしょう。高額マンションは限られた人のみが購入できる特別な物件であるため、社会的なステータスや成功の象徴としての高い価値があります。
他の人が手に入れられないものを持つと、自らが特別な存在であると感じやすくなります。この感覚は日常生活や仕事の場面において強い自信をもたらし、日々を生きる活力になるでしょう。
高層階は美しい景色を堪能できる
億ションに多いタワマンと称される超高層マンションは高さ60mを超える、20階以上の物件を意味します。高層階の住民は息をのむような美しい景色を日常的に楽しむことが可能です。
立地によっては、都心部を象徴する東京タワーや東京スカイツリー®が見えたり、晴れた日に富士山を眺められたりするなど、季節や時間帯によってさまざまな表情が見られます。高層階から見渡す景色は、日々のストレスを忘れさせ、心に安らぎを与えてくれるでしょう。
億ションのデメリット
高いセキュリティーや成功の象徴など魅力的な億ションですが、注意すべきデメリットも存在します。以下の3つを考慮した上で、購入を検討してみましょう。それぞれ解説します。
維持費や管理費が高額
億ションの維持には、一般的なマンションよりも高いコストがかかります。これは、高級設備や共有施設、厳重なセキュリティシステムの維持管理に高額な費用が必要なためです。
例えば、プールやトレーニングジム、コンシェルジュサービスなどの維持には一定の出費が伴います。また、建物のメンテナンスや清掃、セキュリティスタッフの人件費なども含まれ、毎月の管理費として所有者に請求されます。所有者はマンションの維持・管理に必要な費用を継続的に支払うため、大きな負担になることもあるのです。
ローン返済が苦しくなる場合がある
億ションの購入には多額のローンを背負うことが多く、経済状況の変化によっては返済が困難になるケースがあります。収入の減少や災害による予期せぬ出費、パートナーとの離婚などさまざまな要因でローンの返済が困難になります。
特にペアローンを組む場合には、夫婦いずれかの収入減少や病気、出産や育児に伴う生活様式の変化を念頭におきましょう。収入が減少しても返済していけるように、資金計画を立てておくことが大切です。
売りたくなっても買い手がつきにくい
億ションは市場での需要が限られているため、売却を希望した場合に適切な買い手を見つけにくいことがあります。立地や独特のデザインによって、購入者の希望に合わない場合は売却に難渋するケースもあります。
億ションは資産としての価値は高いものの、売却するときには物件の状態や需要に左右されるため、売りたくても売れない状況があることを理解しておきましょう。
億ションを購入するなら資金計画をしっかり立てておこう
本記事では億ションの概要や購入できる層、メリット・デメリットを解説しました。不動産は多くの方にとって人生最大の買い物であり、億を超える物件ともなれば購入できる方は限られます。
億ションは資産価値が高い一方で、高額なランニングコストによりローン返済が困難になったり、売却したくても買い手が見つからなかったりする可能性があります。億ションを購入するときにはそうしたデメリットも考慮しながら、資金計画を入念に行うとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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